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第十九話 過去からのキラーパス

皆さん? 爆弾の存在は憶えてますか?

「ナナのイジワル!」

「あはは、ごめんごめん」


不意打ちしたせいで、シズクちゃんのご機嫌が少し斜め。顔赤くしたシズクちゃんに、ぽかぽかと背中を叩かれながら、リビングへと向かった。


「おはよー」

「あ、ナナ君、起きたんだ。もう大丈夫なの?」

「死人から生者には転生出来た筈」

「うん、顔色は良くなったね」


僕の顔を覗き込んで、ユメ姉さんは安心したような笑顔を浮かべた。合格らしい。

頭に手を置かれて、ナデナデされる。子供好きなユメ姉さんなので、これも安定の行動ではある。

ただ、知り合いの女の子2人の前でやられるのは抵抗があがががが!!?


「イタタタタッ!!? 痛っ、痛いんだけどユメ姉さん!?」

「ところでナナ君? キミの後ろでシズクちゃんが赤くなってるんだけど、何したの? 更に言うと、少しムッとしてるみたいだけど、何したのかなぁ?」

「むしろ今はドン引きしるのではぁぁぁ!!??」


あ、頭がギリギリいってるっ!? くだけ、砕けちゃう!?


「は や く こ た え る !!!」

「ちょっと不意打ちで揶揄いました!」

「ならお仕置き」

「ぬぁぁぁぁ!???!」


正直に答えたら、万力のような力でアイアンクロ、 あ、痛いちょっとこれ本当に死ぬ死ぬ死ぬ逝っちゃう!?


「……ゆ、ユメ姉さん、強化までしてアイアンクローは……ダメだって……」


お陰で満身創痍だよ……。死人から生者に転生したのに、即座に瀕死に戻されたよ……。

そういう意味で文句を言ったんだけど、こういう時のユメ姉さんは無情だ。


「ついでだから、ちょっと防音してくれる?」

「…………ゴメンなさいついでの意味が分かりません」

「いやね、ナナが寝てる間に、2人から色々聞いたんだ。凄いねナナ。出会って2日でシズクちゃんをメロメロにしたんでしょ? セフィちゃんからは、如何にナナの口が達者だったかを教えて貰ったの。ナナのお口が達者だったのかを、ね?」


ニコリと笑うユメ姉さんだけど、今回の笑顔はいつものお日様みたいなものとは違って、超新星爆発を起こす直前の恒星みたいな凄みがあった。

……ヤバいヤバいヤバいヤバい!!! ユメ姉さんから君付けが取れてる。これ本気でお仕置きされる奴だ! というか、ディープキスの件もバレてるよ絶対! バレたら詰むかなと思ってはいたけど、本気で人生詰みかねないよ!?


「……私、毎回言ってるよね? 女の子を勘違いさせるような言動は慎めって。それなのに、どうしてナナは学習しないのかなぁ?」

「いや、あの、これはもう、昔の教育の賜物というか……」

「じゃあ教育で上書き出来る筈だよね? 教育的指導の覚悟は?」


無言で土下座。ひたすらに土下座。

気分は死刑執行間近の死刑囚。誰か助けて。


「あ、あの!その、ユメさん、出来ればそれぐらいで」

「……世の中のためにも、もっと言った方がいい気も」

「セフィっ!!」

「冗談です。ユメさん、私からもお願いします」


ユメ姉さんの迫力に圧されながらも、シズクちゃんは僕たちの間に割って入ってきてくれた。シズクちゃんに叱られたセフィも、遅れてのそのそと入ってきた。やる気ないな……。

ああ、でも、シズクちゃんが天使に見える。セフィは堕天使に見える。ヤバい、これだけで本気でシズクちゃんを好きになりそう。セフィはまあ、友達としてなら好きになれそうな気がする、うん。

……ちょっと錯乱気味だ。落ち着け僕。まずはユメ姉さんだ。


「……シズクちゃん、本当にいいの? 話を聞く限り、あなたが1番被害にあってるんでしょ?」


僕に向けていた底冷えするような声から打って変わって、ユメ姉さんの声音からは気遣いが溢れていた。

それにしても被害て。


「いえ、その、被害なんて全然思ってないです。私の変なところも、ナナは笑って受け入れてくれて、むしろ助けられてました。……他の娘にも甘い事言うかもって思うと、少し苦しいですけど」


シズクちゃん、フォロー自体は凄い助かるんだけど、その一言はダメだ。


「ふんっ」

「キャイン!?」


拳骨めっちゃ痛い。


「あ、でもでも! ナナは女の子に優しくないと、ナナじゃない気もするんですっ! だから、あんまり怒らないであげてください!」

「ナナ、出会って少ししか経ってない女の子に、そんな印象持たれてるのって、保護者としては凄く思うところがあるの。キミはどう思う?」

「……この状況だと、その質問は凄い刺さるかなぁ……」


好きになってくれた娘に、保護者の前でフォローして貰ってるというのは、色々と情けないよね。

軽く落ち込んでいる僕を見て、その後シズクちゃんを見て、再び僕を見て、最後にユメ姉さんは大きなため息を吐いた。


「……はぁ。今回はシズクちゃんに免じて許します。ただしナナ君、今後は本当に自重するように」


あ、君付けに戻った。やった! 助かった!


「シズクちゃん、本当にありがとう! 大好き!」

「ふえっっ!??!」

「だからそれを自重しろって言ってんの!!」

「あぎゃぁぁぁぁあ!!??」


お仕置き用ガトリング魔法弾は止めてぇぇぇ!!!


「コントですか……」


プスプスと煙を上げる僕を見ながら、セフィが呆れ顔で呟いていた。





「なんというか、ユメさんの前ではナナも形無しなんですね……」


お仕置きお説教が一通り済んで、現在食事中。

もっしゃもっしゃとビーフシチューを頬張る僕を見ながら、セフィがそんな事を呟いた。


「んぐ。……そりゃそうだよ。ユメ姉さんに勝てる訳ないじゃん」


物理的にも立場的にも、圧倒的に上位の人だよ?

あ、おかわりしてこよ。


「あのねぇ、ナナ君が大人しくしていれば、お仕置きなんてしないんだよ?」

「もはや癖なんだよなぁ」

「矯正しよっか?」

「なんでもないです」


だから魔法弾消して。

あ、おかわりしてこよ。


「やはり姉は強しですね」

「セフィ、何で私を見ながら言うの?」


頬をひくつかせたシズクちゃんが、セフィを睨みつける。安定の如く無視されていた。

あ、おかわりしてこよ。


「そういえば、明日って何時頃からなの? ご飯とかいる?」

「あ、僕も聞いてない」

「あっ!?」


ユメ姉さんの疑問のお陰で、僕とシズクちゃんの大ぽかが発覚した。危ねぇ。これ二人が帰ってから右往左往するところだった。


「……シズク」

「あー、あはは……」


今度はシズクちゃんが、セフィにジト目で睨まれていた。シズクちゃんはセフィ程図太くないので、凄く気まずそうにしている。

あ、おかわりしてこよ。


「シズクの代わりに私が。明日9時に部室集合で、10時半にラクシアに到着、11時から1時半までが練習試合、お昼休憩を挟んで、5時まで合同練習といった予定になっているそうです」

「へぇ、結構ガッツリやるんだね。という事は、明日はお弁当かな?」

「そうですね。用意するか、近くのコンビニで買うよう言われています」


ふむふむと、ユメ姉さんが何やら考え込んでいる。明日のお弁当の内容でも考えてるのかな?

あ、ちょっとおかわりしてこよ。


「何か持ってくものは?」

「試合の装備一式、タオル、着替え、デバイス、後は各自で水筒とお弁当ですね。一応、飲み物はユーリ先輩も用意してくれますが、自前で用意しておいた方がいいでしょう」

「なるほど。あ、服装って制服?」

「制服か練習着ですね。本当なら部内ジャージらしいんですけど、まだ1年生のは届いてないんです。ナナに至っては、入ったばっかですし」

「じゃあ練習着かな」


流石に制服は面倒だしなぁ。まあ、そんなに用意するものはない感じだし、荷物が多くなるって事はないだろう。

さて、おかわりしてこよ。


「ナナ君、明日はお弁当でいい?」

「お願い出来る?」

「うん。リクエストは?」

「特にないかなぁ。ユメ姉さんの作るのはどれも美味いし」

「ふふ、ありがと」


ユメ姉さんは嬉しそうに笑った後、冷蔵庫の方に向かっていった。入っている食材で、弁当の内容を決めるつもりなのだろう。

僕もおかわりしてこよ。


「……で、シズクは何でこんな大切な事を伝え忘れてるんですか? あなたを1人で送り出したのは、ナナが起きた時に明日の予定を伝える意味もあったんですよ?」

「あー、えーと、その……ゴメンなさい」


ユメ姉さんが席を離れたら、セフィによるお説教が始まった。結構ガチで怒っているようで、シズクちゃんがちっちゃくなってる。


「謝罪はいいんですよ。理由を教えてください。……まさか、ナナの寝顔見て忘れてた訳じゃないですよね?」

「へうぁっ!? いや、そんな事ないよ!?」


シズクちゃん、その反応は誤魔化せてない。どう見ても図星突かれてる。

というか、そっか。寝てる時に頭撫でられてたのって、そういう事だったのか。てっきり子供扱いされてるのかと。これ言ったら、セフィが更に怒りそうなので言わないけど。

にしても意外だ。確かに大ぽかではあるけど、あのセフィがここまで怒るなんて。


「いいですか? ナナだけでなく、危うく部全体にも迷惑かけるところだったんですよ。貴重な練習試合、それもラクシアという滅多にない相手です。万全を期して望むべきところを、連絡ミスで躓いたら、私は嫌です。シズクも嫌でしょう?」

「……うん、ゴメンなさい……」


言い分を聞いて納得。そういえばセフィも、魔導戦技大好きっ娘だったっけ。真剣にやってるから、こんなに怒ってるのか。

ただまあ、お説教を見てるだけってのもアレかな。僕の方も、時間とか場所を訊くのを忘れてた訳だし。なにより、シズクちゃんにはさっき助けて貰ったし。

と、その前におかわりしてこよ。


「まあまあ。セフィ、そこまでにしてあげて。気が付かなかった僕も悪いから」

「回復したてのナナに、そこを期待しませんよ。頭が働いてない事を前提に、シズクを向かわせたんですから。だからこれは、シズクの落ち度です」

「また抜け目ない……」


この場合はそつがないが正しいのかな?

お陰で、お相子って事にするフォローは失敗。

なら次だ。


「いやね、途中まではちゃんと連絡聞いてたんだけど、ラクシアの説明聞いてるうちに知り合いの話に移っちゃって」

「知り合いですか?」

「うん。昔のラクシアで、世界選抜いったテレサ・カクラ」

「テレサ・カクラと知り合いなんですか!?」


よし食い付いた! 流石は魔導戦技大好きっ娘。

このままこっちの流れに引っ張るぞ。


「うん。ユメ姉さんの部下なんだ。だから結構付き合いがあって。テレサがラクシア出身って知って、凄い驚いた」

「なるほど……。機動隊の身内がいると、そういう繋がりがあるのですか。……では、他にもその手の知り合いがいたり?」


納得すると同時に、何処か期待するような目で、そんな事を聞かれてしまった。本当に魔導戦技好きなんだね……。

にしても、そっかぁ。うーん、経験者が機動隊や保安隊に入る事は多いし、知り合いの中に元有名選手もいるのは確実なんだけど……。僕、皆の経歴って知らないんだよなぁ。テレサがラクシアで魔導戦技やってた事も、知らなかったぐらいだし。

という訳で、僕より詳しいユメ姉さんカモン。

呼ぶついでにおかわり。


「はいはーい。どしたの?」

「僕の知ってる機動隊メンバーでさ、魔導戦技の有名選手だった人っている? テレサがそうらしいんだけど」

「……あー、そういえばあの娘、ラクシアだっけ……」


ユメ姉さんですら微妙に遠い目をする当たり、テレサの評価が伺える。


「……やっぱりその、お猿さんなんですか?」

「……今度会わせてあげるよ」

「逃げた」

「うるさい」


デコピンされた。実際逃げたじゃん!


「猿?」


何も知らないセフィだけは、不思議そうに首を傾げていた。

微妙な空気を払拭するように、ユメ姉さんは咳払いをしてから、話を戻した。


「で、元有名選手だっけ? ナナ君の知り合いに限定すると……ゼクス、ユユ、ラティ、バルム、蒼香、ミューがそうかな?」


うわぁ、また濃い面子だ……。男性陣とか特に酷いよ。


「……雷光のゼクス、灰燼のユユ、鉄拳のラティ、不動のバルム、氷結の蒼香、空波のミュー……どれも人気を博したスーパー選手じゃないですか!」

「嘘っ!? 私、雷光のゼクスと氷結の蒼香のファンだった!」


……何か、やけにカッコイイ二つ名を聞いた気がする。

口下手、ドジっ子、ドS、ドM、ビビり、天然の間違いでは……。

いやでも、言えない。あんなに目を輝かせてる2人に、あのメンバーの本性は言えない。

即座に目配せ。ユメ姉さんも同意見のようで、話を変えに掛かる。


「だったらサイン貰ってきてあげようか?」

「本当ですか!?」

「是非お願いします!」


よし食い付いた。このまま締めに掛かるぞ。ちゃんと、シズクちゃんのフォローもしてね。


「とまあ、こんな感じで話してたら、いい時間になっちゃったんだよ。多分、セフィでも同じ結果になったんじゃない?」


シズクちゃんが食いつかずにはいられない話題を提供したせいで、肝心なところを話し忘れていた。これなら、セフィも強く言えない筈だ。セフィだって、シズクちゃんと同じで魔導戦技大好きっ娘なんだから。


「……いや、それとこれとは話が別では……」


予想外の角度から攻め込まれて、セフィがたじろいだ。

この反応は、もう一押しだね。


「そう? 熱中して聞き入ったら、連絡どころじゃなくない?」

「……おしゃべりに夢中で、やるべき事をやらないというのは、問題がありますよ」

「じゃあ、セフィは今のテレサの戦闘スタイルの話とか、興味ないの? 詳しく聞きたくない?」

「…………卑怯です」


はい、降参頂きました。

恨めしげに睨んでくるセフィを無視して、シズクちゃんにウィンク。


「っ、ありがと!」


セフィを説得した事で、シズクちゃんが大輪の笑顔を浮かべる。


「……はぁ。シズク、次からは気をつけてください」

「うん。ごめんねセフィ」

「いいですよ、もう……。はぁ、やっぱりナナの方が曲者じゃないですか……」


ジト目で睨まれたけど気にしない。

それはそれとして。


「そろそろいい時間だけど、2人とも大丈夫?」

「露骨に話を逸らしましたね」

「気のせい」


別に気まづくなってないよ? 僕は恩を返しただけだし、なにも卑しい事なんてないしー。

それにいい時間なのは本当だ。食べながら話をしていたら(食べてたのは僕だけだけど)、いつの間にか8時半。いくら僕たちの家が近くても、そろそろ帰るために動いた方がいい時間だ。

泊まったりするなら話は別だけど。


「で、どうする? なんなら泊まる?」

「泊まりませんよ。ちゃんと帰ります。いくらユメさんがいるとはいえ、同級生の男子の家に泊まれる訳ないじゃないですか」


阿呆を見る目をされた。冗談に決まってるじゃん。


「あはは、流石にご迷惑だよ」

「ちゃんとご家族の許可さえとれば、うちは構わないよ?」


まさかのユメ姉さんからの援護射撃。いや、冗談で言ったんだけど……。


「……え、あー」

「なに悩んでるですか……。明日は試合でしょう」


試合がなければ、泊まる選択肢あったの?


「あ、そっか。ゴメンなさい、準備もあるので」

「そっかぁ。残念。ガールズトークとかしたかったのになぁ」

「僕も混ざりたかったなぁ」

「こらボーイ」


駄目らしい。知ってた。


「ならナナ君、2人の事送ってあげて」

「言われなくても」


この時間に、女の子だけで外を歩かせるなんて論外だ。

なのでこれは当然の事なんだけど、シズクちゃんとセフィが待ったを掛けてきた。


「いや、悪いですよ。私たち、本当にすぐそこなんですから」

「そうです! ナナも回復したてなんだし、ちゃんと休まないと」


手間をかけさせるのは悪いと慌てる2人だが、そんな理由じゃ引けないよ。僕もユメ姉さんも、譲れない。


「いい? そういう油断が、犯罪に繋がるかもしれないんだよ? すぐ近くだから大丈夫じゃないの。すぐ近くだからこそ、余計に警戒しないと。近所に向かって、そのまま帰ってこないなんて事件、本当に多いんだから」


治安維持を行っているユメ姉さんは、犯罪防止の重要性は嫌という程理解している。だから絶対に譲らない。


「そうそう。それにね、こういう時は男に花を持たせるものなんだよ? 男は基本カッコ悪いんだから。カッコイイとこ見せようとするのを、優しく見守るのが素敵な女性になるのに必要なスキル」


経験豊富な女性たちに鍛えられた僕だから、ここは絶対に譲れない。それでは男が廃ってしまう。


「……いや待って。私が真面目に犯罪防止を説いたのに、その横で良い女のスキルを語られても。というか、男のナナ君がそれを語れるのも、無駄に説得力があるのもどうかと思う」


ジト目でそんな事を言われてしまった。ありゃ、説得のしかた間違えたかな?

このままだと再びお仕置きという地雷原に突入しかねないので、無理矢理にでも話を進める。


「兎も角。安全って意味でも、僕にカッコつけさせるって意味でも、2人を送らせて欲しいかな」

「……でも、ナナ、身体は大丈夫なの?」


それでも、シズクちゃんは納得していなさそうだった。僕の身体が心配らしい。


「心配してくれてありがとね。でも大丈夫。元々ただの寝不足だったんだから。もう元気いっぱいだよ」

「まあ、あれだけ食べてれば当然ですよね」


セフィが遠い目をしながら、僕の言葉を肯定してくれた。

因みに5人前ぐらい食べました。

僕が食べる量を見て、シズクちゃんは目を丸く、セフィは化け物を見るような目をしていた。安定のセフィ失礼。


「ま、多少の体調不良だったら、無視して2人を送るけどね。可愛い女の子と夜を歩けるなら、それだけで十分お釣りがくるから」

「……もう」

「ユメさん、お仕置きを」

「おっけー」


拳骨された。めっちゃ痛い。

……何か、変なところでユメ姉さんとセフィが仲良くなってる気がする。これ僕ヤバいのでは?

蹲りながら戦々恐々としている僕の顔を、ユメ姉さんが覗き込んで警告してくる。


「……一応言っておくけど、狼にはなっちゃ駄目だよナナ君?」

「大丈夫、僕小型犬だから。危なくない危なくない」

「それは物理的にであって、内面は人食い狼ですよね?」

「よしセフィ。外出るついでに、ちょっと話し合おうか」


その物言いは看過できないよ?

誰が人食い狼だ。あと物理的に小さいって酷いよ。身長が小さい事、なんだかんだで結構気にしてるんだからね!


「キミのその失礼な態度、送りながらじっくり話し合おうか」

「良いでしょう。私もシズクの姉として、ナナのホストロールには文句があります」


これは戦の気配がしてきた。用いるのは武器でなく言葉だけど、それでもこの戦いは負けられない。


「2人とも、仲良くしなさい!」

「喧嘩はダメだよぉ!」


シズクちゃんとユメ姉さんにめっちゃ怒られた。

いや、勿論冗談だよ?

爆散しましたねナナ君。まあ、出会って1日の女の子にディープキスかましたとか、保護者からしたら『はぁ!?』ってなるんで当然ですが。

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