サ責
和香は早速建て替えの為の情報集めをした。先ずは資金繰りをどうするか、土地に関しても曖昧な境界があった。ハウスメーカー?工務店は?仮住まいは?家を建て替えるのにこんなにやらなきゃならないこと、決めることが多いんだ。和香は途方に暮れた。
住宅展示場に行ってみた。ハウスメーカーの営業は皆、眉毛を細くして前髪を上げるか真ん中分けにしておでこをだしているんだな。そんなどうでもいいことを考えていた。本当にあの土地に新しい家が建つんだろうか。そんなお金あるのかな。っていうか銀行はこの私にいくらまで貸してくれるんだろうか。段々不安になってきた。
仕事は短大を卒業してから同じ所で介護福祉士を続けていた。勤めが住宅型有料老人ホームということもあり「訪問介護員」として主にホームヘルパー業務に当たった。要は「ヘルパーさん」だった。家の建て替えを決意してからサ責(サービス提供責任者)への打診があった。「このままヘルパーしててもね?何にもキャリア積めないでしょ。もういい年して何年ヘルパーしてんの。手当は2万つくから。夜勤はもうやらなくていいよ。悪い話じゃないと思うよ。介護保険の勉強にもなるし」⋯その通りだった。ただ、ヘルパー仲間と離れて事務職メインになるのが辛かった。性分じゃなかった。だから銀行も辛かったのか。体を動かして仕事してたほうが合ってたのか。勝手に自己分析した。利用者様と世間話をすることも楽しかった。まぁ認知症の人もいるけど。銀行員時代のひどい肩こりにはおさらばできたがヘルパーの仕事は腰痛との闘いだった。ヘルパーの仲間は皆、和香の昇進を頑張れ!期待している、と送り出してくれた。福祉業務に就いている人はそれなりに優しかった。




