番外編:りんの生い立ち
ヒロの進展は今止まっている。
その合間に、恋と言う人物を描いてみた。
中の良い女の子たちとキャーキャー騒いで
男の子には一切関心がないそんなエピソードです。
長い足の幼少期
りんは小さい頃から、そのスタイルの良さが周囲に目立っていた。
叔母は母に何度も「モデルにしたらいい」とすすめた。
けれど、足が長いねと言われても、一度も嬉しいと思ったことはなかった。
――この足のせいで、何度も嫌な思いをしてきたから。
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小学校時代
小学校の頃、足の置き場を持て余し、いつも机の前に出していた。
そのたびに「お行儀が悪い」と先生に注意される。
車に乗れば足の置き場がない。
とにかく長い足を持て余し、
窮屈な思いをしてて、いつも足が痛かった。
男の子たちは何かと足についてからんでくる。
りんはそのたびに、迷わず足蹴りを食らわせた。
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中学校時代
りんは短パンが好きだった。
仲の良い友達は「ほんとに足が長いね」といつも言ったが、それを褒められているとは感じなかった。
かわいいと言われたことは、一度もない。
背が高く、大人っぽい体型だったから。
母はピンクや赤、フリルやレースの服を着せてくれたが――似合わなかった。
友達は可愛く、上級生からラブレターをもらっていた。
りんには一度もそんなことはなかった。
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窓の向こうの視線
それでも、不思議なことはあった。
中学のある日、りんがカーテンを開けると、学生服を着た男の子が二人、こちらを見ていた。
家は傾斜地に建っており、裏は山あいになっている。
そこで父が畑をしていたが、その畑の合間から覗いていたのだ。
慌ててカーテンを閉め、しばらくしてまた開けたときには――もう誰もいなかった。
あれは誰だったのだろう。
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高校時代
りんは男の子に一切興味がなかった。
ある日、廊下で人だかりができていた。
何だろうと思ったが、近寄ることもできず、やがて人が引けたあと横目で見た。
そこには「りんと誰かのあいあい傘」の絵があった。
「誰、この人?」
そう思ったが、気にしないふりを決めた。
友達も何も言わなかった。
高校3年生の時、卒業アルバムの制作でも人だかりがあった。
「この二人、閉じるとキスしちゃうんだよ」
ふーん、と人ごとのように聞き流した。
後で、それが自分だったと知った。
相手が誰だったのかすら分からない。
自分の卒業アルバムで確かめることすらしなかった。
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女学校時代
女学校では、女子の視線をよく感じた。
学園祭では「我が子のエンターテイメント」というタイトルで、りんの写真展が開かれた。
学園祭雑誌取材のときも、モデルとして撮られることが多かった。
街を歩けば、街角ファッション雑誌のモデルにされた。
成人式では新聞の見開きを飾ったこともある。
それでも、りんは自分の容姿にコンプレックスを抱いていた。
ストッキングは股上が足りず、引っ張れば足先から破れる。
靴はサイズが大きく、友達の家では「誰、この大きな靴」と言われた。
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お見合い事件
そんなある日、りんに見合い話が来た。
母は「お見合い」とは言わず、「連れて行ってほしい人がいる」とだけ告げた。
当時、りんはボランティアで留学生の子供たちのベビーシッターをしていた。
その日は、海外の人たちとディスコパーティーに行く予定だった。
母は留学生に興味がある男の人がいるから連れていってくれる?と言ってきた。
「いいよ」と軽く引き受けた。
母は振袖を着せ、「外国の人にいいと思うよ」と笑った。
そして当日、母の言う男性を連れて会場へ。
連れてきたあとは「後は勝手にどうぞ」と言わんばかりに、りんは留学生たちと振袖姿で踊りまくった。
飲み物を取りにテーブルに戻ると、その男性――国立大学の医学生――は未来の収入計画を熱心に語っていた。
(だから何?)
話半ばで再びダンスフロアへ。
翌日、母が笑いながら言った。
「お宅のお嬢様にはついて行きかねます、って断られたわよ」
あれがお見合いだったと知ったのは、その時だった。
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自由の代償
自由にのびのびと育ててくれた両親。
けれど、時々思う。
――もしかしたら、自由すぎたのかもしれない。
両親はこの後自由奔放に育てたことを後悔することになった。
またあの若い時にもっと自信を持っていれば
人生変わっていたかもしれない。
自信がなかった若い頃の落書き
本文(約435字)
私はみにくい顔の持主です
でも私のはねをみてやってください。
どこにいましょう
このようなはねをもった主が
私はトンモクに住むとりです
トンモクブッソー それが私のなまえです
私の発する声がそうきこえるからだそうです
そして鳥の名も私の一部からうつりました
私のなかまはもうどこにもいません
私の命もそう長いものではありません
なかまをなかまらをすくう事が不可能な今
私はこのはねをくじゃくくんにゆずります
決して絶やさないでください。このはねは
もはや鳥の名を絶やさないために
私が他のものより優れていたといえる
唯一のものであり
私がこの世に存在する勇気を与えてくれた
唯一のものなのです
トンモクブッソー
トンモクブッソー
私はもうすぐ消滅します
これを書いてて、今思うと、もっと自分に自信を持っていれば、人生変わったんだろうなと思った




