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少年魔導師の魔法スポーツ部活録〜これでも最強戦闘組織に所属してます〜   作者: みづどり
第三章 フリットカップに向けて
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第三十七話 地に足ついて放課後デート

そう言えばアレですね。気付いたら20万文字超えてましたね。個人的にはこの辺りが1つの節目です。

何かと騒がしい朝を迎えた訳だけど、それ以降は特に問題らしい問題は起きなかった

いやー、わざわざ一芝居をうったかいがあったよ。夜のお店のお兄様たち直伝の立ち振る舞いを真似して、俺様系︰ヤンデレ系︰ナルシスト系を4:4:3ぐらいの割合でブレンドした奴。耐性の少ない思春期の男女には良い感じに刺激的だったみたいで、うまい具合に釘を刺した上で有耶無耶にできた。……まあ、その代償として一日中背中が泡立っていた訳だけど。ああいうのを意図的にやるの堪えるんだよねぇ。

兎も角、代償を払っただけの効果はあった。平穏無事に学校が終わった訳だし。


「兄貴! この後はデートですね! お楽しみください!」


……ああいや、一芝居の副次効果があったね。どうも僕の言動は、レックス君を含めた一部の男子たちに刺激が強すぎてしまったようで。結果、謎の兄貴認定を受けてしまった。


「……何度も訊くけど、何で兄貴なのさ」

「俺も兄貴みたいにモテたいんすよ!」

「モテるて。好意を寄せられてるの、今のところシズクちゃんだけなんだけど」

「それだけでも十分でしょう!? ストライムさんめっちゃ可愛いじゃないですか!」

「まあね」


確かにシズクちゃんレベルの女の子なら、1人だろうが男としては十分ちゃ十分だけども。


「それにあの後、兄貴のことクラスの女子に訊いてみたんすよ! ああいう男って女子的にどうなのかって!」

「普通に考えてナシ寄りじゃない?」


自分でやってて思ったけど、アレは無い。いや、夜の店直伝の演技だし、刺さる人には全然刺さるとは思うけども。……ただアレは高身長の派手系がやるようなムーブだから、チビの僕がやっても滑稽な絵面にしかならないという。


「いやいやいや! それが違うんすよ! 女子の殆どが大絶賛してたんすよ!」


曰く、『あんな風に迫られてみたい』『見た目とのギャップが興奮した』『言動は兎も角、あそこまで言い切られると悪い気はしない』『好きな人にアレやられたら鼻血出る』『無駄にサマになってたからテレビ観てる気分になった』『台詞回しはキザったらしいけど、完全に吹っ切れてたから思ったよりサムくなかった』etc。

……取り敢えず言いたいのは、大して大絶賛されてないということだろうか。確かに全体で見ると好意的な意見は多いけど、やっぱり言動に対してのツッコミが多数。まあ、僕自身が内心でツッコミ入れてたからそりゃそうかというか。

兎も角。これを大絶賛していると言ったレックス君は、1度認識を矯正した方が良いと思う。


「だって俺があんな風に言ったら?って訊くと、全員が鼻で嗤うか真顔で止めてくるんすよ!? それと比べれば受け入れられてる時点で大絶賛でしょうよ!」

「そりゃレックス君の場合は違和感バリバリだもの」


言っちゃ悪いけどキミ、大型犬タイプという名の単純思考キャラでしょ? だったらあの手の言動はマイナス過ぎるよ。


「じゃあどうやったらモテますか!?」

「……それを訊く時点でって気がするけど。そもそもキミの中でのモテるって何?」

「? モテるはモテるってことっすよね?」


あ、うん。まずはそこからか思春期男子。


「一言でモテるって言っても、実際は種類があるんだよ。単純にチヤホヤされたい、複数の異性から好意を向けられたい、普通に好きな相手から好意を向けられたい、って具合に」


分かりやすく例えると芸能人タイプ、ハーレムタイプ、恋愛タイプだ。


「レックス君は今言った奴ならどれ?」

「全部っすね!」

「現実見なよ少年」


その要求は烏滸がましいことこの上ないから。……まあ良いや。ここまで話したし教えておこうか。


「例えばチヤホヤされたい芸能人タイプを目指すなら、トーク力を磨くのが手っ取り早いかな。話が上手くて退屈しないって認識されれば、大体の人から構って貰えるからね」

「……それモテてるって言うんすか?」

「チヤホヤはされてるでしょ」


但し人気者になるだけで、恋愛感情と直結する訳じゃない。


「ハーレムタイプなら、芸能人タイプに近いトーク力と人間性を備えた上で、女性が魅力を感じる+αがいる。イメージし易いのは容姿、資産、地位、力とかかな。まあ偶に+αが無いのに異様にモテる人もいるけど、それは例外」

「ぷらすあるふぁ」

「まあ要するにアピールポイントだね」


因みに+αの強さによっては、求められるトーク力や人間性は低下していく。つまりハーレムタイプの場合、結構な割合で運が絡む訳だ。それも誕生当初の所謂『人生ガチャ』。それがなければ諦めるべし。


「最後の恋愛タイプは完全に運命次第。ぶっちゃけ大抵の人が思い描く普通の人って、現実では理想寄りのハイスペックな人間だからね。そう言う人は当然競争率も高い。だからこそ余程の切っ掛けがなきゃ無理」

「無理……」

「そ。そもそも論として、そういう普通の人ってのはそうそういない」


誰もが思い描く普通の人は、言っちゃ悪いけど希少種も希少種だ。だってこの手の普通は欠点らしい欠点が無いとイコールであり、それ即ち完璧超人な訳で。そんな人と出会えるかどうかがまず運命だし、その人の恋愛対象になれるかどうかもまた運命だ。


「……モテるのって難しいんすね」

「そりゃそうだよ。結局のところ人付き合いなんだから。人間関係が簡単だったらこの世に犯罪は無いよ」


ただでさえ人間は個々の価値観でどう動くのか分からないのに、そこから良い関係に発展させるのがどれだけ大変かって話な訳よ。


「ま、それでも最低限のマナーというか、女性から好意的に見られる方法は無くはないんだけど」

「マジっすか!? 是非教えて欲しいっす!」

「無理。僕これからデート」

「そんなぁ!」


教えを受けようと食いついてくるレックス君をバッサリ切り捨て荷物を纏める。悪いけど時間の方がね。

待ち合わせっぽいことをしてみたいというシズクちゃんのお願いで、少しばかりクラスに留まっていた訳だけど。レックス君との会話で余裕がなくなってしまった。


「まあアレだよ。悩めよ若人ということで」

「兄貴だって同学年じゃないすか!」

「兄貴だからねぇ」


残念ながら経験が違うのだよ。……誇れることでもないんだけどさ。

ま、それでもパフォーマンスを兼ねて高笑いしながら教室を出ると、後ろから『チクショー!』という声が。但しイントネーションから、アレが本気の叫びでないことは分かっている。

いやはや。兄貴呼びから感じてはいたけど、レックス君ってば大分ノリが良いよね。朝の言動や本人の性格からして、恐らくクラスの男子の中心人物。単純な性格とノリの良さが合わさって、自然と人の輪の中にいるようなタイプだ。……本人はモテたいなんて叫んでいたけど、多分無自覚なだけでモテる側にいると思うよアレは。よしんば現在がそうじゃなくても、多少言動を改善すれば一気にモテるだろう人種だ。

そんな人物と仲良くなれたのは大きい。兄貴だなんて予想外の呼び名はついたけど、それを差し引いても十分過ぎる成果だ。クラス内での宙ぶらりんの状況は、完璧に改善したと言って良い。


「それもこれも、シズクちゃんのお陰かな」


思い出すのは朝の一幕。シズクちゃんからのデートのお誘い。

アレによって流れが一気に変わった。クラスのアイドルであったシズクちゃんがカミングアウトしたことで、僕は男女問わず注目の的となった。宙ぶらりん状態を改善する切っ掛けには十分過ぎる程に。

あの時のシズクちゃんの意味深な笑みはそういうことだろう。勿論、クラスの女子に対する牽制もあっただろうが、それ以上に僕を手助けする為にああしたのは明白だ。……その方法が若干波風経ちそうと言うか、男子たちの嫉妬が凄いことになりそうだったのはさておき。アレは多分、僕なら問題無くいなせるという信頼からだろう。

兎も角。今のクラス内でのやり取りは、シズクちゃんの手助けがあってこそ。お陰で僕は順調な学生生活を踏み出すことができたのだ。


「これはたっぷりお礼をしないとね」


恋する乙女の健気な献身には、全霊をもって応えなければ男が廃るというものだ。

今日のデートは絶対に良いものにしよう。改めてそう決意しながら、僕はシズクちゃんの待っている校門へと歩を進めた。

尚、ナナ君のモテる論は幾つかの漫画を元に個人的なエッセンスを追加して纏めてみた奴です。

実際は知らん。

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