六本木のニアミス
今日、久々にヒロとの間が進展しました。
進展?と言うには程遠いけれど。
久々に、ヒロの「てんこ盛り写真」を受け取ったのです。
今日、私は六本木ヒルズの一階でパフェを食べていました。
それは、ただの甘いデザートではなかったのです。
白い部分は茗荷の冷製スープ。きっと生クリームを少しだけ忍ばせているのでしょう、驚くほどなめらかで上品な口当たり。出汁が浮かないのも職人技。さらに、その下に隠されていたのは醤油のジュレ。ひと口食べるごとに伸びやかに広がり、全体の味をひとつに結びつけていく。バラバラの個性を持った素材たちが、調和しながら口の中で新しい世界を生み出す。
茗荷と茄子という意外な組み合わせに驚きながら、私は友達と笑い合い、子どものようにはしゃいでいたのです。
「これはパフェの概念を変える逸品だね」
心の中でそう呟きながら。
そのとき、一枚の写真が届きました。
映っていたのは、国際色豊かな人々。グラスを掲げ、笑みを交わす姿は、まるで映画のワンシーンのよう。
添えられたコメントは、ただ一言。
「ヒルズクラブにて」
え? 同じビルにいるの?
私は一階でパフェを前に笑い転げていた。
その頃、彼は五十一階の会員制クラブで、世界を相手にしていたのです。
地図の上では、私たちは同じ点に立っていた。
けれど、実際には一階と五十一階という立体的な隔たりがありました。
吸い込んでいるのは同じ六本木の空気。
でも、そこに流れる「場の空気」は、あまりにも違っていたのです。
一方は軽やかな笑い声。
もう一方は重厚に響くグラスの音。
一方は意外性に満ちたパフェ。
もう一方は格式高い会食の料理。
交わらないはずの、二つの世界。
——けれどもし、この二人が偶然にすれ違うことがあるのなら。
それは奇跡と呼ぶしかない。
同じビルにいながら、まるで違う世界にいた二人。
このすれ違いは、ただの偶然なのか、それとも物語の伏線なのか。
——この後、どうなるんでしょうね。




