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言っていい

 翌朝、和香さんが私の髪をまとめてくれて、買ってくれた黒猫モチーフのバレッタを付けてくれた。今日は体育の授業はないし着替えなくていいから崩れないね、といつもより凝った編み込みをしてくれた。

友達の葵から

「陽菜、最近ヘアアレンジかわいいね。自分でやってるの?」

と聞かれて、パパの彼女って言うべきかお母さんと言うべきか、ママって人は一人しかいないから何て言うべきか悩んだ。

「同居人?一緒に住んでる女の人。多分パパと結婚すると思う。」

「へぇ~っ、すご。どんな人?」

葵は噂話に目をキラキラさせるタイプかな?大輝先生のお母さんって言うのは内緒にしておいた。

「うん。いい人だよ。介護福祉士してて、お弁当もちゃんと作ってくれて。夜勤もある仕事してるのに。」

今日もかわいいお弁当作ってくれた。赤ウインナーがタコ足になっていて逆さまに入れてあり、中心にケチャップをちょんと付けることによってそれが花が咲いているように見えた。

「陽菜のお弁当いつも食べるのが勿体ない位だよねー。もう、うちのお母さんももうちょっとかわいいお弁当作ってくれないかな。肉しか入ってないし〜!ご飯と肉だけだもんね、男子の弁当じゃあるまいし。茶色オンリーだよ。」

葵のやっかみとも羨ましさとも取れるボヤキを笑いながら聞き、陽菜はお花のウインナーを口に入れた。

和香さんは流産してから落ち込んで本当に可哀想な感じだったけど、それでもちゃんと私のお弁当は夜勤明けの時以外は必ず作ってくれて、髪をまとめてくれた。もしかしたら、私の妹か弟になったのかも知れない命、だったのかな。今まできょうだいがいなかったからあんまり想像つかないな⋯。

この前は和香さんは靴下を買ってきてくれた。学校では靴下の校則はないので猫のモチーフのものやボーダー柄などがあり、履くのが楽しみだった。和香さんは

「下着は足りてる?大丈夫?多分俊介さんには言いにくいでしょ?」

って言ってくれて、ブラジャーやショーツ、生理用品も買い揃えてくれた。ブラジャーに至ってはアンダーバストやトップバストをちゃんと測ってくれるお店に連れて行ってくれて、自分が思い込んでいたサイズとは違っていてぴったりすっと馴染むブラジャーを選べた。私にはそうやって優しくしてくれるけど、和香さん自身は地味な感じで、ブラジャーのお店でも「和香さんも測らないの?」と聞いても「私はいいから陽菜ちゃんに」と私のことばかり優先してくれた。

パパのことを本気で好きで大好きだから結婚したい、家族になりたい、と真剣に言ってきた時、私は大人でもこうやって「好き」って言っていいんだと思えた。大人のひとだってそうパパや和香さんだってひとを好きになるのに年は関係なく、気持ちに正直になっていいんだ、と思えた。そして、立場的には卑怯だったけどママだって、ひとを好きになってしまうこともある。許されないけと、そう思った。

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