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【ホラー 怪異】

うつくし、うつくし

作者: 小雨川蛙


うつくし、うつくし

あなたのおかお


そんな歌がどこからともなく聞こえてきたならば、うつくしさまが傍に来た証拠。

うつくしさまは何よりも美しいものが好き。

だからいつでも、美しいものを探している。

そして、うつくしさまが見初めたもの。

例えば、そこに居る少女のお顔。


ちょうだい、ちょうだい

あなたのおかお


そう笑ってうつくしさまは少女のお顔を引きはがす。

赤々と紅に塗れた少女の叫びを無視してうつくしさまは笑い出す。


うれしい、うれしい

きれいになれた


痛みに叫び続ける少女を見つめ、うつくしさまはさらに歌う。


うつくし、うつくし

あなたのからだ


意味を理解した少女は必死に逃げようとしても、うつくしさまは力強く少女の体を押さえつける。


ちょうだい、ちょうだい

あなたのからだ


子供がはしゃぐような無邪気さで少女の体を一つ一つ奪っていく。

少女は直に叫べなくなり、生きているのか、死んでいるのかも分からなくなってしまう。


うれしい、うれしい

きれいになれた


そうしていると、またまたうつくしさまの歌が聞こえる。


うつくし、うつくし

あなたのこころ


最早、どうやって聞いているかも分からない少女の心は恐れ震えだす。

お願いします。

それだけは絶対に取らないでください。

お願いします。お願いします。お願いします。


しかし、次の瞬間に少女は何も分からなくなる。

もう、心は少女のものではなく、うつくしさまのものだから。

聞こえているのはうつくしさまのお歌だけ。


うれしい、うれしい

きれいになれた


とっても、とっても

きれいになれた


うつくしさまはよろこんで

そのまま、そのままあるきだす


あなたのほうへあるきだす


うつくしさまがやってくる

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