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俊介について

 俊介は仕事の多忙さと元妻、美佐子との離婚で少しやつれ、疲れもあった。一人で暮らしているマンションに戻りネクタイを緩め冷蔵庫から缶ビールを取り出し飲み干した。ビールを飲み干した後、腕時計を外した。デジタル仕様のものはあまり好まず、国産品を好む。美佐子たちと一緒に住んでいた頃は帰宅してから風呂に入り、それから晩酌をして長女の陽菜の相手をしていた。帰宅してすぐに缶ビールを開けたら美佐子が注意してくるので、その習慣はやめていた。ふと陽菜が小さい頃、俊介が帰宅するなり「パバー!」とぬいぐるみを抱きしめながら走り寄ってきた姿が浮かんだ。

恐らく、美佐子が不貞をしなかったら自分は離婚しなかっただろうと考えている。陽菜の中学卒業を待って協議離婚した。陽菜は「自分は大丈夫」と言っていたが、不安がっているのは分かっていた。「俺のどこがダメだったのか?」と自問自答しつつも、美佐子と陽菜のために一生懸命仕事をし、授業参観にも運動会にも参加し、町内会長も務めた。陽菜が5歳の頃、あの土地を買って建築士である自分が家を設計した。美佐子と陽菜の為のこだわりは沢山あった。結局、美佐子と陽菜にこの家を託し自分はマンションを借りる形にした。

 先日行きつけの床屋で、これから暑くなるからと流行りの刈り上げられた短髪にした。もうそんな年じゃないからと一度は躊躇したが、理容師に「俊介になら似合う」と勧められた。高校生になった陽菜が「カッコいい」と喜ぶので、これで良かったのかと思った。   学生時代はバスケットボールに熱中したこともあり、身長は188センチと高身長で、それが俊介の魅力を更に輝かせている。高身長ゆえ既成の服が合わない時がある。自己を信じる強い目元が特徴。最近は老視と乱視が進んだことを自覚した。眼鏡は鯖江製の職人が作った眼鏡で美佐子が選んだフレームを愛用しているが、美佐子が選んでくれたことを思い出しどこか別の場所で作り直そうかと考えた。

美佐子との出会いは就職したハウスメーカーでの同期入社だった。美佐子が社内の高嶺の花で、男性社員が噂するほどの美人だったため、彼氏がいないと知るなり猛アタックし射止めた。美人の美佐子が他の男性社員ではなく自分を選んでくれたことが嬉しかった。

陽菜が中学に上がった頃、先に独立し事務所を構えていた先輩の山下から「好きなように仕事ができるぞ」と聞かされた。将来のビジョン。やってみたほうがいいのではないか。まずは山下の事務所を手伝う形で退社を決めた。その際、俊介が勤めていたハウスメーカーの住宅展示場の事務所で欠員が出たため、専業主婦だった美佐子がパートに出たいと言っていたのを思い出し、彼女にその仕事を勧めた。かつて夫婦で同じ職場にいるのが恥ずかしくて美佐子に結婚退職してもらったこともあり、自身が退社する身でもあったため、陽菜も手がかからなくなってきたので良いタイミングだと勝手に思っていた。


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