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少年魔導師の魔法スポーツ部活録〜これでも最強戦闘組織に所属してます〜   作者: みづどり
第三章 フリットカップに向けて
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第四十八話 英雄来訪

なんとか書けた。これでまた残基が保たれた。

多分これが年内最後の投稿かな?

僕の不意打ちに対して、セフィが反射的に自己構築で強化魔法を発動させた。


「……うん。まあ及第点でしょう」


いやはやビックリ。まさかこの短時間でここまで伸びるとは。まだ1回、かつ最終目標である重ねがけへのスタートラインということで『及第点』とは言ったものの。

このレベルになるのにだって、僕の見立てでは自主練こみで丸々3日は必要になると思っていたのに。セフィはそんな僕の予想を軽々と超えてみせた。才能があるのは知っていたけど、これ程のものとは思わなかったよ。


「まさかこの段階でアレを防ぐなんてねぇ……」

「……1人で関心しているのは良いんですが、さっきの容赦ない不意打ちについて一言ないのですか?」


……その才能を確かめた代償として、セフィのジト目が突き刺さってる訳だけど。


「いや、うん。予想以上にセフィが伸びたからさ。もしかしたらイけるかも?って」

「そんな曖昧な……。あのタイミングはかなり肝が冷えたんですよ?」

「まあ効果切れを狙ったからねー」


肝が冷えたというセフィの感想は、一切の誇張無しの本音だろう。なにせ素の身体能力に戻るタイミングで、強化された拳が飛んできたのだ。マトモに喰らえば大ダメージは免れないし、下手すれば3級デバイスの防護フィールドすら貫通した可能性だってある。……一応弁明しておくけど、本気で当てるつもりはなかったよ? 寸止めする予定だった。


「あっけらかんと言わないでくださいよ……。私としては本気で身の危険を感じたんですから」


まあ、セフィからしたらそんなこと咄嗟に分かる筈もなく。更に言えば寸止めするにしても万が一もあるかもしれない。なので危険なことと責められれば申し開きはできないのだけど。


「でもさ。お陰でできたじゃん。無意識での発動」

「いやまあ、そうなんですけど……」


それでも尚強行したのは、壁を1つ破るにはあのタイミングしかないと思ったからだ。


「さっきまでのセフィはノリに乗ってたからね。僕の予想以上に伸びていった。あの流れを断ち切るのは勿体なさ過ぎる。だったら多少手荒でも切っ掛けを与えて、1歩先に行った方がいいって思ったんだよ」


まあ、その切っ掛けが地球世界風に言うところの火事場の馬鹿力みたいな代物になったのは、僕としてもアレかなぁとは思うのだけど。とは言え、危険が人を成長させるのもまた事実な訳で。

そんな風に頭の中で天秤にかけた結果、やっておこうお思った次第。


「ま、近いうちにお詫びもするから許してね?」

「いや、別に怒ってる訳ではないので。そこは気にしないでください」


それでも筋は通そうと、危険行為に対する謝罪を行ったところ、セフィはあっさりと許してくれた。

曰く、ちゃんと意味のある行為に怒る程狭量ではないと。やはりセフィは大人だと思う。


「でも意外でした。ナナって指導となるとかなり厳しくなるんですね?」

「えー、そうかな?」

「そうですよ。笑顔でキツいメニューを提案するし、ミスや改善点は容赦なく指摘してきましたし、挙句の果てにあの不意打ちです。もしかしてSっ気ありますか?」

「ないよ!?」


至ってノーマルですが!?


「んー、割とあると思うけどなー?」

「真性は無自覚だって言うしね」

「「ん!?」」


セフィの失礼な質問に対して、全く予想外の方向から援護射撃が飛んできて驚く。

聞こえてきたのは聞き慣れた2人の女性の声。但し、部活のメンバーの声ではない。

僕とセフィが同時に振り返る。そこに居たのは


「やっほー、ナナ君。それにセフィちゃん」

「しっかりやってるみたいねナナ」

「ユメ姉さん、それにロア姉さんも!?」


見慣れた僕の姉貴分の2人だった。

思わず大きな声が出た。いや、ユメ姉さんは兎も角、まさかロア姉さんがいるとは思わなかったからさ。


「どうしたのさロア姉さん。仕事は?」

「ユメから面白そうな話聞いたからね。私も混ざろうと思って、今日の分はサクサクと終わらせてきたわ」

「はえー。流石」


いや本当にそう思うよ。なにせ機動隊におけるロア姉さんの階級は少佐だ。佐官クラスの仕事量が少ない訳がないのに、弟分の部活動を覗くためだけに、一日分の仕事を夕方前のこの時間までに片付けるとか。マジで凄い。


「じゃ、その頑張りに報いましょうか。ロア姉さんに皆を紹介するよ」

「私はー?」

「……ああそっか。ユメ姉さんが面識あるのシズクちゃんとセフィだけか。はいはい、ユメ姉さんにも先輩たちを紹介しますよ。……すみませーん!」


とまあそんな訳で、姉さんたちを紹介すべく他の組へと声を掛ける。

そしたら案の定というか、皆随分と面白い反応をしてくれた。

最初は全員が何だ?といった感じでこちらを向き、その後見知らぬ人がいると姉さんたちに注目。そして2人の素性に勘づいた瞬間、それぞれがギョッとした顔になるのだから堪らない。思わず吹き出してしまったのも仕方のないことだろう。

それでもなんとか表情を取り繕って、全員が集まったところで言葉を発する。


「練習中にすみませんね。ちょっと皆さんにサプライズゲストの紹介をしたくて」

「……いや、サプライズゲストって貴方ね……」


僕の口上に対して、コーチが米神を揉みながらツッコミを入れてきた。まあ正確に言えば、他の皆は姉さんたちを間近で見て固まってしまっていて、コーチぐらいしか反応らしい反応ができなかったのだけど。

ユメ姉さんとは面識のあるシズクちゃんたちですらそうなのだから、オーバーSが2人も目の前にいる光景は余程インパクトがあるのだろう。


「初めまして、アドラ先生。水無月ユメと申します。ウチのナナがお世話になっております」

「ロア・アストレアです。かなり問題のある弟分ですが、何かご迷惑かけていらっしゃいませんか?」

「あ、いえいえ! 水無月君はとても優秀な子ですよ。まだ通い始めて間も無いですが、此方としても色々と頼りにしてしまっているので……」


実際、反応できたコーチだって、動揺のせいか受け答えが少し怪しいし、部活中には出さないと言っていた担任としての顔が出てきてしまっている。……担任云々は、僕の保護者であるユメ姉さんがいるからってのもあるんだろうけど。

結論から言ってしまえば、サプライズという意味では現時点で大成功。この場にいる部活のメンバー全員が、大変驚き動揺している訳だ。


「えーと、皆さん呆気に取られているので、取り敢えず僕がざっくり紹介していきますね。……因みに姉さんたちの紹介っている?」

「当たり前。横着しないの」

「初対面なんだから当然でしょうよ」


念の為訊いたら即答された。まあ分かってたけど。知名度的には要らないだろうが、そこは礼儀という奴だ。


「じゃ、姉さんたちから。まずこちらが水無月ユメさん。僕の家族で、皆も知っての通りオーバーS魔導師で【機動隊の人間爆撃機】ーー」

「ナナ君、後で説教」

「ーー失礼。【天閃】の二つ名を持つ航空魔導師です。まあ端的に言って凄い人だよ」

「ナナくーん? 紹介がさっきから雑過ぎやしませんかねぇ?」

「ざっくりって言ったじゃん?」

「雑とざっくりは違うでしょー!?」


ユメ姉さんが納得いかなーい!と声を上げるが、僕はそれをスルーして紹介を終わらせる。……一応言っておくけど、コレは皆の緊張を解くための寸劇である。それはユメ姉さんも理解しているので、こんな失礼な紹介の仕方でも本気で怒ったりはしない。真面目な場でやったら拳骨くらうだろうけど。

という訳で次。


「こちらはロア・アストレアさん。僕のもう1人の姉貴分で、ユメ姉さんと同じくオーバーSの魔導師。まあロア姉さんの方は陸上魔導師だけど。二つ名は【無限要塞】とか色々あるよ。因みに二つ名の内の1つに【絶壁】ってのがあってーー」

「余計なこと言わない」


スパーン!!!と、それはそれは素晴らしい音がなるレベルで殴られた。めっちゃ痛い。


「……まあこんな感じで、割と禁句な部類に入るので言わないで上げてください」


因みに禁句の理由は、得意魔法とロア姉さんのスタイルとのダブルミーニングになっているからである。……尚、この名付け親は機動隊のとある男性隊員なのだけど、そいつは他の隊員たちから悪い意味での勇者として崇められていたりする。


「そもそも言わなければ良いんだけどね?」

「いやだって、これ割と有名な二つ名じゃん。先に言っておいた方が良いでしょ」

「別に含みがなければ気にしないっての」

「知ってる」


ロア姉さん、特に自分のスタイルは気にしてないからな。単にお馬鹿な男性隊員ども(特に中年連中)から揶揄れるのがムカつくってだけで。

それでも敢えて付け加えたのは、ユメ姉さんの時と同じ目的があるからである。

実際、僕たちの(というか僕の)やりとりによって、ガッチガチだった空気が幾らか和らいでいる。これからこっち側もある程度は受け答えできるだろう。

という訳で今度は部活サイド。


「まずはこちらの方。僕の担任兼部活の顧問であるアドラ……先生? コーチ? まあ、監督者です」

「……今は先生でいいわ。アドラ・テルーと申します。英雄と名高いお2人にお会いできて光栄です」

「あはは。大袈裟ですよ」

「ええ。私たちは機動隊として行動しているに過ぎませんから」


コーチは流石というべきか。僕が紹介すると、まだ固さはあれどにこやかな雰囲気で姉さんたちと握手を交わす。見事なまでに大人な対応である。


「次。こちらはレイニー・アクシア先輩。通称レイ先輩。この部の部長で、僕たちの頼れる先輩」

「よろしくねー」

「よろしく」

「よ、よろしくお願い致します!」

「あはは。固い固い。もっと気楽で良いよ。私もレイちゃんって呼んでいいかな?」

「よ、喜んで!」


レイ先輩は緊張でガチガチだったけど、姉さんたちとなんとか会話はできていた。取り敢えず、珍しいものを見たなという感想が浮かんだ。


「次。こちらがユーリ・クリストファさん。通称ユーリ先輩。部のマネージャーをやっています」

「よろしくお願いしますー」

「うん。こちらこそよろしくユーリちゃん」

「よろしくね」


ユーリ先輩は割とそつなく挨拶を済ませていた。これについては流石としか良いようがない。我が部の影のトップなだけはある。


「次。こちらがルナ・フリゲートさん。通称ルナ先輩。苦労人枠」

「ちょっ!? アンタその紹介の仕方はどうなの!?」

「……ごめんねルナちゃん。ウチの愚弟が迷惑かけてるみたいで」

「何かあったら言ってね? できる限り力になるから」

「えっ!? いや、あのっ、ごご心配なく!!」


ルナ先輩は……うん。姉さんたちから予想外の同情を向けられたせいか、何か可哀想なぐらいテンパってた。相変わらずの苦労人枠である。


「次。こちらがシズク・ストライムさん。通称シズクちゃん。僕の同期」

「シズク・ストライムです! よろしくお願いします!」

「うん。よろしくねシズクちゃん」

「私の場合は久しぶりだね、シズクちゃん」


シズクちゃんは既にユメ姉さんとは面識があるので、ロア姉さんメインの紹介となった。そしていつも通りの天真爛漫さを発揮して、すぐにロア姉さんとも打ち解けていた。

……で、最後だけど。うん。丁度ロア姉さんがいるし、ついでだから前の約束を果たしちゃおうか。


「こちらがセフィリア・クラウンさん。通称セフィ。僕の同期で……ロア姉さんと縁ある子だよ」

「ちょっ、ナナ!?」

「あら。そうなの?」

「詳しくは本人から。後で時間取ってあげて」

「分かったわ」

「え、……え!?」


セフィだけちょっとばかし毛色の違う感じになったけど、取り敢えずこれで紹介は終了と。


「さて、サプライズゲストの紹介も済ましたことだし、本題に入りましょうか」

「……本題? え、本題ってなんだよオイ」


僕が切り替える意味を込めて手を叩くと、何も知らない部のメンバーが怪訝な表情を浮かべる。レイ先輩やルナ先輩なんて、『これ以上の何があるんだ』と頬を引き攣らせていた。

そんな皆に対して僕は、いや僕たちは僅かに口角を上げて答えた。


「まさかオーバーSの2人が、ただ顔見せするだけに1日の仕事を終わらせてやって来るとでも?」

「折角来たんだから、そんな寂しいことはしたくないかなー?」

「そうね。なによりウチの可愛い弟分がお世話になっているのだもの。しっかりお礼はしなきゃね」


そんな訳でネタばらし。


「レイ先輩の宿題が、練習場所の提供だけだと思いましたか? ……甘いですよ。僕が提案するのはコレです!」


ズバリ。次元世界に名を轟かせる英雄たちからの個人レッスン!

多分私の記憶が正しければ、この話で初めてナナ君のもう一人の姉貴分、ロア姉さんがセリフつきで登場です。尚作者の記憶が曖昧なのは、プロット段階で書いた前日譚、具体的にいうと大幅カットしてプロローグにぶち込まれたエピソードと混同してるからです。余裕ができたら載せるかも。




PS.作者的には、そろそろこの作品の人気とかが気になってきた模様です。いやまあ、人気なくても病没とかそんなイレギュラーがなければ完結させるつもりですけど。ただそれはそれとして、ブックマークやアクセス数とか気になる今日この頃。結構文字数いってますし。

そんな訳で宣伝を解禁。さあ親愛なる読者様がた! ブックマークして! 評価ポイントください! もっと私にモチベーションを! もっと私に愛をください!

そんで書籍化まで漕ぎ着けて在宅ワークに切り替えさせて!!! 出勤もうしたくねぇよぉぉぉ!!!

……ふう。叫んだらスッキリしたぁ。来年もこれで戦える(しくしく)。


という訳で皆様、良いお年をー!



……おいコラそこ。錯乱したとか言うな。そのセリフは私に刺さる。

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