第二話 異世界到着
真っ黒な世界が終ると気が付いたら森の中に倒れていた。ここはどこだ…。
「起きたか刹那。…そういえば俺の自己紹介もしてなかったな。」
おぉまだいたのかニャンコ。こういうのは連れてくるだけ連れてきて放置がセオリーだろうに。まぁビビり野郎の俺にはありがたいが。
「俺はジークシャン。さっき話した通り神に仕える神獣だ。今は仮の姿としてこんな格好だがお前のサポートが出来る程度には強いから安心してくれ。足手まといにはならない」
いえいえ何の足手纏いになると言うのか…。足手纏いになるのはむしろ俺の方ですごめんなさいニャンコ!そんな気持ちを込めて撫でるとやけにびっくりされた。何故?
「やっぱりお前は色々と人並み外れているな…。というか本当に人間か?」
「…俺は 化け物じゃない」
ここで初めてちゃんとした声を猫に出した。でもその言葉は吹っ切れたとはいえ過去のトラウマだ。出来れば言ってほしくない。くっ…お前なんか喋るニャンコのくせに!
「っ…!すまない!」
シャンは怖々とした声で言った。…何故に怯える!俺か!?俺の顔はそんなに極悪面なのか!?ななな何だか可哀そうな気もしてきた…。それに動物愛護団体とかに訴えられないよな!?
「怒ってない…。」
「そ、そう…か…。」
「シャン、と呼んでも…?」
あぁくそ!対人(コイツは人じゃないが)用対話スキルなんて持ってねぇよ!言葉が変なトコで途切れるし!どうしようもなくなってシャンを見つめると目をまん丸くしていた。
「シャンって…俺の愛称に、って事か?」
コクリと頷く。(野郎が頷いてもキメェとか言うな!泣くぞ!)シャンは嬉しそうに「構わない!」と言ってくれた。勢いが若干怖いが俺でも打ち解けられる生物がいる事に感動した!シャンは俺の大切なものランキング二位にランクインにした。
「ここは…?」
「…すまない。ここがさっき言った『フィーヴィリーズ』という国だ。ここにはお前と同じ魔法使いも多くいるが…心配しなくていい。」
ファ○リーズみたいな名前だな、なんて事も思ったがそれ以上に大切な事をシャンは言っていた。俺と同じ魔法使いも多くいる。それはつまり…!
初めての同士の友達づくり可ってことか…!?
今まで誰に話すでもなく考えてきた俺のアレやそれやのオリジナル魔法について熱く語ったり色々出来るのか…!?その上俺にもちゃんと友達が出来るから心配しなくていいと…!?
シャンの優しさに感動した俺はシャンの小さい体を己の肩にのせて普段滅多に浮かべない笑みを浮かべた。シャンがここまで配慮してくれたんだ。友達100人…は荷が重いか。とりあえず友達20人作るぞー!
なんて企み笑いしてる俺をよそにシャンは肩の上でちょっと震えてた。寒いのか?毛皮着こんでるのに。やっぱ猫だからかな。とりあえず服の中に突っ込んでみる。俺の襟元から顔を出す形になり俺さえ見なければすごく可愛い。
「!? 刹那!後ろ!」
後ろ?くるりと振り向いてみるとそこにいたのは…
おっきな森の熊さんでした。
ありがち展開w