モヤ玉
ひろからの返事がなく、不安に押しつぶされそうになったとき――私は“モヤ玉”を見つけました。
それは、私の心を支えてくれる小さな発見です。
ひろにメールを送ってから、二十四時間。
画面には、送ったときの時間だけが冷たく残っていた。
既読にならないその数字が、心を締めつけていた。
ほんの一言でも返事が欲しかったのに、何も届かない。
――もしかして、ブロックされたのだろうか。
そんな考えが浮かぶたびに、不安の渦に飲み込まれていった。
その時だった。
ふと目の前に、白く淡い“何か”が漂っているのに気づいた。
光に照らされているわけでもないのに、ほんのりと霞むように揺れている。
煙のようでいて、玉のようにまとまった存在感。
「……なに、これ?」
見入っていると、微妙に動きながら私の目の前にとどまっている。
触れようと手を伸ばすと、ふっと逃げてしまう。
けれど決して消えない。割れることもなく、また私の前に戻ってくる。
まるで意志を持っているかのように、静かに漂っていた。
その瞬間、直感が働いた。
――これは、ひろの感情の魂の一部だ。
そう思った途端、胸のざわめきが少しずつ静まっていくのを感じた。
さっきまで押し潰されそうだった不安が、薄い膜に包まれるようにやわらいでいく。
透明ではない。白くて淡い。
けれど確かに存在していて、私を包んでくれる。
「本当は、ずっとここにあったんだね」
呟いた声は空気に溶けた。
私はただ気づかなかっただけ。
“モヤ玉”は、ずっと私のすぐそばで漂っていたのだ。
じっとしているようで、微かに揺れている。
まるで呼吸するように、じわっとズレながらそこに在る。
目を閉じても、その存在感は消えない。
――ひろの心のどこかと、確かにつながっている。
今日、私は“モヤ玉”を見つけた。
それは、ひろの気配を映す淡い魂の欠片。
見つめるだけで、私を落ち着かせてくれる、小さな守り神だった。
不安の夜に現れた“モヤ玉”は、私の心を守る象徴になりました。
きっとこれからも、見えるか見えないかにかかわらず、私の周りを漂い続けてくれるでしょう。




