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独り旅20
喋れないままでいると、ガタイの良い男が理玖十が着
ているローブを掴んできた。
「おい!なんか言ったらどうだ!」
「あ、あの。その手、話してもらえませんか」
「はあ?離すわけないだろ、弱者のゴミクズ相手
に!」
「離してください、これは、恩人からいただいた大切
な物なんです。なので、離してくださいお願いしま
す」
「イヤだね、そんなに大切なら、こんな事してもいい
よな!」
すると、男が、理玖十が着ているローブを引き破り投
げ捨てた。
「え?ビリビリになってる」
「おいおい、自分が死ぬわけでも無いのになんて顔し
てんだよ。」
「おい!よくも俺が大事にしているものを壊したな!
俺は今お前に一発かまさないと気がすみそうにないよ
だから俺の怒りを買ってくれない?君が好きそうな殴
り合いでいいからさ!」
次は、独り旅21 です。




