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異世界の黒蝶  作者: ちょうちょ
~プロローグ~
5/36

勇者のイロハ①

「まずは、【メニュー画面】を開いてください。」


「は?」


翌日、それぞれの部屋で朝食を取った後、中央区画の会議室へ集められた。

サランが言っていた通り「勇者の力」とやらを説明してくれるためだ。

そこで言われたのが【メニュー画面】だ。


「念じただけでできるらしいんです、これが。」

「んなわけねーだ・・・」

「できた!!」

へ?

皆が一斉に北野を見た。

すると、オレンジ色をした半透明のメニューが北野の目の前に浮かび上がっている。

「嘘でしょ!?」

これには木村もすっとんきょうな声をあげる。

「いや~おめでとうございます。僕も見るのは初めてなので感動しちゃいますよ。」

サランはパチパチと拍手をしながらまじまじと北野のメニュー画面を覗き込んだ。

「ふむふむ。メニューは上から【アイテム】【スキル】【ステータス】【パーティ】【マップ】【データ】【ヘルプ】・・・素晴らしい!!イーネスの書にある通りです!!」

部屋の隅に控えていた数人のとんがりが「おお!」と声をあげる。

「すすすすすすげーーーーー!!」

そこからは全員がメニューを出せるようになるまで左程時間はかからなかった。


「では皆さんのクラスを教えていただきます。メニュー画面からステータスを選んで確認してみてください。」


え!!??クラス制なの!!!??


「え!!!クラス制なんだ!!!???」

小松原が愛華の心と同じことを叫んだ。

「クラスって2-1だろ?」

「そのクラスじゃないよ!!!」

意味がわかる人達はこの重要性を理解しているので慌ててメニュー画面からステータスを確認した。

私は・・・・


【名 前】小嶋 愛華 【クラス】マジシャン

【レベル】1

【 Next 】5


【H P】22       【装備中】

【M P】43        【武器】   なし

【攻撃力】4         【頭】    なし

【防御力】3         【腕】    スターブレスレット

【魔 力】9         【胴体】   ピンクチュニック+ショートパンツ

【命中力】6         【脚】    ニーハイ+らくちんパンプス

【瞬発力】5         【アクセサリー1】なし

【 運 】5         【アクセサリー2】なし

【説 明】ルックスに恵まれているが内向的で友達がいない

     孤独を好む一方で友人を欲しているという矛盾を抱えた思春期の少女



う る さ い よ っ !!!!!!!!

「なんだよ、これ!」

「何よ、この説明ってやつ!!!!」

他の人も激怒している。

「玲奈、どうだった?」

「嫌、見ちゃダメーーーー!!」

森が覗こうとしたが木村は全力で画面を守っている。

「この説明は・・・地味に来るな。」

柳瀬も嫌なことが書いてあったのだろう。

必死に眼鏡を上げて冷静を装っているがその奥には怒りが見える。

「俺なんて本当のことすぎて何も言えねーよ。」


小倉君のステータス画面にはなんて書いてあったんだろう?


愛華がそう考えてぼんやりしていると、少し拗ねたような顔をした小倉と目が合い慌てて目を逸らした。



「はい、では皆さんクラスを教えてくださーい。クラスだけでかまいませんからー。」

その言葉に安堵して皆次々にクラスを報告した。

サラン曰く、私たちのクラスは全て過去の勇者にもいたようで、さらにクラスごとの特色を簡単に教えてくれた。

まとめるとこうだ。


 私  :マジシャン・・・魔法使い。重たい武器や防具は装備できない。

小倉君 :ファイター・・・剣使い。攻撃力が高い。大体の武器を装備できる。

柳瀬君 :ランサー ・・・槍使い。攻撃力が高くリーチが長い。基本は槍。

木村さん:ダンサー ・・・踊り子。味方のステータスアップ等の補助役になる。

森さん :プリースト・・・神に仕える人。回復魔法を得意とする。

小松原君:マジックナイト・・・攻撃にを属性付与することができる。基本は剣。

北野君 :シーフ  ・・・盗賊。素早さが高い。ドロップ率の底上げに定評。


「おい!小松原君ずるいよ!君だけ上位クラスじゃないか!なんで僕が盗賊なんだよ~!」

「悪いな、北野君。女神様の思し召しさ。」

「何よ、ダンサーって!戦うのに踊るとか意味わかんないわよっ!!」

「私、特に特定の神様信仰していないんですが、良いんでしょうか?」

「ファイター、戦う者、か。いいんじゃね?」

「槍使いか。」


「マジシャン・・・・」


うう。私の昨晩の決意を妨げるクラスだわ。。

どうしよ。


「このメニュー画面は非常に頻繁に使用する勇者様のみのお力ですが、使用中はもちろん無防備となりますので、戦闘中は避けて、ゆとりのある時に開くのが基本です。」

ま、そうだよね。

そうなると・・・アイテムを使いたい時は一旦戦闘を離脱する必要があるってことか。

ショートカットキーとか無いのかな?

愛華はサランの説明を聞きながらピコピコとメニュー画面をいじっていた。

するとアイテム一覧に既にアイテムがいくつか入っている事に気付く。

アイテム名は「女神からの差し入れ」。

イラッとすんなーもう。

アイテム説明は「HPを100回復」。

それが5個。

それを選択すると【使う】【取り出す】【まとめて選択】とさらに選択肢が出てきた。

ん?【取り出す】ってなに?

知りたい欲求が抑えられなかった愛華はポチッと押してみる。

すると愛華の目の前の何もない空間からヌルっと液体を入れた瓶が発生し、愛華の手の中に落ちた。

「きゃあ!」

思わず軽く悲鳴をあげてしまう。

「おや、ご説明する前に実践してしまいましたか。」

どうやらこれから説明する事だったらしい。

サランの説明では勇者の持ち物は神のみぞ知る異次元に保管されていてそこから出し入れできるようだ。

アイテムを誰かに渡す時やお店での売却時はこの【取り出す】必要があるとのことだ。

しまう場合は念じるだけでヌルりと別次元へ消えるそうだ。

「気持ち悪ぃ。」

なんて声があがる。

ちなみに、持てるアイテムの種類は無限だが、個数は99個までらしい。

それから、【スキル】【ステータス】【パーティ】【データ】【ヘルプ】の画面についてそれぞれ説明してくれた。


一通りメニュー画面の説明が終わるとサランは自分の頭上を指さして言った。

「次に、私の頭上にHPのバーが見えるはずです。」

「は?」

「えいちぴぃ?」

ゲームをやらない木村にはちんぷんかんぷんのようだ。

もしかしてこれも念じれば見れるの?

愛華が目に力を入れてみたところ、なんと・・・見えた。

HPとは書いていないが青いバーがサランの上に確かにある。

その後、次々に「見えた!」「ある!!」等の声があがり他の人も見え始めたようだ。

だが少し気を抜くとそのバーは消えてしまう。

「このゲージは敵の生命の目安となるもので、満タンに近いと青、半減すると黄、瀕死だと赤に変わるようです。もうお気付きかもしれませんが、私だけでなく対象はあらゆる生命体に有効な勇者様だけのお力です。」

サランの言うように、部屋の隅のとんがりを見て少し目に力を入れると頭の上にHPバーが現れた。それは仲間の同級生も例外ではなかった。

「そして、このバーのゲージが全て無くなるまで攻撃を続けると・・・その対象は死にます。」

サランの真剣な表情にゾクリとした森が身震いした。

「皆さんは魔王のこのHPゲージを無くすまで帰れないということです。」

ゴクリ。

全員が真剣な表情でサランを見つめる。

「さて、勿論このゲージは皆さんにも存在します。」

パチン

サランが指を鳴らすととんがりの一人が短剣を持ってつかつかとサランの横まで歩きそれを差し出した。

「今から皆さんにはこの短剣で斬られていただきます♪」

「なっ、何言ってるのよ!?」

動揺が走る。

「皆さんには敵からダメージを受けた際の体験をしていただく必要があるかと。死なない程度に軽くなので大丈夫です、先っぽ、先っぽだけですよ♪」

まだ子供のくせしてそんな物騒ことを音符マーク付きで言えるのか・・・。

ヤバいな、異世界。

しかし殺さない程度にと言われても短剣で斬られるというのは平和に暮らしていた学生にとっては中々恐いことである。

全員が動揺し恐怖の空気で場が満たされている。

沈黙が続くと一人の男子が立ち上がる。

「そういう事ならいいぜ。俺からやれよ。」

小倉が前に出て名乗りを上げた。

「やめとけ、尚麒!まだあいつを信用できない。」

「そうよ、小倉君!もしものことがあったら私・・・」

皆が止める中、愛華は殺されはしないだろうという安心感から見守っていた。


殺すつもりなら最初の魔方陣の上で殺してるしね。

昨日の食事に毒を入れてもいいしベッドで寝ている間もチャンスはあった。

しっかし小倉君、ホント勇気あるなぁ。


なんて考えているのを見抜かれたのか

「あ、勇者小嶋様。あなた様からも言っていただけませんか?それか小嶋様が短剣を振るうのであれば勇者様たちも安心でしょうか?」

と提案してきた。

「え?」

なんて言ってる間にほいっと短剣を差し出され受け取ってしまう。


コッチに振らないでよぉーーーーー!!!(泣)


急に汗だくである。

「小嶋さんが・・・俺を斬る・・・。」

小倉は色々と複雑そうな表情をしている。

柳瀬は「まぁ、それなら殺されることはないか。」となんとか納得したようだ。

ただ木村だけは愛華と小倉の前に立ちはだかり

「小倉君を斬りつけたりしたら絶対にあんたを許さないから!!」

と怒鳴った。

「おい・・・俺は別に・・・」

と小倉がたしなめようとしたが

「黙って!!!」

「あ、ハイ。」

と凄い剣幕で言われ黙ってしまう。

「同級生が刃物で同級生を斬ろうとしてるのよ!?そんなのあっていいことじゃないでしょ!?」

確かに。

そう思った愛華は閃いた。

「あのー・・・」

愛華は精一杯の勇気を絞り出し挙手をする。


「自分で自分を斬っちゃダメでしょうか?」

「あ。」


全員が納得した。





【名 前】小嶋 愛華   【クラス】マジシャン

【レベル】1

【 Next 】5


【H P】22       【装備中】

【M P】43        【武器】   なし

【攻撃力】4         【頭】    なし

【防御力】3         【腕】    スターブレスレット

【魔 力】9         【胴体】   ピンクチュニック+ショートパンツ

【命中力】6         【脚】    ニーハイ+らくちんパンプス

【瞬発力】5         【アクセサリー1】なし

【 運 】5         【アクセサリー2】なし

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