ep.4
はぅあぁ!?
いやいや、ほんとに俺なのか?
さっきから顔の動き、手の動きが一糸乱れずに一致しており、それがただ単に《守護石》に反射している自分の姿だということに気づく。しかし、あまりの予想外な姿に《守護石》に宿る妖精さんって言われた方が信じられそうだ。
家に鏡がなく、自分の容姿について知る機会がなかっただけにびっくりした。イケメンと美女の間にできた子供だから容姿はそれなりに良いんだろうとは思っていたが、どうやら容姿端麗らしい。
主に女の子的に。
…………。
ほんとに俺なのか?
気になって《守護石》に手を伸ばしてみる。
「…………いいか、そういう事だから魔力を吸い取る力の強い《守護石》には絶対に……、っておい!アレン!!」
あれ……、なんだこれ…………。
触ってみると金属特有のひんやりとした感覚を手のひらで感じる。
しかし、その感覚は次第に腕へと広がり肩から体全体に広がっていく。
まるで体の体温がこの《守護石》に吸い取られていく様な……。
駄目だ……意識が……。
俺は意識を手放した。
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「―――・・――アレ・・・―――アレン!!」
「――ん……?―――あ!あれ?」
「やっと目を覚ましたか。ったく、焦ったじゃねぇか」
あれ?
俺は確か《守護石》に触って気を失って……
あれ?その前まで何をしていたんだっけ、親父から《守護石》の説明を聞いたのまでは覚えてるんだけど。
「あんだけ《守護石》の魔力を吸い取る力は強いんだって教えたのに何で触るんだよ……。好奇心が旺盛なのも中々危なくてしょうがないな」
「だって……無属性の民は魔法が使えないし……」
「魔法は使えなくても人間誰しも魔力は持ってるんだよ。白魔銀が勝手に吸収していくのは大気の魔力と体外から使われた魔法だ、だから基本は無属性の民にはあまり関係ないが、直接触れた場合は別で体内の魔力をごっそり持ってかれる。俺たち無属性の民にとっての魔力は生命力みたいな物で身体能力に直接影響するんだ」
「じゃ、じゃあさっき僕の魔力は……?」
「アレンは魔力を全部持ってかれて魔力枯渇を起こして意識を失ったってわけだ。無属性の民は体内の魔力生成すると共に消費している、それによって高い身体能力を得ているんだ。近くの店でマナポーションが売ってなかったら危なかったかもな。いかんせん無属性の民の魔力生成量は多くないんだよ」
「魔法を使う人がいないのにマナポーションが売ってるんですか?」
「まぁアレンみたに不意に白魔銀に触れて魔力枯渇を起こす人がたまにいるからな。そういう時の為だ。とりあえず今日はもう帰るぞ」
「えぇ!まだ行ってないとこが沢山あるのに」
「駄目だ。また今度すぐ連れてってやるから、な?」
どうやら帰るのは決定事項らしく、ディノスに有無を言わさず乗合馬車の方に連れて行かれる。
「分かりました……」
もっと色々見たかったのになぁ、城内も殆ど見れずじまいだった。
うっ……でも意外とこれしんどいかも……。帰ったらすぐに寝よう。