番外編:今のりん 新たなステージへ
このお話は、本編の続きではなく、いま現在の「りん」を切り取った番外編です。
コンプレックスを抱えながらも歩いてきた道のり、そして新たに踏み出した一歩。
それは小さな挑戦ではなく、りんにとって人生の舞台を広げる大きな扉になりました。
りんは、昔から「スタイルがいいね」「足が長いね」と言われてきた。
けれど、それは必ずしも嬉しい言葉ではなかった。
人から見れば羨ましいとされることも、りん自身にとっては時にコンプレックスだったのだ。
普通の主婦をしていた時期もある。
その後は二十年間、起業して走り抜けた。
子どもたちが独立したとき、ふと心に空白ができた。
そして、誰もが驚くような選択をする。
――オーストラリアへ、突然ボランティアに旅立ったのだ。
さらにアメリカへも渡り、挑戦を重ねた。
「なんでもまず1歩出る。失敗したら、また元に戻ればいい」
それがりんの生き方。
怖さ知らずで進んできた姿は、やがて自分の特質となった。
そんなりんが、今回臨んだのはモデルのオーディション。
会場では不思議と緊張せず、楽しかった。
審査員はただ形式的に質問するのではなく、りんの話を引き出してくれた。
オーストラリアやアメリカでの経験を語ると、とても興味深く聞いてくれる。
「あなたの特質は?」と問われ、りんは答えた。
「怖さ知らずかな」
すると審査員は笑みを浮かべて返した。
「そうでしょうね。オーストラリアに行くくらいですから」
さらに問いが続く。
「モデルだけでなく、俳優という道も考えていますか?」
りんはまっすぐに答えた。
「自分を変えたいし、いろんなことにチャレンジしたいと思ってここに来ました。だから、何でもしますよ」
その言葉に、確かな手応えを感じた。
審査員の受け止め方は一つひとつ丁寧で、りんは心の底から「この人すごい」と思った。
そして同時に、もしこの人たちと一緒に仕事ができるなら――きっと嬉しい。
その期待に応えたい、と強く感じた。
その日の夕方。
六本木ヒルズからグランドハイアットへ抜ける途中の静かな通路で、一本の電話が鳴った。
周囲には人影がなく、声が澄んで響く。
「オーディション、合格です。
身長があること、見た目がとても若いこと――それがあなたの強みです」
その言葉を聞いた瞬間、胸の奥に広がったのは“やっぱり”という確信と、
“見た目が若い”と評価された喜び。
さらに「今のお仕事に支障はない」と言われたことも、大きな安心となった。
りんは静かな通路に立ち尽くしながら、心の中でそっと微笑んだ。
これはゴールではなく、新しいスタートライン。
このチャンスを活かし、もっと自分を変えていく。
そして――
誰よりも、あの人に一目置かせるために。
長い間、自分を変えたいと思いながらも、なかなか踏み出せなかったこと。
でも、一歩出れば景色は変わるし、挑戦は未来を開いてくれる。
今回の合格はゴールではなく、むしろ新しいスタート。
これからの「りん」がどんな風に輝いていくのか――その答えは、次のステージで見つかるはずです。




