表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
68/73

タルトタタンとお守り

 それから陽菜は高校3年生になった。暫くして、美佐子から小包が届いた。段ボールいっぱいのりんご、サンふじ。

「美佐子さんが面倒みてた子たちなのね。真っ赤で美味しそうね。」

と和香は段ボールを眺める。

味は確かなものだったが段ボールいっぱいなので近所にお裾分けしたり、職場に持って行ったりしてもまだまだ残ってしまった。

「陽菜ちゃん、りんごタルト一緒に作らない?大輝、りんごタルト好きなんだよ。」

和香の提案に陽菜の目の輝き様ったら。

「沢山作って大輝呼ぼっか!」

和香は早速大輝に電話を掛け、次の休みに和香の家に来るように伝えていた。

 パート・シュクレと呼ばれるお皿の様な受けは主にバターと砂糖、薄力粉で出来ている様だ。最初に一度その皿の部分を焼いて型から外し冷ましておく。その間にスライスしたりんごを砂糖とバターで煮詰め、こちらも先ほどの型に入れてオーブンで焼く。これはポムタタンと呼ばれるそうだ。更ににクレームパティシエールと呼ばれるカスタードクリームを作り、先ほどのパート・シュクレに敷き詰め、その上にポムタタンを乗せる。ポムタタンを作った際の煮汁を更に煮詰め表面に塗って完成⋯意外と手間のかかる作り方の様だが陽菜は楽しそうに作っていた。大輝が来るからかい。和香は以前お菓子教室に通ったことがあるそうで、大輝が小さいころに作っていたという。和香と陽菜は僕が入る余地がないほど仲が良く、僕は嫉妬してしまう位だ。りんごタルトは焼き上げて冷やし食べ頃になった頃、ちょうどいいタイミングで大輝が来た。大輝は既に僕たちの結婚を認めてくれていた。ただ、大輝も陽菜の進路が決まってからの入籍がいいのではないかと言ってくれていた。大輝は学校では他の生徒と同等に陽菜とも接し、決して陽菜を特別扱いせずにいてくれた。ただ、今日は和香の息子という立場で来てくれた様だ。

「大輝先生、忙しいのにありがとう。美佐子から沢山りんごが届いてね。和香と陽菜がタルト作ったから是非食べて。」

僕は切り分けたタルトタタンを大輝に差し出す。

大輝はありがとうございます、と言ってがぶっと頬張った。

「うん。美味しい!」

和香と陽菜がきゃーっと手を取り合う。僕ももらおう。うわぁ。手作りのタルトってこんなに美味しいんだ。作っている最中の焼いている香りも最高だったけど。美佐子が作ったりんごを和香と陽菜がタルトにして魂を込め、それを僕と大輝が頂く。この繋がりの網目模様が運命のように思えた。この香り。この味わい。ありがとう。

陽菜はいよいよ入試を控えていることもあり、大輝はあまり長居せずにアパートに戻ると言った。陽菜に合格祈願のお守りを手渡して⋯。後から聞いた話しだが、わざわざこのお守りの為に湯島天神まで行ってくれたそうだ。大輝は他の生徒には内緒にして欲しいと付け加えて。陽菜は絶対に合格します、とお守りを胸に抱き返事をしていた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ