表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界の黒蝶  作者: ちょうちょ
~第1章 ノーザ動乱編~
13/36

同じ日の夜

「はぁ?城内謹慎処分??」

小倉と柳瀬が夕食後に城へ戻った時のことだった。

男子同士で今日あったことを報告し合おうとして、小倉と柳瀬が北野と小松原の部屋を訪れたのだ。

「そうなんだよ、小松原君のせいで大変だったんだよ!」

「違うよ、小倉君。僕は被害者さ!」

「何言ってるんだよ、いけしゃあしゃあと!」

北野と小松原が言い争いを始める。

「待て待て。落ち着いて何があったのかを話してくれ。」

柳瀬が二人を宥めた。

「それが聞いておくれよ。」

北野は今日あったことを話し出した。


-----------------------------------------------------------------------------


「レモンちゃんでぇす♪よろしくネ❤」

ここは城下町メイン通り脇のキャバクラぴーち。

胸の谷間を見せつけ超ミニスカートで登場したレモンちゃんは握手しようと手を差し出した。

「よよよよよろしくお願いしまぁぁぁあぁあす!!!ブハッ―!」

小松原が勢いよく手を出したと同時に鼻血が飛び出る。

「はぁい、よろしくぅ❤」

にぎ。

「はい、これでお触り1回ね❤」

お触り1/3回目がカウントされた。

「ええええ!これで1回なんですか!?」

握手を見ていた北野が驚愕する。

「うん、だって触ってるしぃ。あ、隣失礼しまーす♪」

小松原の隣に座り密着する。

その時、膝と膝がコツンとあたった。

「あ、いやん❤お触り2回目ね♪」

「ええええええ!!今のもカウントなんですか!?」

見ていた北野が再び驚愕する。

「うん。だって肌と肌が触れてるしぃ。」

「うるさいぞ、北野君!君にはこの肌と肌のスキンシップがわからんのか!!」

「ええええ!納得してる!?」

「げへへ。レモンちゃーん、僕とランデブーしよー!」

「いやーん❤キ・モ・イ☆セクハラ退場だゾ☆」

「ええええ!!なんか結構キツイこと言われてる!!」

「うへへ。レモンちゃん何飲みたい?」

「えーっとぉ、こ・れ。」

レモンちゃんはメニューの一番高いお酒をちょんちょんと指さした。

「よぉーし!それ行こう!!行っちゃおう!!」

「きゃー!すごーい漢らしい~ぃ、ぐっと来るぅ~~ゾ❤」

レモンちゃんは最後のゾ❤で小松原の鼻を指でちょんっと突いた。

「はい❤三回目ね♪」

そう言って密着してた身体を離した。

北野はもう驚かなかった。

「それでぇ、二人ともこぉんな真昼間からうちに来るなんて何してる人なのぉ?」

ありがちな職業の質問から入る。

「ムヘへ、勇者だよぉ。レモンちゃんに会いに来たんだよぉ。」

「ええっ!」

驚いた北野は「何馬鹿正直に話してるんだよ、小松原君!」と突っ込みを入れるところだった。

「ええー、勇者って昨日発表のあった勇者様ぁ?もーう、タイムリーな話題狙ってくるんだからぁ。ホ・ン・ト・はぁ、何してるのぉ?気になるぅ~!」

本気で捉えていないようなので北野はホッとした。

「勇者ぁ、僕は勇者だよぉ~げへへ❤」

小松原はいやらしい手つきでレモンちゃんに触ろうとしたが、流石はプロである、レモンちゃんは華麗に可愛く「もぉ、3回分使ったんだからだーめっ❤」と言って、みぞおちに一発おみまいした。

小松原は殴られた勢いで北野の横をかすめて飛んでいく。


バーンッ!!!


凄い音がしたが、これは小松原が壁に激突した音ではない。

音は店のドアが壊された音だった。

「キャー!」

「な、なに!?」

そしてドタドタと10人ほどの衛兵が入ってきた。

「兵!?うちは健全な店ですよ!?税金もきちんと納めていますよ!?」とマネージャーらしき人物が訴えている。

昼時で全然人がいないとはいえ、いくつかのBOX席に客と女の子がいる。

兵士は一人一人顔を確かめて行き、北野とレモンちゃんの席に来て顔を確認した。

「勇者様発見!!!」

確認した兵が叫ぶ。

すると入口の方からサランによくくっついていた黒いとんがりフードが一人スタスタと店に入ってきた。

それを見るとマネージャーが「四賢者!?」と叫び震えだした。

北野とレモンちゃんのいるBOX席までくると、じっと北野を見つめた後、レモンちゃんを見つめた。

「ひっ!」

レモンちゃんはブルブル震えている。

その後、壁にめり込んでいる小松原を見てただこう言った。

「勇者北野様、小松原様。サラン様がお待ちです。王城にお戻りください。」

「あ、はい。」

感情は読み取れないが若い男性の声だった。

北野はあっけにとられてよくわからないままに誘導された。

小松原は衛兵に運ばれている。



僕、やらかしちゃったのかな?

店を出る際にとんがりがマネージャーに何か言って袋を渡しているのが見えたが、マネージャーがとにかくビビッていたな。

城に戻るまでの道のりはよく覚えていない。

兵に囲まれていて周りの様子もよくわからなかったし。

覚えているのは、途中、小松原君が目をさまして、メロンちゃんメロンちゃんうるさかったくらいだ。


北野と小松原は城に着くとそのまま直ぐに会議室へ通された。

そこには、いつもと変わらず笑みを浮かべるサランが待っていたのだが、どう見ても怒りのオーラをまとわせて仁王立ちしていた。

サランに下がるよう言われたとんがりは一礼して会議室から出て行く。

小松原だけまだ状況がわかっていないようだ。

北野がなにかしてしまったのか聞こうと口を開いが先に喋ったのはサランだった。

「ん ま っ た く !!!」

バンッ!

「ぃ や っ て く れ ま し た ね !!」

バンバンッ!

丸めた書類でバンバン机を叩きながら怒っている。

怒っているといっても顔はいつものように笑っているから怖いのだ。

「ひぃ!」

小松原は声にならない声をあげる。

「何もなかったからよかったものの!!!!勇者としての自覚はおありですか!!??え!?おありですか!!??」

「はははひぃ!ありまふ!!」

「本当ですか!!??」バンッ!

「ほんとふでふ!!」

サランは本当に子供なのだろうか。

北野には男子高校生にこんな恐怖を感じさせられる子供がいるなんて信じられなかった。

「では・・・その自覚とやらをお見せいただきましょう!!!」

「は、はひぃ!!」

「お二人には・・・一週間でレベル20を目指していただきますっ!!」

バンバンッ!

「良いですねっ!?」

バンッ!

「「はひいっ!!」」

「もし次にいかがわしい店に出入りしたら・・・」

「したら・・・???」

「裸で馬車に張り付けて街中を走らせますよ?」

「はい・・・・」


お説教から解放された時には夕方になっていた。

今夜はもう城の外への外出は禁止された。

二人は小松原の部屋で反省会をしようということになったのだが・・・


「まったくサランはキャバクラ程度で大げさだよなぁ。なぁ、北野君?」

「あ、先生、この人全く反省してませーん。」

北野が呆れた。

「っていうか小松原君のせいじゃないかっ!」

「な、なんだって!?僕のせい!?」

「キャバクラに行こうなんて言うから!」

「君だって未知への冒険を承諾したじゃないかぁ!」

「そ、それはそうだけど・・・。」

・・・・

・・・・


---------------------------------------------------------------------------

「っていう感じなんだ。酷いだろ?」


小倉と柳瀬はじと目になって聞いていた。

「ア・ホ。」

「ああ。」

小松原はガビーンとショックを受けて訴える。

「そんなっ!イケメンすぎて男のロマンを忘れてしまったのかい!?」

「っというか、今の話何かひっかかるよな。」

「ああ、『四賢者様』ね・・・」

二人は立ち上がり部屋を出ようとする。

「ああっ、待ってよ!」

「どこに行くんだい?」

「ん?上の女子フロアだけど?」

「「えええええええ!!!」」

小松原と北野の声が重なる。

「女子フロアってさらりと言ってるけど、あの、男子禁制フロアでしょ?」

「そうだよ、女子の匂いが充満している、あの天国フロアでしょ?」

小松原は鼻血を垂らしながら言っている。

「うん、お前らは来んな。」

この変態ペアを女子のフロアへ連れて行くべきではないと小倉は瞬時に判断した。

「「ええーーーーーーー!!」」

二人は納得がいかないようだ。

「っていうか小松原君と一緒にしないでくれよ!」

北野は心外だと訴えている。

「しかし、尚麒。確かにどうやって女子とコンタクトをとるんだ?」

「んなもん大声で呼ぶとか色々方法はあんだろ。てかこれからも色々連携しなくちゃいけねーのに禁止とか気にしてられっかよ。」

「ふむ。その件は俺からもサランに留意点として伝えておこう。」

小倉と柳瀬はブーブー文句を言っている二人を残して女子フロアへと向かった。



---------------------------------------------------------------------


「は?まだ戻ってない?」

小倉はきょとんとした表情で聞いていた。

「うん。そうなの。」

森が言いづらそうに答えた。

愛華の部屋は森の隣だ。

そこで愛華が帰ってきた気配がしたら、木村が今朝の件で謝りに行くという手筈に女子の間でなっていた。

木村は根気よく待ったが就寝時刻が迫っているこんな時間になっても愛華は部屋に戻っていない。


「探しに行く。」

「待て、尚麒。どこを探すつもりだ?」

血相を変えて探しに行こうとした小倉を柳瀬が掴んだ。

「放せ。とりあえず王都内。てかお前も来い。」

「待って、それなら私も行く!」

木村が真剣な表情で立候補する。

「私・・・私の責任でもあるからっ!」

小倉には木村が大分追い詰められているように感じた。

「木村さんは城にいて。夜の城下町はどんな奴がいるかわかんないし。」

「ああ、女子は城にいた方が良い。俺と尚麒で黒いローブをまとった女子の聞き込みしてみる。」


「その必要はありませんよ。」


後ろから知っている声がした。

声の方を向くとサランがいつものように笑みを浮かべて立っている。

「必要はないってどういう意味だ?」

「そのまんまの意味です、勇者小嶋様の件は私が預かります。」

「見当はついてるのか?」

「おや、私はスクレテールですよ?兵も貴族も王の許可さえいただければいつでもどれほどでも動かすことができます。この国で私以上の適任がいるでしょうか?」

「でも人手は多いに越したことないだろ?」

「失礼ながら勇者様達は召喚されたばかりで土地勘がまだないではないですか。」

「うぐっ。」

小倉は言い返せない。

「勇者様達は明日に備えて今夜はお休みください。」


勇者達は無理矢理部屋に戻されてしまった。

小倉は一度は自分のベッドに横になり、慣れない世界で初めて外を見て疲れた体を癒そうと試みた。

しかし結局寝れないまま時間だけが経ってしまう。

部屋を少しうろうろした後、外の空気を吸いたくて部屋の窓を開けた。

「寝れっかよ・・・。」

小倉は窓から城下を見下ろしている。

この中のどこかにいるんだろうか?

無事なんだろうか?

恐い思いはしていないだろうか?

考えれば考えるだけ悪い想像が膨らむ。

「やっぱり無理にでもパーティ組んでおくべきだったな。」

昼間、追いかけて愛華を掴んだ方の手を見つめながらそんな独り言を呟いていた。



【名 前】森 くるみ    【クラス】プリースト

【レベル】1

【 Next 】5


【H P】20       【装備中】

【M P】48        【武器】   なし

【攻撃力】2        【頭】    なし

【防御力】3        【腕】    なし

【魔 力】9        【胴体】   パーカー+デニム

【命中力】7        【脚】    ぺたんこ靴

【瞬発力】3        【アクセサリー1】なし

【 運 】5        【アクセサリー2】なし

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ