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第七十九話 VS多世界最強 その8

遅れましたー!! ごめんなさい。

「はっ!」

「っ、三割近く削るか……!」


魔力性質を解禁したファルシオン選手との戦いは熾烈を極めた。

蛇腹剣。世間一般で言うところの浪漫武器であるが、達人の練度で操られるそれは脅威の一言に尽きる。元ネタとなった地球世界のフィクションさながらに、広大な攻撃範囲と変幻自在な軌道から繰り出される斬撃によって、為す術なくゴーレムたちが斬り裂かれていく。

恐れていた事態、ファルシオン選手が範囲攻撃手段を手にしたことで、一時は優勢だった戦況は見事に膠着。そのまま最終ラウンドへともつれ込んでいた。


「キリがない……!」

「近付けないか……!」


魔力の刃が縦横無尽にリングを舞い、際限なく生み出されるゴーレムたちが(はかい)を厭わず突撃する。


「ここまで終わりが見えないとか、本当にどんな魔力量なのさ!?」

「二十以上のゴーレムで包囲しても届かないって、これだから達人って奴は!」

「「このバケモノめ……!!」」


ほぼ同時に漏れる舌打ち。しかし、次の瞬間にはお互いの顔に獰猛な笑みが浮かんでいた。

方やスポーツにおける多世界最強。方や実戦における最強組織の末席。方や最高の『個』を貫くスタイル。方や最大の『数』を操るスタイル。天性の『武』の才。最高位の『魔法』の才。僕とファルシオン選手は何もかもが正反対で、本来は交わることのない位置にいる。それ故に戦いは噛み合い、拮抗する。

……なるほど。これは確かに楽しいものだ。スポーツとは縁がなかった僕でも分かる。切っ掛けこそシズクちゃんへのカッコつけ。だが、今はそれを抜きにしても、負けたくないと感じている僕がいる!


「はぁ!」


ファルシオン選手が腕を振るえば、長大な刃がリングの上を踊り、嵐のようにゴーレムたちを蹂躙する。


「なんの!」


僕が地面を蹴れば、破壊された数以上のゴーレムたちが生み出され、新たな包囲網でもって圧殺せんと戦術的にファルシオン選手へと迫る。


「そこ!」


裂帛の気合いでファルシオン選手が剣を操り、蛇のように蠢く蛇腹剣の剣先が、ゴーレムたちの包囲をすり抜け僕を切り裂かんと飛んでくる。


「甘い!」


対して僕は盾となるゴーレムたちを新たに生み出し、刃の蛇が此方に辿り着く前に遥か遠くに飛び退いた。


「今!」


そして剣先を僕の方へと飛ばしたことで生まれた隙、蛇腹剣の軌道が限定された瞬間を狙い、数多のゴーレムたちを突撃させる。


「舐めないでよ!」


だが、その突撃は達人の練度によって繰り出される格闘術によって粉砕された。更にその一瞬で蛇腹剣の軌道が修正されたことで、再び隙がなくなってしまう。


「「……」」


そして発生する睨み合い。一連の攻防が終わり、互いに次の一手からの流れを模索する為に、思考回路そのものが加速していく一瞬の空白。

状況を整理しよう。まず戦力的には拮抗している。そして状況的に優勢なのは圧倒的に僕の方だ。故にこその思案。恐らくファルシオン選手は、如何にこの状況を打破するかを考えている。

まずファルシオン選手の場合、ダウンという状況的な縛りがある。僕は序盤こそボッコボコにされてたけど、なんとか踏ん張ってダウンは取られていない。故にこのままラウンドが終わってしまえば、判定で僕が勝つことになるだろう。それを防ぐ為にはどうにかして僕との距離を詰めなければならないが、ゴーレムへの対処のせいでそれも難しい。範囲攻撃ができる蛇腹剣を使うことである程度の対処は可能になったが、僕がそれを折り込んだ数に切り替えたことで包囲網を抜けるまでには至っていない。平然と数を増やすことで対応してきた僕に、ファルシオン選手は歯噛みする想いだろう。

そしてこれはファルシオン選手の消耗を加速させる。元々、数の差を盾に絶え間ない攻撃を仕掛け、スタミナや精神を削っていたのだ。蛇腹剣を使うことで攻撃範囲こそ拡大したが、ゴーレムが増えたことで対処する数も増えた。当然、消耗だって加速する。更に言えば、今は魔力的な消耗もある。徒手空拳だった時は強化魔法でしか魔力は消耗しないが、魔力性質によって武装にも魔力を使うようになった。固形化の魔力性質は、放出した魔力を固定することで擬似的に物質のような扱いができるというもの。一応、物理的な硬度も持ち合わせはするが、それでも本物の物質になった訳ではないのだ。あの蛇腹剣も見た目こそ武器だが、本質的には蛇腹剣の形をした魔力弾。つまり、何かを破壊するとその分だけ魔力が消費されてしまう。達人の練度と物理的な硬度によって消費こそ最低限に抑えられているだろうが、それでも魔力が失われることには変わらない。あの蛇腹剣を維持する為には、ファルシオン選手は継続的に魔力を消耗することになる。魔力の総量は知らないけど、負担が増えているのは確実。

対して僕。序盤の滅多打ちでダメージこそ甚大だけど、機動隊の訓練やら実戦やらで慣れているので動けない程ではない。スタミナの方は、ゴーレムを出してからは指揮に徹しているので問題無し。魔法方面の負担は挙げるまでもない。このルールではどうやったって僕に魔法関係の負担は発生しない。

つまるところ、僕はこのままゴーレムをけしかけ続け、接近を許さないようじっくりと長期戦の構えを取れば勝てる。逆にファルシオン選手は、一発逆転を狙った短期決戦でしか勝ち目が無い。

情報の整理を終え、徐々に思考が現実の速度に戻っていく。体感時間では濃密な、されど現実ではほんの一瞬。その一瞬でもって全ての結論は出た。


「……となれば!」

「これで片をつける!」


動き出したのはほぼ同時。ファルシオン選手は僕の方へ。僕はバックステップでもって今いる地点より更に後ろへ。

予想通り、ファルシオン選手は短期決戦を選択したらしい。まあ、そうでなければ勝ち目が薄いので当然か。


「行け!」


とは言え、近づかれたら終わりなのは僕も同じ。抵抗としてリング上で包囲網を敷いていた全てのゴーレム、更には生成された端からファルシオン選手へと嗾けるのもまた当然。

必要なのはファルシオン選手の足止め。故にゴーレムたちの突撃に戦術的な連携は無い。そこにあるのはただただ圧倒的な密度と物量。全方位からの津波が如きゴーレムの群れで、ファルシオン選手を引き潰す!


「邪魔、するなァ!!!」


それに対して、ファルシオン選手が取った実にシンプル。蛇腹剣を前方目掛けて思い切り振り下ろしたのだ!


「っ、そうきたか!!」


その真意を察して思わず声が出た。

相変わらずなんて機転! あの蛇腹剣は魔力によって生成されたもの、つまり事実上の魔力弾だ。ならばその力を一気に解放すれば……!!



──リングの上に衝撃が走る。



蛇腹剣の軌道はファルシオン選手の前方、即ち僕の方へと目掛けた上段からの振り下ろし。その軌道上にいるのは、ファルシオン選手の勢いを削ぐ為に生み出したゴーレムたち。結果として、蛇腹剣は岩の津波を縦に両断し、そこから魔力弾の如く爆発した。

今まで武器として扱っていたものを、ファルシオン選手はこの1回の為に魔力弾として扱い、一時的に武器を失う代わりに起死回生の一手を打ったのである。

先頭から迎え撃たれたのではなく、津波の内部からの破壊。真横から発生した衝撃によって、殆どのゴーレムが薙ぎ倒されてしまう。元々、自立機動などソフト面を優先し、ハード面でのスペックはルール上でそれなり以下となっているスペック。そこにルール内の最大威力の攻撃(サイズが大きくなっている分、通常の魔力弾に比べると大幅に威力が低いとはいえ)を真横から喰らえば、それはもう見事に大半のゴーレムがリングの上を転がった。

それ即ち、僅かな間とは言え僕に通ずる道ができたということである。


「これでぇ……!!」


そしてファルシオン選手にとっては、その一瞬だけで僕の元へ到達するには十分過ぎるものだった。神速の踏み込みでもって後方から迫るゴーレムたちを引き離し、ただの一撃でもって作り上げた勝利への道を駆け抜ける!


「終わりだぁぁぁ!!!」

次回、決着(多分)。



最近この作品を書いてて思うのですが、ブックマークの数が頑なに100を超えないんですよねぇ。……あ、いえ、愚痴とかでは無いのでそこは悪しからず。リハビリと信頼回復の為に書いてる作品ですし、評価云々はどうでも良くはないけど重視してないので。

ただ何故か90後半で増減してるので、そこが単純に『?』なんですよね。私自身なろうのハードな読み手ですが、ブックマークって基本外さないじゃないですか。更新なくても放置になるだけですし。何故96から99をいったりきたりするの? なにこれシステム上の問題? それとも単純に展開が気に入らなくて外されてる?


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