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少年魔導師の魔法スポーツ部活録〜これでも最強戦闘組織に所属してます〜   作者: みづどり
第三章 フリットカップに向けて
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第四十四話 宿題発表

1週間経つの早くないですかね? 残基マイナス1じゃい!



ちょっと文章を追求しました。ナナ君が体験した事件云々の部分です。あってもなくても良い部分ですが、後々の伏線擬きになる感じです。まあ本当に擬きレベルなんで気にしなくても良いです。

セフィの意外な天然が発動した訳だけど、それはそれとして部活である。

一応、セフィとシズクちゃんは既に仲直りしている。まあ、元々喧嘩という訳ではなかったので、一通りシズクちゃんが叫んだら自然と落ち着いた感じだ。

現在は2人共々、シズクちゃんの怒声を聞いて駆け付けてきた先輩たちに事情を説明中だ。


「……はぁー。そんなことがあったのか」

「なんというか、2人とも災難だったわねー。色んな意味で」

「セフィが意外と馬鹿なのが分かったわ」


事情を聞いた先輩たちは揃って苦笑。逆にセフィの顔を紅くしてそっぽを向いている。説明途中に入ったシズクちゃんの実演が効いたらしい。


「……てか一番衝撃だったのが、ナナが機動隊の嘱託魔導師だったってことなんだけど」

「それな」

「そうねー」


あ、因みに話の流れで僕の所属はバレました。というかバラした。僕のことをぼかして説明するのは中々に難儀しそうだったのと、話す切っ掛けとして丁度良い感じだったから。元々部活のメンバーなら必死に隠そうと思ってなかったし。……まあ流石に広めようお願いしたけど。その辺りはできた人たちなので、二つ返事で了承してくれた。なので総合的に見ては問題は無い。


「まあ、隠してたことはすみませんとしか」

「それは別に良いさ。騒がれたくないってのは分かるしな」

「そうよー。悪いことしてた訳じゃないんだからー」

「隠し事の1つや2つなんて誰しもあるでしょ。んなこと一々気にしないわよ」


念の為頭を下げてみてもこの反応だ。やはりこの人たちは人間ができてると思う。


「むしろ私としては納得したわ。嘱託魔導師なんてやってんなら、如何に素人だろうと下手な選手より強いのは当然よね」

「……まあ、はい。ユメ姉さんを筆頭とした歴戦の隊員がたに鍛えられてるんで」


ルナ先輩の言ってることは事実であるので、敢えて否定はしない。実際、試合向けの内容じゃないだけで、僕の普段の訓練の量や質は大抵の選手を超えていると断言できる。

なんせ僕らが突っ込んでいくのは基本的に修羅場だ。それも想像を絶する、なんて修飾語がつくような。例を挙げると、直近のオライン港タンカー座礁事件。アレはタンカーだけではなく、漏れ出た薬品によって周辺の街と海域に甚大な被害が出かねないものだった。その他にも、僕の入学が遅れる原因となった近隣世界フリステラの【シグニ火山強制活性事件】やら、2年ほど前に起きた【オーレンタワー爆弾テロ】など、挙げていけばキリがない。

そんな修羅場に何度も突入し、無力な民間人の命を守りながら戦う、いや戦えるようにならなければならないのが機動隊だ。その為のトレーニングは当然ながら過酷極まるし、実力だってそれ相応のモノになる。


「因みに機動隊ってトレーニングどれぐらいキツいの?」

「んー、基本的にはめっちゃキツいですよ。多分ですけど、皆さんが体験したら全員翌日は疲労と筋肉痛で動けないかと」


成人男性と同じ重量のマネキン抱えての障害物マラソン(フル)やら、強化魔法のみでの高層ビル垂直駆けとか。世間一般からすると控え目に言って常軌を逸したことをやってます。

と、そんな感じのことをザックリと伝えてみたところ、レイ先輩が反応した。


「ほほう? そりゃ良いことを聞いた。ならナナの宿題は期待して良い訳だ」

「……何故そうなります?」

「だってお前、機動隊のトレーニングを経験してるんだろ? そんな奴が見据える今後だ。期待すんなって方が無理だろ」

「これは薮蛇でしたか」


うーむ。実に楽しそうな笑顔でそんなことを言われてしまった。セリフだけなら嫌味のようにも聞こえるけれど、見れば分かる。レイ先輩のアレは本気の笑顔だ。本気で僕の宿題に期待している顔だ。

……まあ、うん。図らずもハードルが上がってしまったけれど、それすら越える内容を僕とユメ姉さんで考えてきたし。この悪巧みなら、皆の度肝だって抜いてみせるさ。


「さて。それじゃあ宿題の発表、と行きてえところだが。まだコーチが来てねえからな。取り敢えずコーチが来るまで各々ストレッチとアップで」

「「「「はい!」」」」


コーチの手助けをする為の宿題で、コーチがいなければ意味が無いというのも尤もな話。

そんな訳で、それぞれが好きなように身体を暖め、コーチが来るまで時間を潰した。


「あら。もう揃ってるのね」


で、コーチが到着。

取り敢えず、皆アップとストレッチを中断して集合。


「コーチ。今日の練習を始める前に、前に話しておいた奴を済ましちまって良いですか?」

「前? ああ、アレね。良いわよ。貴方たちが考えた、それぞれに必要なモノというのは私としても興味があるわ」


既に話は通していたようで、レイ先輩の提案をコーチは2つ返事で快諾。という訳で、ミーティング用の椅子を並べて皆で着席。

言い出しっぺ兼部長ということで、レイ先輩が司会進行となった。


「んじゃ、宿題の発表といくか。順番はそうだな……いや、その前にだ。まさかとは言わないが、できてないって奴はいねぇよな?」


レイ先輩の確認に対して、全員首を横に振った。流石にこのメンバーでそれは有り得ないだろう。


「うむ。宜しい。それじゃあ気を取り直して順番だが……うん。ナナは大トリにして、後は学年順だな。よしじゃあセフィからだ」

「サラッとハードル上げられたんですが」

「期待してるって言っただろう」


その一言で済ませるのは無常過ぎません? いや良いんですけども。

まあそんな訳で、セフィの発表がスタートした。


「まず個人的な部分から。前回の練習試合では、一番基本的な部分での経験不足が目立ちましたね。試合前に落ち着けないというのは、今振り返ってみても中々に駄目だったかなと」

「……そうね。確かにそこはマイナスかしら」


セフィが言っているのは、試合前の気の昂りの件だろう。あの時はレイ先輩に注意され、最終的に僕がアドバイスすることで事なきを得た。しかし、セフィの中では結構なしこりとなっていたようだ。


「試合前にコンディションを整えるというのは、選手としての基本技能です。誰が相手であろうと、何時もどうりのパフォーマンスを発揮できるのが理想。……でも、ナナの試合を観て思ったんです。私はラピスさんのような有名選手を前にして、それが実践できるのだろうかと」


セフィはそう言って語る。自分の実力なら、ラピスさんとも互角に戦えるだろうと。しかしそれはベストなコンディションであることが大前提。緊張や無駄な昂りを起こしている状態なら、まず間違いなく敗北すると。


「ですがこれは、レイ先輩たちも言ってたように才能でどうこうなるようなものではありません。必要なのは経験です」

「……それはつまり、もっと練習試合を重ねたいと?」

「勿論それが最上です。とは言え、フリットカップまではあと僅か。それを抜きにしても、そうそう数をこなせることではありませんし、それは高望みというものでしょう」


相手が必要になることですらからね、セフィは肩を竦めた。


「なので、できるだけ本番に近付けた試合形式の練習を所望します。これは私だけでなく、部全体でも必要になってくるでしょうし。……因みに自主トレとして、レイ先輩のようなルーティーンを開発しようかとも思ってます」


以上ですとセフィが締めくくり、発表は終了となった。

取り敢えず僕の感想としては、意外とマトモというか、結構堅実な内容で固めてきたなという印象だ。てっきりセフィのことだから、もっと突飛な話を持ってくるかと思ってたんだけど。


「……なるほどね。セフィの言ってることは尤もだわ。ルーティーンに関してもいい着眼点かしら」


コーチとしても、セフィの発表は納得のいくものだったようで、深い理解を示していた。それを表すかのように、ミーティング用のホワイトボードに『試合形式の練習』と『ルーティーンの開発』と記入が成される。

この反応にはセフィも満足気。こっそりとガッツポーズをしてるのが見えた。


「……何ですか?」

「いや何も」


そしたらジト目で睨まれたので惚けておく。僕は何も見てません。


「じゃ、次行くか。シズク」

「はい!」


まあそれは兎も角。次はシズクちゃんの発表だ。


「私の課題は、試合後の反省会でも言ったように一撃の威力が乏しいことです。タフな相手だとどうしても決め手に掛けるというのが現状で、その辺りを改善したいと思っています」

「まあそうね。シズクの課題は分かり易いわね」


シズクちゃんの言葉にコーチも頷く。

シズクちゃんの現状のスタイルは、フットワークと手数で相手を翻弄するテクニカルファイター。更にそこに接着の魔力性質を加えることで、相手の行動も阻害できる隙のないスタイルとなっている。

しかしその反面、一撃の威力が低い為に、相手によっては長丁場になる可能性がある。ラクシアでのピグマさんとの試合は正にそれで、シズクちゃんの機転がなければフルラウンドで戦い続けることになっただろう。

そうなってくると、シズクちゃんのスタイルは恐らく足枷となる。というのも、シズクちゃんのスタイル的に、継戦能力というものが低い可能性があるのだ。フットワークや手数で勝負するということは、逆に言えばそれだけ動き回るということ。魔力性質を用いるということは、魔法の他にも魔力を消費するということ。以前聞いたシズクちゃんの魔力量を踏まえると、長期戦はかなり無理があるんじゃないかと思うのだ。

だからこその火力アップ。攻撃の威力が上げられれば、それだけ相手に与えられるダメージは増える。それが重なれば必然的に試合時間は減る。


「ではどうすれば威力アップに繋がるのかと考えて、3つの方法が浮かびました。まず基本的なのは素の身体能力を上げること。次に強化魔法の練度を上げること。最後に重ねがけを習得すること。この3つを段階的にこなしていきたいと思います!」

「なるほど。堅実ね」


シズクちゃんの唱えた案は、威力アップを考えるなら一番在り来りで、それでいて最も効果的なものだった。まあ、シズクちゃんは魔力性質を除けば普通のテクニカルファイターだし、案自体もオーソドックスなもので十分、というよりも一番効果的なのだろう。

コーチも同意見のようで、ふむふむと頷きながらホワイトボードに『身体能力アップ』と『強化魔法のスキルアップ』と記入していく。


「えへへ。どうだったかな?」

「うん。僕的にはしっかりと筋の通った発表だったと思うよ」

「そうですね。シズクの場合は堅実こそ一番の近道だと思いますし」


僕やセフィと違い、シズクちゃんのスタイルは根本的なところで普通寄り。奇を衒う必要などないので、これこそが一番理想的な案だと思う。


「んじゃ次な。ルナ」

「はい」


そして次は、僕たちと同じで普通ではない側のルナ先輩の番である。


「私の場合だと、課題自体は明白です。攻撃能力のアップ。これに尽きます」

「まあそうね」


防御完全特化型のルナ先輩場合、何をするにしても攻撃スキルを上げるのが第一なのは言うまでもないことである。


「一番の理想は、私が普通の攻撃をできるようになることです。……ただまあ、これに関しては本当に一朝一夕でどうにかなるものじゃないですし、ぶっちゃけ諦めてます」

「アナタね……」

「しょうがないじゃないですか。これに関しては何でかできないんですから」


ルナ先輩のあまりにも大胆な割り切りには、コーチも頭を抱えた。通常攻撃を諦めるなど競技選手としてはあるまじきことだが、ルナ先輩の何でかできないという言葉も事実である以上、変に反論することもできないのだろう。


「まあそんな訳で、今後は私が唯一できるカウンター一本で勝負します。それと同時に長所、防御も伸ばしていって、より硬く、より手痛い反撃を与えられるように努力していこうかと」

「……これはまた悩ましいわね……」


渋い表情でコーチが考え込む。コーチが思わずそうしてしまうぐらいには、ルナ先輩の案はぶっ飛んでいた。

ルナ先輩の案は、結局のところ現在のスタイルをより洗練させていくというもの。恐らくコーチとしても、それ自体に否はない筈。問題なのは、攻撃手段をカウンター一本に絞るということ。これは少しばかり思い切りが良すぎる。戦技である以上、攻撃しないと勝てないのだ。その母数を減らすというのは中々に正気じゃない。

かと言って即座に却下できないのは、ルナ先輩の言葉に説得力があり過ぎるから。僕だってラクシアでしか見てないけど、ルナ先輩の攻撃センスは絶無だ。アレは最早【呪い】と言って良いレベル。何故カウンターだけが【磨けば光る】レベルなのかが本当に分からないぐらいで、アレを一般レベルまで伸ばすことすら果てしない道程となるだろう。そういう意味では、やはりルナ先輩の選択も間違って無いと言える。

……ただこれ、発想が完全にオール・オア・ナッシングなんだよねぇ。上手く転べばルナ先輩は最高に厄介な選手として輝くだろうけど、下手に転べば選手としての未来は潰える。この決断はそんな選手生命を賭けた大博打だ。はっきり言って良くやるなと思う。

なんというかアレだよね。基本的に真面目で苦労人気質なルナ先輩だけど、選手としての自分のこととなるとかなりぶっ飛んだ思考回路になるよね。デメリットとかには目をつぶって、ひたすらに自分のやりたいことをやろうとしているというか。流石はエンジョイ勢を自称するだけあると思う。


「……はぁ。兎も角、細かいところは一緒に煮詰めてましょうか……」


結局、コーチはルナ先輩の案を受け入れた。ただしその表情からは、相当な葛藤が垣間見える。理屈としては間違っていなくとも、コーチとしての感情は別らしい。

そんなこんなで、渋々とホワイトボードに『現在のスタイルのクオリティアップ』と書き込まれていく。


「ふぅ。皆の前での発表は緊張したわ」

「凄かったと思いますよ。色んな意味で」

「とても勇気のいる決断だったと思います!」

「取り敢えずこれで、レイ先輩の言ってた突飛枠のノルマは達成ですね」

「おいコラ最初と最後」


素直な感想を述べたらジト目で睨まれてしまった。セフィとほぼ同時に顔を逸らしたら思い切りため息を吐かれた。


「ククッ。ルナのは自業自得だろうが。さて、次は俺だな」


そんな風に僕らのやり取りに笑いながら、一連の言い出しっぺであるレイ先輩が立ち上がった。


「まず始めに皆に礼を言っておく。オレの唐突な宿題に真剣に取り組んでくれたことは、部長としてとても嬉しくある。……まあ、まだ1人残ってるがな」

「残りたくはなかったです」

「ははっ。残念だが諦めろ」

「さいで」


慈悲はなかった。


「では本題に移ります。オレの考えた今後の方針なんすけど、主に2つあります」

「2つ、ね。どういうものかしら?」

「まず1つ目。これはラクシアの時も言いましたけど、高レベルな遠距離攻撃への経験がいります。これはオレだけでなく、ここにいる全員に当てはまるでしょう」


そう言ってレイ先輩は、ゆっくりと僕らのことを見渡した。

どうやらレイ先輩の中では、シエラ選手との試合は相当なインパクトと、それ以上の悔しさが残っているようだ。まあ、最初の1発で試合の流れが決定したのだから、さもありなんといった感じかな。

そしてだからこそ、レイ先輩は今の自分たちの危うさというものをはっきりと自覚しているのだろう。


「なので今後は、その辺りを踏まえた練習をしていく必要があるかと。具体的に言うと、外練の時間の一部に組み込む感じで」

「……やっぱりそうなるわよねぇ。ネックなのは、それをすると皆の魔法練習の時間が削れることかしら」

「そこは多少は目をつぶるべきでしょうけど、最適なのはトレーニングの質自体を上げて、できるだけ時間を短縮することっすかね。幸いなことに、ウチには次元世界最高峰の遠距離型魔導師の薫陶を受けた奴がいます。ナナの意見があれば、短いトレーニングでもある程度は形になるかと」

「まさかのここで僕」


いやまあ確かに、ユメ姉さんから色々教わってるけども。ここで名前が出てくるとは思わなかった。

ただしそう思ったのは僕だけなようで、コーチを含めた全員が『あー』といった表情を浮かべていた。


「……レイの言ってることも一理あるわね。悪いけどナナ、ちょっと協力してくれるかしら?」

「あー、はい。まあ、僕にできることなら」


コーチにも直々に頼まれたので、取り敢えずここは頷いておく。

ただこれは個人的な感想だけど、僕が教えるようなことはあまりないと思っている。そのせいか返答がちょっと歯切れが悪くなってしまった。

そんな僕の内心には気付かず、レイ先輩が2つ目と指を立てた。


「そして次。これは完全にオレ個人の方針ッスね」

「ふむ。聞かせてちょうだい」

「実はこれ、前々から思っていたことなんスけどね? オレには必殺技が足りないす」


おっと? さっきまでの真面目な話から一転、一気にアレな感じになったぞ?

これには僕だけでなく、コーチや皆も首を傾げ気味だ。


「……必殺技?」

「誤解ないように言いますけど、ガキンチョがよく叫んでるアレじゃねぇッスからね? 必殺技ってのは言葉の綾で、試合を有利に運ぶための技ッス」

「……ああ、なるほど」


レイ先輩の補足を聞いて、コーチは納得したと頷いた。

レイ先輩曰く、シズクちゃんのバインドアーツや、セフィの音魔法による妨害のようなものが欲しいらしい。決まれば必殺的な技ではなく、試合を確実に有利に運べる、自分の流れに巻き込めるような技が必要なのだとか。

因みに何故オーソドックスな必殺技、高威力な1発逆転技じゃないかと言うと、『そんな大技が格上に当たるかよ』とのこと。まあ正論だと思う。


「オレのスタイルはオーソドックスな魔法戦士系ッスからね。地力で勝ってなきゃ決め手に欠ける。だから逆転の起点となる技が欲しいんすよ」

「なるほど。とは言え、今から考えても大会に間に合うか怪しいわよ?」

「いや、実は構想自体は出来てまして。コーチにはそのブラッシュアップを頼みてぇんです」

「分かったわ。ならこの後ちょっと詰めましょうか」


そう言ってコーチは、ホワイトボードに『遠距離対策』と『必殺技』と書き込んでいった。


「うし。これでオレの発表は終わりだ。どうだったよ?」

「なんというか、流石は言い出しっぺと言いますか」

「かなりしっかり考えてきてましたね」

「というかレイ先輩、必殺技って何ですか!?」

「あ、それは私も気になりますね。教えてください」

「阿呆。まだ構想段階かつ奥の手だわ。誰が言うかよ」


ありゃ残念。必殺技というのは僕としても気になったのだけど、大会までのお楽しみと言われてしまった。

……まあそれはそれとして。遂に僕の番か。


「さて、そんじゃあ大トリだな?」

「そんなハードル上げんでください……」


ニヤニヤと笑うレイ先輩にため息を吐きながら、僕はホワイトボードの前に立った。


「えーと、では僕の発表なんですけども。……まずこう言うとアレなんですけど、僕の案は自分を高めるとかそういうんじゃないです」

「お? それは宿題忘れってことか?」

「違いますからその真顔止めてくださいレイ先輩」


ちょっと怖いです。


「僕の発表、というよりこれは具体的な提案なんですけどね?」

「具体的な提案? どういうことかしら?」

「はい。実はちょくちょく皆も話題に出してたんですけど、もっと本格的な練習が必要かなと思いまして」


そう言って僕は、デバイスを起動してとある空間ウィンドウを展開したのだった。

ついに部のメンバーに正体がバレたナナ。開き直った彼は暴走を始めるのか……!?(んな訳ない)

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