ep.3
「こちらは御息女ですか? 可愛らしい子ですね。奥様に似て綺麗な顔立ちですし、将来はさぞ奥様のように美しくなるでしょうね」
話にひと段落ついたのか、話題が俺に移る。
ていうか御息女? 俺男なんだけど。
え? 男だよね!?
確認、確認……
「どうしたんだアレン、トイレか?あ~こいつはな、息子なんだよ。ただ見た目がこんなだからよく間違えられる。基礎トレーニングもさせてなんとか筋肉をつけさせようと思ってるんだがなかなか筋肉が付かなくてな。見ての通り随分と華奢なんだ。どこまでも母親似だよ」
「ご子息様でしたか、これは失礼致しました。初めましてルーク=バロンです」
「は、初めましてアレクシスです……」
「聡明そうな子だ、武官よりも文官タイプでしょうか?」
「あぁそうかもな、こいつ家の書斎にある本全部読んじまったんだよ。最初から敬語で喋るし。多分クリスの会話を聞いてそうなったんだろうな」
「それは将来が楽しみですね。隊長の息子さんですし立派な近衛になりそうだ」
「まぁ、近衛になったらそれはそれで嬉しいが。俺はこいつの将来は自由にさせるつもりだ。もし近衛に入っても文官にでもなったら教えられることはなさそうだけどな」
「そんな事はないと思いますけどね。隊長の助言はとても勉強になりますから」
「ルーク隊長、そろそろお時間が……」
「あ、すいません。明日までには北の前哨基地にいないと行けないので、そろそろ馬車で出なければいけないみたいです。もっとお話したかったので惜しいですが」
「あぁ、引き留めて悪かったな」
「いえ、とても有意義な時間を過ごせました。それでは」
「おう、じゃぁな」
「さ、さようなら」
いろいろと予想外な話を聞いて俺は終始キョドってしまった。
今聞いた分からないことはとりあえず家に帰ってから聞こう、それまでは一旦わすれて親父の見せたいものとやらを見ることにしよう。うん、そうしよう。
何気に元近衛だった事もあり、親父の見せたいものが何なのか更に気になっていた。単純に城の中を見てみたいってのもあるけど。
「お勤めご苦労さん、ちょっと開けてくれ」
「っは!」
親父が声を掛けると城門に立っていた近衛兵はすぐさま門を開けてくれた。
大きな城門がゆっくりと開いていくと、中に広がる庭が見えてくる。
さすがは王城、広く大きな庭は隅々まで手入れがされており、城門から城に続く道を中心に左右対称になっている風景はまるで一つの芸術だった。
左右に様々な噴水が置かれており、華美な装飾があるわけでもないのに荘厳であった。草木も毎日手入れがされているのだろう、まるで作り物ように形が揃っている。
そんな風に庭園を感動しながらしばらく歩くと、巨大なドーム型の建物のところに着いた。ステンドグラスで覆われた巨大なドームの屋根は太陽の光を浴びてキラキラと虹色に光っていて綺麗だ。
「見せたい物っていうのはここん中にあるんだ」
親父はそう言うと、巨大なドーム型の建物の扉を開けた。
金属制の4mはありそうな重い扉を簡単に開けてるところに少し驚きながら中に入る。
「す、すごい……!」
中に入るとそこにはとても広い空間が広がっていた。けれど、だだっ広さを感じることはない。それは、その中心に50mはありそうなオベリスクの様な形をした巨大なオブジェクトがあったからだ。光を浴びてキラキラと虹色に輝いてる様子はとても神秘的で、金属の様な光沢を放っていた。
きっと親父が見せたい物っていうのはこれの事なんだろう。
「どうだ? 凄いだろ」
うんうんと無言で頷く、これは本当に凄い。かなり特別な物なんだろうという事はすぐに分かる。一体なんなのだろうか……。
「これはな、《守護石》っていうんだ。そういやアレンは白魔銀の事は知ってるか?」
「本で少し読んだくらいしか知らないです」
「白魔銀はな、あらゆる魔力を吸収する金属の事だ。少し白みの掛かった銀色をしているんだが、《守護石》も同じような金属だ」
あぁ、城壁とかに使われていた白銀色の金属板はやはり白魔銀だったのか。しかし、目の前の巨大なオブジェクトは少し様子が違う。
「でも、色が随分と違うみたいですね」
「《守護石》はかなり特別なんだよ。一概に白魔銀と同じって訳じゃないんだ。まず、普通の白魔銀は王都の壁外のあちこちにあって5メトロの大きさの物は魔力を吸い取る力も半径5メトロぐらいだ。まぁ効力に個体差はあるんだけどな。それに比べて《守護石》は50メトロと大きさが桁違いで、魔力を吸い取る力は白魔銀とは段違いの半径5キトロに及ぶ。」
5km……
単純計算で白魔銀の力の100倍だ。
「凄いですね。魔法の使えない無属性の民を魔法から守る石、だから《守護石》ですか」
「そうだな、この国を象徴する白魔銀だから神聖視されているんだ。初代の王アル=ジェントは《守護石》がここにあるからここに王都を築いた。無属性の民を魔法から守るためにな。王都全てを《守護石》で守れはしないが、王城は《守護石》がある限り一切魔法の効果を受けない。城外も無数の白魔銀があるから魔法の脅威に晒される事は少ない」
「じゃあ王城は魔法に対しては無敵で、しかも白兵戦最強の近衛兵が控えているから不落の要塞ってことですね」
「あぁルミナリー王国は防衛に関しては他国よりも断然上を行くだろうな」
もっと近くで見てみようと思い、《守護石》の傍まで近づいてみる。ツルツルの表面は一切傷がついていない。食い入るように見ていると、《守護石》の中から目のパッチリとした可愛らしい幼女が俺の事を見つめていた。
目鼻立ちはくっきりとしており、小さな唇は桜色、不思議そうに俺の事を見てくる様子は保護欲を掻き立てられるほどだ。銀髪のボブカットで少し不愛想な雰囲気だが、年相応の愛らしさも同居していた。虹色に輝く《守護石》に映っていてもなお、その陶器のような白い肌は滑らかに映る。
よく見ると服装は俺のに酷似していた。
ていうか、俺だ。
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