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少年魔導師の魔法スポーツ部活録〜これでも最強戦闘組織に所属してます〜   作者: みづどり
第三章 フリットカップに向けて
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第五十八話 ああ、ナナ。貴方はどうして──

忘れてた。以上。そしてついに残基飛んだ!

色々あった、本当に色々あった1日が終わりました。


「ふぅ……」


ナナのツテで用意された、機動隊の訓練でも使われる訓練施設(の端っこ)でのトレーニング。強化魔法を使ってのナナとの組手。ロアさんとユメさんの訪問。ユメさんによる指導。ナナとユメさんのハイレベルなトレーニング。ロアさんとの対話。ナナとの予想外な繋がりの発覚。

1日に起こるには多過ぎるイベントの数々。そうでありながら1つ1つが濃密で、肉体的にも精神的にもクタクタです。

普段なら帰宅後も軽く筋トレなどを行うのですが、今日は無理でした。家に着いたらそのままお風呂に直行して、ご飯を食べて早々に寝る準備を済ませてしまいました。もう今日はベットの上から起き上がれる気がしません。


「……それもこれもナナのせいです」


今日のことを振り返っていると、自然とそんな文句が口から零れていました。

でもそれもしょうがないと思います。今日起こったイベントは、全てナナがきっかけ又は関与していたのですから。これぐらいの文句を言っても、バチは当たらないでしょう。

……とは言え、です。


「まさかナナが本当の命の恩人だったなんて……」


それでも微妙に後ろめたく感じてしまうのは、ロアさんから齎された衝撃的な情報故でした。


──オーレンタワー爆弾テロ。


かつて巻き込まれた最悪の大事件。私のトラウマ。

あの時は折角の休日だからと、家族でオーレンタワーに遊びに行っていました。お出掛けということではしゃいでいた私は、エレベーター前のお店で買い物をしていたお父さんとお母さんを置いて、1人でエレベーターに乗り展望台に向かっていました。どうせ1本遅れて2人がやってくるのだから、エレベーター前で待っていれば逸れることは無いと考えて。……その僅かな単独行動が、致命的な事態を引き起こすとは知らずに。

展望台に着いた瞬間、下の階から聞こえてきた轟音と衝撃は、今でも鮮明に覚えています。ガラスの向こう側で立ち上る黒煙も、パニックで逃げ惑う人々も、忘れることができません。

あの時の私は、何が起こったか分かりませんでした。ただでさえ幼く、頼りになる両親もいない。子供だった私にできたのは、恐慌を起こしていた人の波から逃げ、人のいない壁の方で蹲ることだけでした。

そして気付けば、私は完全に逃げ遅れ、展望台にひとりぼっち。しかも運が悪いことに、爆破によってエレベーターは止まり、下の方で火災が起きていたのか階段からは黒煙。誰もいない展望台に、閉じ込められていたのです。


「アレはもう死ぬかと……いえ、普通に考えれば確実に死んでるような状況ですよね」


どう考えてもあの状況は詰みです。幼いながらにぼんやりとそれは理解できました。


──私はここで1人で死ぬんだ。


そう考えてしまって。怖くて。死にたくなくて。涙が出てきて。


「……っ、いけませんね」


当時の絶望がフラッシュバックして、目が潤んできてしまいました。分かってはいますが、あの時の傷は中々に大きいものです。

……だからこそ。


「……今でも信じられないぐらいなんですよね」


私の深い絶望を、展望台のガラスと一緒に吹き飛ばしてくれたロアさんには、感謝してもし足りません。

あれ以降、私の中では1日足りともロアさんに対する感謝を忘れたことはありません。だってあの日以降の日常は、全てロアさんがいたからこそ積み重ねることができるのです。忘れられる訳が無いんです。

死の絶望が大きかった分、救ってくれたロアさんは私の中では希望の象徴となりました。


その希望の象徴を運んだのが、私の友人だった訳ですが。


「……ここで何でナナが入ってくるんですかぁ……!!」


頭の中でナナの顔が浮かび上がり、思わず悶えてしまいます。

何度も言いますが、ロアさんは私の中で大変大きな存在です。大切な人、両親やシズクのような親愛のカテゴリーとは別の、憧憬のカテゴリー。こう言うとアレですが一種の信仰対象です。……その横にひょっこりナナが加わってしまったのだから、本当にパニックなんですよ!


「……これからどんな顔して会えば良いんですか……」


信仰対象のカテゴリーに友人が入る。何ですかソレ。本当に何なんですか!? こんなのどうしたら良いか分かりませんよ! 私はこれからどうやってナナと接していけば良いんですか!? ……普通にすれば良いなんて当たり前な選択肢は存在しない方向で。


「……いや、分かってはいるんです。分かってはいるんですよ……」


頭の中の冷静な部分は普通に告げているのです。そんなに身構えることも、特別視する必要もないと。ナナも別にそんなことは望んでいないと。

それでも出来ないんですよ。……あの時は本当に怖かったんです。だから、あの絶望の中から私を救い出してくれた人を、特別扱いしないなんてことはできませんよ……。

ただの友人で、大切なシズクの想い人。私にとってはそれ以上でも以下でもない。……そんな風には、もう思えません。


「本当にどうしましょう……?」


──ナナがロアさんのように、中々に会えない人なら良かった。空に輝く星のように、手を伸ばしても届かないないのなら、憧れを憧れとして割り切れたのに。


──ナナがロアさんのように、女性ならば良かった。同性ならば、複雑なことを考えずに済んだのに。


──ナナがシズクの想い人じゃなければ良かった。それなら誰にも気を遣わずに──


「──いえ、この思考はダメですね」


混乱して妙な思考に走り掛けたところで、ハッと意識を切り替えました。

今の考え方は色々な意味でアウトです。恩人に対して『〜じゃなければ良かった』など失礼です。全ては私の問題で、ナナに落ち度などありはしないのですから。

シズクの目を気にすることを億劫に感じるなどもっての他です。ナナに最初に目を付けたのはシズクです。例え私の抱く気持ちが恋愛感情では無いとしても、私がナナを特別視するのはグレーゾーンの行為。だからこそ、シズクに最大限の配慮をするべきです。

そして何より……いえ、これを明確な形にすることは止めて起きましょう。例えその気が無かったとしても、形を与えてしまえば其方に転んでしまう可能性もゼロでは無いのです。わざわざ危険な橋を渡る必要はありません。


「……そうです。そうですよ!」


危ない思考に走りかけた反動なのか、光明が見えてきました。動揺のせいで、どうも複雑に考え過ぎていたようです。

ナナは私の恩人です。しかし、私の友人でもあります。そしてナナの性格的に、私に敬われても嬉しいとは思わないでしょう。ならば友人のように接しながら、ナナの生活をサポートする形で恩を返していけば良いのです。

ナナはシズクの想い人です。なればこそ、ナナの生活をサポートするにしても、しっかりとシズクに配慮しなければなりません。あの子がヤキモチを妬かないように立ち回ることが必須となります。

この2つを両立させる。それこそが私の目指すべき道です。具体的な行動はまだ形になっていませんし、これらの両立は生易しいことではないでしょう。しかし、それでも私はやります。やってみせます!


「となると、まずは先延ばしにしてしまったお礼からですね。それをしなければ始まりません」


やるべきことは見えました。ならば後は突き進むのみ。という訳で、ナナに送るお礼の言葉を考えなければ。




──この日を境に、私とナナとシズクの関係は変化しました。現時点では小さな変化ですが、これを切っ掛けに私たちの関係が大きく変わることになる……かもしれません。

……最近ね、また持病の横道癖が出てきてん。頑張って抑えてるけど。これの息抜きにもう1つの方をちょっと進めるってやってるんですん。……何やってるかって?



──バカ天のリメイク

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― 新着の感想 ―
[一言] 見えたぜ、俺の再推しルートの兆し
[気になる点] 横路ですか? [一言] 同時進行ですね、ありがとうございます( ^-^)ノ∠※。.:*:・'°☆( ≧∀≦)ノ
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