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番外編:鎧を脱がせる女

本編では、ただの駆け引きに見えたかもしれない。

けれど、あれは偶然でも成り行きでもない。

彼の鎧を外すために、すべては仕組まれていた──。

これは、その裏側の物語。

りんは現在、三河島に住んでいる。

三河島──名前だけ聞けば、都心の華やかさとは縁がないように思えるかもしれない。

だからだろうか、人はなぜか一様に「なんでそんなところに?」と首をかしげる。


けれど暮らしてみれば、ここには時間の流れがやわらかくなる瞬間がある。

打ち解ければ優しい反応が返ってくる。

日本人があまり入らない韓国の食べ物屋さんに入るとなんだか知らないけど注文してないのにこれも食べてみてとくれたりもする。

スパでは韓国の整形手術で盛り上がった。


自転車で二十分も走れば、上野公園や旧古河庭園にも行ける。

都電沿いのバラが咲き誇る季節には、街全体が静かに色づく。


派手さはないが、下町情緒にあふれ、気づけばここが自分の居場所になっていた──りんは結構気に入っている。

特に住宅街の中にある小さな公園。季節ごとに花が主役を交代し、千鳥草で紫に染まったかと思えば、次は百合で真っ白になる。

遊具は懸垂バーひとつだけ。

何といってもありがたいのは、近くのスポーツセンターでジムとプールが使えること。

北千住まで足を延ばせば、お気に入りの花屋もある。


りんの仮住まいにはベランダと小さな庭があり、花とハーブがいっぱい。

庭のハーブを摘んで入れるハーブティーから1日が始まり、バジルを摘んで作ったバジルソースでピザトーストを頬張るのが日課だ。


りんはアメリカに住んでいた。

2年前に日本に帰ってきて、実家に帰らず、1人東京暮らしを始めた。

東京には何かしら友達がいた。

公園に行ったり、映画を見に行ったり、旅行したり、それなりに暇つぶしはできてた。


りんには昔からのボーイフレンドがいた。

アメリカから帰ってきたとき、本当は彼のもとに行こうと思っていた。

10年の間に彼は結婚していた。

その彼から半年後電話がかかった。

離婚したから来いよと。

りんは行くことを決心した。

だのに何故か土壇場で行くのはやめた。

単なるボタンのかけ違いだった

そんなのすぐ修復できるようなものだったのに、2人ともそれをしなかった。

そう。昔から2人はいつもそれで音信不通の時期を作ってきた。何回やり直しをしようとしたか。

だのに今回も結果は同じだった。


暇だ!


マッチングアプリに登録することにした。

何人かの男性とも会った。

決して続く事はなかった。


ロマンス詐欺との出会いもあった。

最初何なんだこいつ?やたらと褒めまくり、やたらと自分が儲かっているを誇示している。

君のためにブランドのネックレスを買ったよと写真が送ってた。

私、そんなネックレスいらんけどと思いながら続けているとだんだん怪しくなってきた。

投資を進めてきた。

私は必要ないと言った。断ると男は苛立ち始めた。

終いには脅迫までして来始めた。

なんなんだ?こいつ。

友達に言うとそれがロマンス詐欺だよと言われた。

その時初めてロマンス詐欺と言うものを知った。

それは見事に甘ごとをこれでもかと言うほど並べてくれた。


しばらくすると、また、同じのようなやつが現れた。2度目なので、すぐわかった。手口が全く一緒、ブランドのアクセサリーが今度はブランドのバックだった。

台本があるんだろうねと思った。

どれ、からかってやろうかとしばらく付き合ったが時間の無駄だと思いやめた。


そんな折、自慢話てんこ盛りのやつが現れた。はいはい、どこまで盛るのと思いながら聴いていた。

あれ?こいつ何か違う。

それになんでこんなに慎重なの?


食事に誘われた。

ミシュランのベトナム料理だった。

ベトナム料理は本場で散々食べたけど、うまいと言う印象がないと言って断った。


しばらく料理の話で盛り上がっていった。


ヨーロッパの料理で盛り上がった後、

三河島のキムチの話になった。

あまりのキャップの大きさに、りんはびっくりした。

しょっちゅう買いに行くんだと言う。

そのベンツ、エスクラスで?


りんも行ったことない韓国のお店だったが言ってそのネギキムチとやらを買ってみた。

隣のおばさんのキムチもうまいと言うから、それも買った。

おかげで、りんはキムチ三昧の日々を送る羽目になった。

やたらとガスが出る。

乳酸菌だもんなぁ。


妙ににだんだんと気が合ってきた。

何ヶ月も毎日LINEのやりとりしてるんだもんね。気が合わなきゃやらないよ。


だんだん、あいつの素顔が見えてきた。

自慢てんこ盛りだけは、勘弁してもらいたいが、なかなかの努力家だ。


私が思うに、過去に女性で痛い目にあったのではないか。

あれだけ金持ちならいいよる女性も多かったろうし、こじれたりもしたかもしれない。

とにかく、警戒心が強い。

本名らしき名前を教えてくれた。カタカナで。

やることが派手だからすぐに漢字の名前はわかった。

本人は隠し通してるつもりでいた。

おいおい、私は知ってるぜ。

それを言うと、警戒心を強めるのはわかっていた。


案の定警戒心を強めてきた。しばらくメールはやめる。


わかったよ

とにかくその警戒心は解いて。

私、あなたに危害を加えないから作戦を開始した。

題して『鎧脱がせ作戦』

さて、さて、これからどう展開していくか見ものだ。





後書き(例)


鎧を脱がせるのは、力じゃない。

心の奥にある熱を、静かに呼び覚ますこと。

そうして、彼はもう二度と鎧を着られなくなった。

これが、私の勝ち方。


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