第四話 神子様と死神の誕生
とんたか崖を降りて無事に村につく。やぁ良かった良かったこれでもう怖い思いしなくて済む!
「し、死神だ!」
そんな事もありませんでした。
死神。そんなファンタジーの中でしかいなさそうなその神様の印象というのはヨロシクは無い訳だ。神様であるのはともかく、「死」という言葉がつく時点で恐怖の対象でしかない。まぁつまり何が言いたいかというとだ。
ここここ怖ぇえぇええええええええ!!!!!
何この村死神でんの!?つーか死神なんてマジでいたの!?何で俺を見るのまさか振り向いたらいるとかそういうオチか!?そういうオチなのか!?普通ここで振り向く所だが俺みたいなチキンにそんな事求めないでくれ!とりあえず助けて下さいそこの村人A、B!
「ひぃ!お、俺はまだ死にたくない!」
「助けてくれ!」
そんな事言わないで助けて下さい頼むから!そんな願いをこめ一歩を踏み出すと彼らは逃げてしまった。おいおいおいおいチキンVS神ってどんな勝負だよ!勝負になんねーよ一発KOだよ!
「…刹那、この村に入るのはお前にとって良くない。…どうする」
え?シャンお前何言ってんの怖い事が起きてるのに人のいないとこ行ってどうすんだよ。アレか?
「こんな所にいられるか!俺は自分の部屋に戻るぜ!」
という死亡フラグをたてたいのか?残念ながら俺は死亡フラグをたてる事なく死ぬモブな訳なんだその辺分かってくれ!
村に向かって歩みを進める。シャンは何も言わずに俺の首筋に頭を擦りつけた。くすぐったくて可愛くて、少しだけ恐怖がやわらいだ。
人っ子一人いない村の中を歩く。くそっ何でこんなに静まりかえってるんだよ怖いだろ!気を張って(ついでに防御壁もはっておく)速足に進む。
「待って!」
「…?」
女の子の声が俺の耳に入った。振り返るとそこにいたのは、妹系美少女だった。長い桃色の髪を後ろで一つに結った、背の低い女の子。その儚い雰囲気は守りたくなるような気持ちになる。どこかで、見たような懐かしい気持ちになった。
「な、何が目的、なんですか?」
「…。」
「な、何か言って下さい!」
すみません俺人と喋るの苦手なんです!シャンは見た目が猫だからまだ良いけど…ってそうだシャンがいるじゃないか!シャン頼むからこの子なんとかしてくれ!そんな目線を送るとシャンは前に進み出た。
「騒がしいぞ小娘。我が主に何用だ。」
「ね、猫…?いえ、この気配…まさか、神獣ですか!?」
「ほぅ…?我の気配に気づくとはな。…その神力…神子か。」
ちょっと待て何で二人でそんな世界を展開させているんですか説明下さい俺に頼むからあとシャンなんかキャラ違くね?公私混合しないタイプなのか?とにかくその子の警戒早く解かせて下さい!
「…その通りです。私はこの村の神子、アサナと言います。」
「アサ、ナ?」
「…主…?どうなさった?」
「いや…」
アサナ、か。昔親しかった女の子(そう、俺にもいるのだそんな子が。)と良く似た名だ。しかし神子さんか。そんな彼女に警戒されてる俺って一体…
「俺に…敵意はない…」
「本当、ですか…?」
「嘘をつく理由が…どこに…?」
彼女は俺を上から下まで用心深く見ると警戒をとくように静かに微笑んだ。人にそんな風に笑いかけられるのは何年ぶりで…なんか切ない。
「えっと…疑ってしまってごめんなさい。死神様」
あ、それ俺の事だったの? つーか死神って…どういうことなの…
次話は女の子視点です