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その男Ethan  作者: ゲイビ女
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かよさんのこと

かよさんのこと




私がゲイビにはまったきっかけを聞いたのは、息子の療育仲間のママ、かよさんだった。


背が高く、いつも髪色を奇抜な色に染めている彼女はなかなか近付きがたい雰囲気を醸し出していたけれども何かのきっかけで話しかけた時、偶然にも母の実家のそばの出身ということが判明して一気に仲良くなった。

あんなド田舎、と言っては失礼だけれどもそうとしか言いようのない田舎の出身の彼女はとても気さくで会ってはいろんな話をするけれど、実はオタクの中のオタクだったことは結構後になってから知ったと思う。

「え!?あやさんってオタクなんですか?!全然見えない!何オタですか?」とはしゃぐ彼女の言葉は誉め言葉として受け取ってもいいのだろうか。

「えっと…BL…」

「そうなんだ!!私全然読まないんですけど面白そうですよね!」

彼女がコミュ障というのは本当なのかと思うくらい良い反応見せてくれた。

「最近は進化して…あの、ゲイビ…」

「えええ---!?すごい!」

適当に出た”すごい”ではなくて、こちらが嬉しくなってしまうようなテンションの”すごい”に気を良くした私は即彼女にスクショを送った。


Twitterの悪夢のことなんてすっかり忘れて。


「やばいいいいいいいいいい」みたいな文面が返ってきたような気がする。

「尊いいいいいいいいいいい」も。

なんと言う食いつき。さすが雑食。

予想を大きく上回った好反応に続々とスクショを送り、ようやく萌を共有できる人ができた喜びに打ち震えた。


早朝から二人のラブいシーンのスクショを送り付け、Hugh様の(もう界隈から引退されている)現在進行形のインスタ垢を見つけたと喜びを報告しまくった。大分暑苦しかっただろう、ごめんね。


無駄に英語が分かる私は毎日毎日仕事そっちのけでEthanを調べまくっていたのだが彼の行方は2019年辺りから全く掴めなくなっていた。

Ethanって名前は果たして本名なのかどうかも分からない中、個人アカウントを見つけるにはクリミナルマインドのガルシアのようなハッカーと友達にならないと不可能なのかもしれない。

非現実的なことを言い始めた四十路の腐ったおばさんはふと、思った。



いつかEthanに会った時、こんな私でいいのか。と。

足の長さや顔の作りは神の采配と私は思っているから諦められるが、Ethanのあのすべすべお肌に完璧に鍛えられた筋肉。

対する私の乾燥した顔、だらしなくたるんだお腹は一体何なんだ。

愕然である。オーマイガーである。


こりゃどげんかせんといかん。とは何年前に話題になった言葉だろう。

あの言葉を流行らせた彼とは対照的に私は髪の毛がフサフサだ。良かった。

しかし!!マジどげんかせんと!

まさにそんな心境になった私はカードを握りしめてビューティーカウンターに走り基礎化粧品を買いまくることとなる。


会えないと頭でわかっていても推しへの愛の暴走は止まらないものだ。


そんな気持ちもかよさんなら分かってくれる。

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