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少年魔導師の魔法スポーツ部活録〜これでも最強戦闘組織に所属してます〜   作者: みづどり
第三章 フリットカップに向けて
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第五十七話 救われた者、救っていた者

残基1!


お知らせ。章を作ってみました。初めてなので恐る恐るですが。


実はこの話を書く前に、それっぽいフラグ擬きを入れた方が良いなということで、四十四話を改稿してそれっぽいエピソードをぶち込んだんですよね。気になる人は読み返してみてください。まあ読まなくても全く問題無いんですけどね!! あくまでフラグ擬きですから!

僕たちにとって感慨深いやり取りが、ひとまずの節目を迎え。


「スッキリした?」

「……はい。これで漸く心のしこりが取れました」

「それは良かった」


セフィとロア姉さんは、先程までとは一転して和やかな雰囲気を醸し出していた。

セフィ側の気負いというか、ある種の負い目がなくなったことで、余計な力や緊張が抜けたからだろう。ロア姉さんはロア姉さんで、そんなセフィに合わせるように普段の姿、サッパリした親しみ易さを全面に出しているし。


「にしても、こういうのは何度経験しても感慨深いものがあるわね。あの時泣いてた子が、今では元気に魔導戦技をやっているのだから」

「そうですか?」

「ええ。貴女のさっきまでの練習風景を見てたら、あの時救えて良かったってしみじみ思ったもの」


そう語りながら、ロア姉さんはこっちの方に……え、何でこのタイミングでこっち見るの?


「ナナ、貴方もそう思うでしょ?」

「え、あ、うん。そうですね?」

「何で疑問形なのよ」


いや、何でと言われましても。


「変なタイミングで振るからでしょ。何でここで僕なのさ?」


そりゃ僕だって同じ経験はあるし、ロア姉さんの言ってることは普通に理解できるけども。


「……気付いてないの?」

「何が?」


しかしながら、ロア姉さんは僕の反応に怪訝そうな表情を浮かべた。


「……何でセフィちゃんを私に紹介したの?」

「僕が姉さんたちの弟分だってことを話して、その流れでセフィがロア姉さんに助けられたことが発覚したからだけど」

「因みにセフィちゃんの巻き込まれた事件って何だか分かる?」

「いや聞いてないけど。プライベートかつトラウマ案件の可能性もあるし」

「……なるほど。まあ、ナナは直接会った訳ではないし、分からなくもないか」


何か意味深だなー。


「さっきからどうしたのさ? 妙に歯切れが悪いというか。ロア姉さんらしくないよ?」

「そりゃしょうがないでしょう。私はてっきり、ナナが気付いてるものとばかり思ってたんだから」

「だから何がよ」

「セフィちゃんよ。彼女、私と貴方で助けたのよ?」

「……は?」

「へ?」

「あらま」

「嘘っ!?」


ロア姉さんから出てきた予想外の言葉に、思わず変な声が出た。というかロア姉さん以外の皆から出た。


「え、いや、マジで?」

「マジよ。セフィちゃん、貴方の巻き込まれた事件って、オーレンタワー爆弾テロでしょ?」

「は、はい」

「そうなの!?」


セフィの肯定に、頭の中が一瞬真っ白になった。まさかあの事件がというのが、正直な感想だ。それぐらいあの事件は、僕の中で印象に残っていた。

オーレンタワー爆弾テロ。かつて機動隊に壊滅させらた犯罪組織の残党が、捕らえられた仲間を解放させる為に行ったテロ。観光スポットである電波塔兼商業施設のオーレンタワーに複数の爆弾を仕掛け、大きな被害を出した。最悪の事態こそ防いだものの、状況次第ではオーレンタワーそのものが倒壊し、周囲に甚大な被害を与えていたであろう大事件だ。……それでも最終的な死傷者は500人を超えてしまった為に、関係者たちの間では苦い経験として焼き付いている。


「まさかセフィがねぇ……」

「……その反応、本当に居たんですね……」

「居たんですよ……」


そしてそれは、被害者であるセフィも同様のようで。あの惨状に僕がいたということに、とても驚いた様子だった。


「あの、ユメさん。今の話を聞く限りだと、ナナって2年も前から機動隊だったことですよね……? 小学生なのに、そんな危ないことしてたんですか?」


そして視界の端では、シズクちゃんがセフィとは違う部分で驚いていた。

そして中々に痛い質問だったので、姉さんたちも微妙に気まずそうな表情を浮かべることに。


「あー、それを言われると弱いんだよねぇ……」

「まあ、なんと言うか……。機動隊も人手不足だからね。戦力になって意欲もある以上、貴重な人材を遊ばせとく余裕はないのよ」

「更に言えば、自分たち含めたオーバーSが昔に似たようなことやってるせいで、子供だろうと所属できる前例が作られてしまっているという」

「「余計なこと言わない」」

「痛い」


スパーンと2人に叩かれた。

でも実際、姉さんたちだって小学生〜中学生ぐらいの時には犯罪組織を幾つも潰してる訳で。そういう前例があるからこそ、僕のような子供でも実力さえあれば危険な職に就けるので。そうでなければ、幾ら就業年齢に制限のないレストレードであったとしても、子供が機動隊に籍を置くことなどできない筈だ。


「ま、その辺の事情を置いといたとしても、あの事件に関しては僕が関わらないなんて選択肢は無かったんだ」

「そうなの?」

「うん。だってあの時、僕とロア姉さんは出動したんじゃなくて、オフの日で偶然事件に巻き込まれたんだもの」


オーレンタワー爆弾テロ。あの事件が僕の中で印象に残っているのは、被害者の数が理由じゃない。いや、それも理由の1つではあるけれど、1番の理由はオフの日に大事件に巻き込まれたというアンラッキー要素である。


「あの時はユメ姉さんの誕生日が近くてね。ロア姉さんと時間を合わせて、2人で良さげなプレゼントを買いに行ってたんだよ。そしたらあの事件でねぇ……」

「……そう言えば後日のニュースで、そんな感じのことが流れてましたね」


セフィが言っているのは、テロを解決した後の報道のことだろう。偶然にもオーバーS、それも防御に特化したロア姉さんがテロ発生当初に居合わせたことで、あの時の被害は最小限に収まったと、あの時は大々的に放送されていたから。

そしてそれは事実だ。あの時設置された爆弾は、タワーを倒壊させる為に的確に配置されていた。最初の爆発、犯人グループが犯行声明の一環として行った爆破の際、異常を察知したロア姉さんが即座にタワーを無数の障壁で支えなければ、とんでもないことになっていただろう。


「とまあそんな訳で、巻き込まれたとはいえ僕もロア姉さんと同じ機動隊である以上、動かない選択肢なんてなかったんだよ……まあ、僕がやったことなんてロア姉さんの補助ぐらいだけどね」

「何を大したことしてないように言ってるのよ、この愚弟」

「あいて」


……折角ぼかして伝えたのに、ロア姉さんからツッコミ入った。いやだって、自分から活動したって言うのは流石に気恥しいじゃん。


「本人はこう誤魔化してるけど、ナナもあのテロの被害を最小限に留めた立役者の1人よ。こと救助活動に関しては、私よりも活躍してたから」

「……そうなんですか?」

「ええ。ナナは感知系の能力が高くてね。要救助者の捜索とかで、それはもう獅子奮迅の大活躍よ。……展望台で取り残されていたセフィちゃんを見つけたのだってナナ。ナナがいなければ、私は貴女を助けられなかった」

「……え」


ロア姉さんがそう言うと、セフィは目を丸くして僕のことを見つめてきた。……そんな凝視されても困るのだけど。


「あ、あの、ナナ。ロアさんが言ってることって、本当なんですか……?」

「いや、僕もぶっちゃけ分かってないです。2年前だし、その……あの時は子供も結構助けてたし」


あの日は休日だったから、観光スポットということもあり人の数も凄かった。そんな中で起きた爆発によって、オーレンタワー全体が大パニックになっていた。

そのせいで親と逸れた子供も沢山いた。僕自身が助けた子供も結構な数だし、ロア姉さんや駆け付けた救助隊の人に指示を出して救って貰った子供も合わせれば、かなりの数になる。多分、セフィもその中の1人だとは思うんだけど……。


「展望台……ロア姉さん……んー……?」


先程からちょくちょく出てきたキーワードをもとに考え込んでいると、ロア姉さんからの助け舟が出された。


「ほらナナ、あの子よ。展望台で炎に巻かれそうになってるって、私に近くの壁を突き破って外経由で救えって指示だしたでしょう」


その言葉を聞いた途端、かつての記憶が頭の中でフラッシュバックした。


──響き渡る大量の悲鳴と絶叫。所々で吹き上がる黒煙に、鼻を突く何かが燃える匂い。


──そして構築した感知網が伝える、遥か頭上でか弱く動く人の気配。


──『ロア姉さん! 展望台に生存者1! それも子供だ!』


──『何ですって!?』


──『周囲には炎! 僕の位置からじゃ間に合わない! ロア姉さん、3時の方向の壁を全部突き破って外に! そこなら周囲の人もいないし、タワーへのダメージも少ない! 飛行して最短ルートで展望台へ!』


──『了解!!』


……。


「あれがセフィ!?」

「そうよ」


うわ、マジじゃん! 直接ではないとは言え、ガッツリ僕も助けてんじゃん!?


「え、ちょ、えー……?」


予想外。これは本当に予想外だ。お陰で頭の中が大混乱。まさかあの時助けた子とこんな形で再開してたなんて。それもまさかセフィがなんて!


「えーと、セフィ……?」


こんがらがる頭を掻きながら、なんとかセフィの意識を向ける。

しかし、直ぐに言葉が返ってくることはなかった。セフィはセフィで酷く混乱しているようで、口を手で押さえた格好で固まっていた。


「……本当に、ナナなんですか? ナナが泣いてた私を見つけて──助けてくれたんですか……?」


そして漸く絞り出したであろう言葉で、今までの話が真実なのかどうかを確認してきた。

それに対する僕の返答は決まっている。そうであろう光景は思い出した。そしてもう1人の当事者である、ロア姉さんからの断言もある。


「多分、いや十中八九そう、なるのかなぁ。なんと言うか、あんまり実感が無いんだけど」


確かにあの時、僕は展望台に取り残さされてる子供を見つけた。ロア姉さんの言う通り、僕がいなければあの時の子供は助けられなかった。ほぼ確実に炎の中で命を落としたであろうと断言できる。

ただ、それがセフィであるとなると話は別だ。目の前にいる彼女が、同じ部活を通して仲良くなった友達が、魔導戦技において素晴らしい実力を備えた女の子が、あの時炎を前にして怯えて蹲っていた子供だと誰が信じられようか。

そしてそれは、セフィも同じであったようで。


「……すいません、ナナ。本来なら、発覚したこの場でお礼を言うべきです。でも、少し待ってください。必ずお礼はします。……ですからちょっと、私に頭の中を整理させる時間をください」


動揺で僅かに顔を赤らめたセフィ、そう言って僕に待ったを掛けた。


「う、うん……」


セフィの気持ちは僕も痛いほど理解できたので、ここは静かに頷いておいた。

最近知ったんですが、『──』これって「けいせん」って言うんですね。変換の仕方がわかんなかったので、これまでは『ーー』こう伸ばし棒2本並べてました。

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[一言] やっとセフィのターンがきたか!?
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