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100点

 和香は休みの日に出来る限り文子のホームへ行き、日用品の補充を欠かさず特に疎かになりがちな下着やタオルのチェックなどもしてくれた。和香も訪問介護員として働き、一時はサービス提供責任者も引き受けていたこともあってか文子に対しては抜かりなく、ホームのヘルパーが手薄の時は和香が文子のトイレ誘導したりもしていた。文子はここのところトイレの失敗が目立つようになり、リハビリパンツとパットを使用することで失敗を未然に防ぐ工夫をした。介護度がつき認知症の認定が出たからといっていきなり生活が寝たきりやオムツになるわけではなく、ちょっとの工夫と声掛けでいくらでも生活は豊かになるものなのだ。それを和香は僕に教えてくれた。

今日は折り紙のサークルがあるから和香は母親に一緒に行ってみようと誘ってくれた。母親は歩行は自立だがトイレの失敗をしてからどうもそういった集いが億劫になっている様だった。元々はそういった集まりには積極的に参加するタイプだったのだが。

「トイレに行って、パットも交換したから大丈夫よ。私も一緒に行くから(トイレに)行きたくなったらいつでも言ってね。」

と誘い同行した。母親の隣に和香が座り、一緒に赤い折り紙でチューリップを折っていた。

「俊介さん見て。チューリップ折ったのよ。」

赤い折り紙で花の部分、緑の折り紙で茎と葉を折り、台紙に貼り付けていた。 

母親と和香がふたりで作り上げたチューリップ。

「折り紙でチューリップができるんだね。すごいね。」

僕は、共同制作の評論家となる。ふたりはニコニコ笑っていた。認知症になったからといって人生この先真っ暗闇ではなく、こうして自分のペースで出来ることを無理なく笑って每日を過ごし、やっていけばいい。

「結構難しいのよ。」

「ね〜。」

僕がびっくりしてしまう程ふたりは仲がいい。和香は母親とも勿論陽菜とも上手くやってくれた。義理の母親となんて中々上手くいかないものと思い込んでいたので和香の愛嬌の良さを誇りに思うし、和香のそういったところを僕は好きになり惚れ込んでしまったところでもある。もしかしたら、母親は和香を美帆子と思い込んでいるのかも知れないけど。それでもいいんだ。皆が笑っていてくれれば!それでもう100点なのだから。

帰りの車の中で和香は

「お母様も俊介さんも今まで十分苦しんだし辛かったでしょう。でももう自分達を罰するのはやめていい。これからは幸せになろう。幸せになっていい。そして私も一緒に幸せになりたい。私が俊介さんを幸せにします。」

ありがとう。十分幸せだよ。これ以上の幸せってあるのかい。これ以上望んだらバチが当たるんじゃないかと思えるくらいだよ。






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