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大輝について.2

大輝は教育実習を無事に終えた。元々教師志望ではなかったが、高校の生徒たちが自分に懐き彼らの「青春の1ページ」に少しお邪魔しても悪くない。寧ろそうしたい。そんなふうに思えてきた。教員免許取得見込で採用試験を受け、大輝は卒業と同時に公立高校社会科教員の道へ進むことになった。

大輝は日本史が兎に角好きだった。今どきの高校生達に日本史をもっと知ってもらいたい。今この世の中で起きていることを理解するにはかつてのことを、昔のことを、理解するともっとよく解る。かつてのことを振り返るのは決して無駄なことじゃない。教育に熱心なタイプでもないが、殊更日本史のことになってしまうと鼻息荒くなってしまうのだった。

「先生、本当に歴史好きなんだね」一人の女子が声を掛けてきた。「勿論。今の日本があるのは過去があってこそ」と答えた。「そんなに過去って大事なの?」「そりゃあ⋯」興味津々で見つめてくる女子高生。確か宮島陽菜だったっけ。そんな純粋な目で俺を見ないでくれ。「過去は大事だよ。過去の上に今があるのだから」歴史に興味でもあるのだろうか。「ふぅん⋯」それだけ行って宮島はどこかへ行ってしまった。なんなんだ。何が言いたいのか。授業の進め方が良くなかったのか。やはり教員って大変なんだな、難しいんだなと考えあぐねた。でももしかしたら教員続けて学芸員になれるチャンスが巡ってくるかも知れない。何か繋がりか持てるかも。そんな僅かな希望を持ちつつ教員を続けることにした。他に特技も資格もない、好きな歴史に少しでも接点があるなら。本当にそんな理由だった。

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