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鎧の継ぎ目
沈黙のあと、思いがけず返ってきた“静かな写真”。
強さの裏にある、ふとした気配を感じた瞬間を書きました
一週間、私は彼にメッセージを送らなかった。
忙しかったせいもあるけれど、本当はただ――何を書けばいいのかわからなかった。
世界が違いすぎる。興味も違いすぎる。
その差が急に重たく感じて、言葉が止まった。
今日、ふと思い立って“らんらん”のイラストを送った。
本当はらんらんどころか、気分は沈んでいたのに。
でもあえて軽やかな絵を投げた。
理由は自分でもよくわからない。ただ、送らなきゃと思った。
しばらくして、彼から写真が届いた。
お好み焼き、ひとりのカウンター、瓶のアルコール。
誰もいない店内。帰ってくるマスターを待っているような静けさ。
「年末まであと51日」とだけ添えられていた。
不思議だった。
高価な場所の写真ばかり見てきたのに、今日の彼は違った。
ふだんの顔。疲れた夜。鎧を外した素の気配。
その写真を見て、胸の奥が少しだけ温かくなった。
——ああ、この人も、こんなふうにひとりで夜を過ごすんだ。
その気配に触れた瞬間、
“鎧の継ぎ目”を見た気がした。
とても柔らかい空気が流れている。そんな感じがします。




