第三十四話 同じ釜のと言うならば、飯を囲めばそれは友なり
書きだめができた訳ではないですが、ちょっとやりたいことがあり、それの報告を兼ねて投稿します。
まずブックマークをしてくれてる、してないけど読んでいるという読者の方々に、深くお礼を申し上げます。
さて、今回やりたいことでありますが、簡単な需要調査のようなものです。というのも、この次元世界のリトルサーガですが、少しばかり伸び悩んでおります。勿論、人気の有無に関わらず書き続ける所存ではありますし、読んでくれてる方がいるだけで幸福なのですが。それはそれ。もしかしてこの作風って、あんまり需要ないのかなと思いまして。……まあ、主人公の活躍が今のところ全くないので、当然のような気もしますが。
とはいえ、個人的に気になるのですよ。単純に作風の需要がないのか、私の文章力がないのか、作品が面白くないのか。……後はエタリまくった私自身の信用がないのか。
その辺りを調べる為に、新作を投稿してみようかと。尚、新作といっても長編ではありません。10話ぐらいで終わる読み切りのようなものです。終わり方も本当に読み切り的というか、尻切れ蜻蛉っぽいものです。ただ作風的には、私が頻繁に書いてた主人公最強もので、個人的には好きな感じのものです。
それの反響を見て、反応が良かったら自信を取り戻し、悪ければ奮起しようかな、という所存です。
まあそんな訳で、読み切り的な新作を投稿します。
ラクシア側からのランチの誘いということで、僕たちは早々に反省会を切り上げることになった。まあ、感想会も反省会も似たようなもの。相手方の意見も聞けるとなれば、そちらの方が得るものが多いということだ。
そんな訳で試合したメンバー皆でランチです。
「ほう。中々に美味そうな弁当じゃの、ナナよ」
「それはどうも。ただラピスさんのお弁当も美味し……いや本当に凄いですね。え、何すかそれ宮廷料理?」
「あー。一応王族付きの料理人が作っとるから間違いではないのぅ」
「流石は貴人……」
明らかにクオリティの違う弁当を啄くラピスさんに絶句。パッと見でもそれ高級料理店レベルなんですが。弁当1つでそれとか、世界でも数少ない王族なだけはある。
そんな風に関心してたら肩を突っつかれた。んにゃ?
「ナナ! 私のお弁当はどうかな!?」
「うん? 凄く美味しそうなお弁当だね」
「でしょう!?」
「……シズク。恥ずかしいから止めてください。別にアナタが作った訳でもないでしょうに」
あー、はい。僕がラピスさんと親しくしてるからシズクちゃん嫉妬したのね。……分かったからセフィもそんなジト目向けないで。視線で『アナタのせいですよ』って訴えてこなくて良いから。
「カカッ。安心せよシズク選手。確かに妾はナナを気に入ってはいるが、だからと言って人様の恋人を取るようなことはせん」
「……付き合ってないんです」
「恋人じゃないですけどね」
「「「「「えっ!?」」」」」
訂正したらラクシアの皆さんに絶句されたんだけど。え、何なの既にそういう認識されてたの?
「……ナナ。あまりこういうことに口を挟むものではないがの。お主そこまでニブチンなのか?」
「そう見えますか?」
「そこでそう返す奴は絶対に違うのう……!」
僕がニコリと笑うと、ラピスさんは思い切り頬を引き攣らせた。更に言うと、ラクシア側の人たちの目がクズを見る目になった。えー。
「何でそんな反応されるんですかね?」
「あのシズク選手を見て結論出してないからじゃろ」
「いやー、僕って奥手なんですよ」
「どの口が言ってるんですかこの真性女誑し」
「アンタはむしろ手が早い部類でしょうよ」
「……後ろから撃たれた」
ことこの件に掛けては僕の味方はいない。
「ラクシアの皆さんも気を付けた方が良いですよ。油断してると堕とされます」
「いやいやいや。セフィリア選手よ。流石にそれはないじゃろう。確かにここは女子校じゃが、出会ってすぐに惚れるようなチョロい者はおらんよ」
「ウチのシズクは出会った初日に堕とされましたし、翌日には依存レベルで蕩けさせられましたが」
何でラクシアの皆さん僕からちょっと距離を取ったの?
「……こやつ何なの?」
「女誑しですよ。女性の機微に敏感なタイプの」
「それつまり一番タチ悪い奴じゃよな!?」
うーんこの。僕が何か言う前に評価が固まっていくこの感じ。
「そんな不満そうな顔すんな。オレらだってお前のホストムーブに目を光らせんのは面倒なんだ。だったら向こうにも危険性を理解して貰った方が早いだろ」
「一見諭してるようで一切僕に得がないんですがそれは」
単純に僕の悪評が広まってるだけでは?
「そろそろ気まずいんで本題に入って欲しいんですが」
「話逸らしたな」
「話逸らしたわねー」
「話逸らしたわね」
「話逸らしましたね」
「えっと、元気出してナナ!」
これ身内の方が敵多いんじゃない? シズクちゃん以外全員追撃してきたんだけど。
いやめげるなさっさと話を変えよう。
「感想会ということですけど、ぶっちゃけ何を話せば良いんですか? 取り敢えず僕としては、ラクシアの皆さんは大変レベルが高いなぐらいしか言えないのですが」
「それはむしろこちらの台詞なんじゃがなぁ……」
僕が当たり障りのない導入を述べると、ラピスさんが苦笑混じりで話題に乗ってきた。
そこからは一気に空気が魔導戦技のものとなる。やはりこの場にいるのは熱心な競技選手ということだろう。浮かべている表情で、全員がそれぞれの記憶を思い返しているのが見て取れる。
「失礼を承知で言うがの。そちらは世間から見れば完全な弱小じゃ。妾もそういう認識でいた。……そしたら見事に覆された訳じゃな。いや本当に。何じゃお主ら全員レベルが高過ぎるじゃろ。こうもこちらのメンバーが苦戦するとは思わなんだ」
そんな風にラピスさんが呟きながら、のう?と残りのメンバーに同意を求める。
「そうですねぇ。映像で何度か観たことはありましたが、レイニー選手のスピードは実際に体験したら驚きましたね。迎撃も結構ギリギリでした」
と、シエラ選手は頬に手を当てながら語った。
「ルナもまた一回り硬くなってたしねー。……何で重ね掛けして攻めてんのに普通に耐えるのさ」
と、シロ選手はげんなりとした表情を浮かべた。
「シズク選手は色んな意味で凄かったです。単純な格闘技術は勿論、土壇場でも発想力と思い切りの良さは見習いたいです」
と、ピグマ選手は素直に関心した様子だった。
「……ボクに関しては本当に瞬殺されたしね。いや失礼なこと言ったし自業自得なんだけど」
と、リーナ選手が気まずそうな顔で目を逸らした。……何か1人だけ感想のニュアンス違くない?
「ああ。そうじゃのリーナ。丁度良いからこのタイミングで謝っておけ」
そんな僕の疑問を感じとったのか、ラピスさんが少々険しい顔でリーナ選手にそう言った。
謝る?と皆で頭に疑問符を浮かべている中、リーナ選手が話し始める。
「第一地区中学の皆さん。ボクは今日の試合の中で、貴女がたを侮辱しました。貴女たちを侮り、練習試合など時間の無駄だと言いました。……その結果はご覧の通りです。ボクの暴言に怒ったセフィリア選手によって、一撃でKOされました。……凄く無様ですよね」
あー……。それでセフィってばあんな勝ち方したのか。圧倒的な勝ち方をすることで、リーナ選手の鼻っ柱を叩き折った。それと同時にラクシア側のメンバーに見せつけた訳だ。『私たちを舐めるな』と。
つまりあの試合は、静かに怒ったセフィなりの宣戦布告。……やっぱり意外と熱血系だよセフィって。
「また、他の試合を見て分かりました。ボクでは貴女がたの誰にも勝てないと。にも関わらずラクシアという看板を傘にきて、上っ面の評価だけで貴女がたを侮辱した。……本当に申し訳ありません! こ心の底から謝罪致します!」
まあ、それはそれとして。リーナ選手の様子を見ていると、少々セフィの薬が効きすぎてる気がしないでもない。なんかやけに真剣というか、鬼気迫る迫力があるというか。いや、リーナ選手の話が本当なら、確かに失礼なんだろうけども。
「部長の私からも謝罪させて頂きます。今回はウチの部員が大変失礼致しました。二度とこのようなことを起こさないよう、我々で指導するつもりです」
「うむ。試合相手に暴言を吐くなど競技選手として論外。それも己の実力ではなく、所属先の看板を傘にきてのものなど恥ずかしいことこの上ない。ましてや此度の練習試合は、妾たちの大事な妹分であるランの命を救ってくれたことへの返礼じゃ。そんな大恩ある方々を侮辱するなど、選手以前に人としてあってはならぬこと。もしそちらが望むなら、リーナには厳罰を降すことも視野に入れておる」
あ、違うなコレ。セフィのお灸が原因じゃない。ラピスさんを筆頭とした先輩たちからの圧だ。うわすっごい怖い。流石は運動部。上下関係と礼儀に厳しい。
シエラ選手は毅然とした雰囲気で一切の情を感じさせないし、ラピスさんに至っては罪人を罰する君臨者の如き気配を放っている。……この2人に睨まれたらそりゃあそこまで真剣になるわ。勿論、本気で反省してるってのもあるんだろうけど。
ただねー。厳罰云々はちょっとアレかなと。リーナ選手が失礼だったのはその通りだし、競技選手としてアウトってのも分かるんだけども。ただそこまでの大事かと問われると、個人的には首を捻るところ。
「んー、厳罰云々は過剰ではないですかね? 叱られて反省してるならそれで良しでは? まあ、あくまでこれは僕の意見で、部の総意という訳ではないですが。取り敢えず参考程度に」
「……ふむ。しかし話を聴く限り、リーナは特にお主にキツく当たっていたというが?」
「へ?」
マジ? と実際にその場にいたセフィに視線を向けると、『マジです』とばかりにコクリと頷かれた。
マジか。僕、完全にリーナ選手とは初対面なんだけど。何か気に障ることやったのかな?
「……はい。ナナ選手は名指しで侮辱しました。初心者がラピス先輩と戦うことすら烏滸がましいし、一矢報いるなど生意気にも程があると」
「あ、なるほど」
それはうん。やったね。やらかしたね。確かに生意気言ったし、ラピスさんを慕っていたらそりゃ腹立たしくもなるか。
「どうじゃ? これでも尚意見は変わらぬか?」
「そこは別にですかねー。直接言われた訳でも、言ってるところを見た訳でもないですし。ぶっちゃけ僕が把握してないことで謝れても反応に困るんですよ」
そんなのどうやっても『あ、ふーん』ぐらいの感想しか出ないのですよ。だって知らないんだもん。
「おおらかじゃのー。……まあ良い。取り敢えず擁護が1票か。他の方はどうかの?」
そう言ってラピスさんは皆に問い掛ける。さあ判決は如何に?
「オレは気にしてないッスよ? 間違いなんて誰にでもあることだし」
レイ先輩は処罰反対。
「んー。私も反省してるのならそれで良いと思いますよー?」
ユーリ先輩も擁護派。
「私も先輩たちと同意見で。弱小なのは事実だしね」
ルナ先輩も同じく。多数決だとこれでリーナ選手の無罪は確定かな。
「……んー、個人的にはナナを馬鹿にしたことは許せませんが。ナナ本人が許してるので許します」
……シズクちゃんは消極的な擁護派かな? というかそこで僕の名前が出るのか。ちょっと恥ずい。
「私は既に鬱憤晴らしたので別に」
そしてセフィは何か許し方の種類が違う。いや実際に面と向かって言われた訳だし、一番の当事者ではあるんだけども。それでもその『もうやり返したからいいや』感はどうなのよ?
……まあ良いや。取り敢えずこれで全員擁護派ってことで。
「うん。必要以上のお咎め無しってことで良いんじゃないですか?」
「そのようじゃのぅ。……良かったのリーナ。第一築中学の皆さんが温厚で。ほれ、さっさと礼をせい」
「は、はい! ご温情ありがとうございます!」
最後にバッとリーナ選手が頭を下げたことで、この話はここでお終いとなった。……因みにリーナ選手の罰だけど、2週間の機材清掃と走り込みだとか。甘いのか厳しいのかは知らない。そこまでは首突っ込むことでもないしね。
「さて。いきなり話の腰を折ってスマなかったの。ただこういうのはケジメじゃからな。先に済ませた方が後腐れも無い」
「まあ確かに」
後回しにしてたら気まずい内容ではあったと思う。主にリーナ選手がだけど。
「うむ。では本題といこうか。まず我らラクシア側から見た、そちらの印象じゃがーー」
因みに前書きで言ってた新作ですが、新しく書いた訳ではありません。数ある書いたまま放置してたプロットを掘り起こして、軽く調整したものです。
ええ、ですのでこの作品に専念するという宣言を反故にした訳ではないです(震え声)。
何度もいいますが、これから投稿するのは個人的な疑問を解消するための調査モドキです。なので他の作品の続き書けやという声は御勘弁を……(プルプル)!




