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披露宴でチート能力を使ってみよう1

朝が来た。

王城がザワザワしている。

私は今日、朝から晩までずっと仕事づけだ。

一応まだ転生してから1日しか経ってないんですが。ちょっと休み位ぐらいください。

なんて思いつつも、しっかり起きて侍女さんたちを待つことにする。

ズタタタと大きな音が聞こえた、と思ったらどうやら私の部屋の前で止まった。



「ソフィア様、おはようございます。朝の支度にまいりました。今日は三回、朝・昼・晩と着替えをし直す必要がありますので、ドレスなど、部屋の中に移動させます。時間がないのでパパッと支度を終わらせますね」



 そうメリーが言うと、いつもの二倍の速さで進んでいく。


「ねえメリー、私次何やるの?」


「朝食のあと、陛下や殿下が集まる部屋でファースト・ドロップの儀式。そのあと昼食をとり、支度をし直し、民衆の方々へ挨拶。次に夜会の支度、出席をします。今日一日主役なので、お疲れになられると思いますが、応援しています」


「教えてくれてありがとう。とても大変そう…でもがんばります!!」


はい。みんな崩れた。少し抑えたつもりだったが駄目だったか、もう諦めよう。


「さぁソフィア様、ファースト・ドロップの儀式はこのドレスで上にローブを羽織ります。髪は邪魔にならないようにアップにまとめますね」


《姫様、そのローブ魔法がかかってるよ~。鑑定の魔法を使って調べてみな~》


ノアの言うとおりに使ってみることにする。

【鑑定】

・保護魔法

・魔力強化

※私には効果がありません


〈鑑定してみたけど、これ私に効果ないみたいだよ?〉


《姫様は規格外だからね~。まぁ、似合うから身に着けて損はないよ~》


〈へへっ。確かにローブ可愛いよね!魔法使いっぽいし〉


《今日は沢山魔法使える機会があるから試してみるといいよ~。僕も今日、役に立てるように頑張るね~!》


「随分楽しそうですね。良いことでもあったのですか?私たちもソフィア様のファースト・ドロップの儀式を楽しみにしていますよ」


メリーがそう言うと、他の侍女たちも大きくうなずいた。


「えへへ。見守っててね。みんながいるから安心できるよ」


本日二回目、みんなが崩れた。なんだか慣れてきた気がする。

そんなこんなで私は儀式の為に移動した。


「失礼いたします!準備を整えてきました」


私が入室すると、待ち構えていた人たちが私を見て拍手をした。お父様のほうへ歩き、目の前で立ち止まる。


《ソフィ父の隣にいるのが魔法力とか鑑定する人だよ~》


「さぁ、ソフィア、儀式を始めようか。魔法の使い方はわかるね?初めて魔法を使うから焦らずにやるんだぞ」


お父様は実に穏やかだ。お母様たちも微笑んでいる。


「はい!それじゃあ、はじめますね!」


《姫様、これから使う魔法は簡単だけど、より美しい魔宝石を生み出すには、イメージが大事なんだ~。詳しく、より明確に、だよ~?大きさは大きすぎると驚かれるから、手のひらサイズまでにしてね~》


言われたようにイメージを膨らませる。そして前世の知識を頭の中に広げた。




ブルーダイヤモンドはカラーダイヤモンドの中でも彩度が高い。

ダイヤモンドが結晶化する際に不純物などが混ざって色味を持つ。それがカラーダイヤモンドだ。

しかし、ブルーダイヤモンドの場合は不純物だけでなく『ホウ素』も混ざらなければ青く変色することはない。 より多くの『ホウ素』を含むほど深いブルーとなる。

天然ものはかなり希少で、奇跡の宝石と言われる。宝石言葉は永遠と幸せ。

なんとなくイメージができてきた。

前世の知識、すごい役に立つ。さあ、魔法で生み出そう。繊細で美しい青。

幸せが永遠に続くように、最大限の力が宿るように、気持ちを中心に集めるように魔力を操作する。

おっと、大きくなりすぎそう。

その分、力を籠める。固体になってきた。よし、次だ。今度は私のスキルをこの固体にかける。


【スキル・ブルーダイヤモンド・発動】

 ・人との絆を強くする

 ・知力を高くする

 ・精神力が強くなる

の力を宿らせました。


魔法はイメージが必要だが、スキルはステータスのスキル発動の欄を使えばいいので楽だが、二つを同時に使うとなるとなかなか難しい。


青く光った。

成功だ。



もう少し魔力が入りそうなので入れていく。手のひらサイズまでなら大丈夫とノアも言っていたし、大きさを変えなきゃ大丈夫!

奥深く、気持ちをこの固体に染み込ませる。こんなものかな。魔力を切ってみた。


《すごっ。思っていた以上だよ~。宝石に愛されるってこういうことだったんだね~!この魔宝石はこの世でナンバーワンの代物かもね~!さっき、姫様が魔法を使っているとき、神秘的で僕見とれちゃった~》


私の手の中には吸い込まれそうな美しさを持つブルーダイヤモンドがあった。自分で宝石を作り出せるなんて…。ありがとう、神様!

なんて思っていたら、バタッと次々にその場にいる人が腰を抜かし始めだ。中には私に向かって拝んでいる人、泣きじゃくる人、家族は皆涙ぐみながらこちらに熱い視線を送る。お父様が口を開けた。


「ソフィア?これ、初めてだよな?すさまじい魔法を使っていた。やっぱりソフィアも天才だったのだな。さすがわが娘」


そう言って涙を流していた。口調が国王っぽくなくなっているが…

鑑定士も口を開く。


「ソフィア殿下、ファースト・ドロップを鑑定しますので、こちらに乗せてください」


と言い、好奇心旺盛の目で私を見る。

箱に乗せると、宝石本体から光を放つ。

鑑定士は、涙を流しながらぱくぱくと口を開いている。


「こんなに素晴らしい宝石を鑑定したのは二度目でございます。一回目は初代王のお作りになられたファースト・ドロップ。同じぐらい素晴らしい品物でございます。私、感動いたしました。大きさ、質、すべて完璧です」


鑑定士は丁寧な口調で男泣きをしていた。


「さぁ、もっと感動していたいけれど、その宝石を加工し、身に着けなければならない。女の子だから右に着けるピアスを好きな形に加工してつけなさい」


私は頷き、まだ想像する。

今度はジュエリー作りか。これから毎日身に着けるから、シンプルできれいな形がいいな。

この世界はフック式のピアスしか見たことないから、形はそれで決まり。ファースト・ドロップっていう名前だし、雫の形にしようかな。よし、魔法で作ってみよう。イメージしたら一瞬でできた。

よし、耳に穴を開けるぞー。開けちゃうよー。せーので穴を開ける。痛くなかった。よしピアスも着けて、うん。良い感じにできた。


「どうですか?きれいに作れました!」


出来るのはやっ、という声が聞こえたが、気にしない。


「まぁ、とてもきれいなピアスを作れたわね。似合っているわよ」


お母さまに褒めてもらった。お兄様もお姉様も、可愛いと言ってくれた。


「これでファースト・ドロップの儀式を終わりとする。ソフィアに拍手を」


とても大きな拍手とともに私は退場した。


「ソフィア様、お疲れさまでした。私たち全員感動して泣き崩れてしまいましたよ」


いつになく興奮気味のメリーたち。私も泣き崩れる瞬間はちゃんと見ていた。メリーがあんなに目を輝かせて私を見ていたのは久しぶりだ。まぁ、喜んでくれているし私も儀式、楽しかったし、いい日だなぁ。


《姫様、お疲れ~。ピアス似合ってるよ~。本当に魔法の使い方がうまいね~。初めてとは思えないよ~》


〈ありがとう。少し難しかったけど、宝石を作ることができて感動したよ。前世の知識をこうやって使えるのは良いね!〉


「ソフィア様、昼食でございます」


(まだまだ魔法はいろんなことに使えそうだな。今日はどんどん使ってみよっと)


私は次の仕事に向けてしっかり食べた。


支度を終え、次は民衆の方々へ挨拶をするためにバルコニーに行く。お父様たちが先に待っていてくれた。


「うわぁ、いつも可愛いけど、もっと可愛いね。僕、凄い不安になってきた。民衆の中には絶対ソフィアに好意をってしまうやつがいる…。まぁまだ三歳だ。きっとまだ大丈夫」


「リアムったら重いのよ。それじゃソフィアに嫌われるわよ?私は一刻も早くソフィアをお披露目したいわ!うふふふ‥」


「アメリアちゃん?リアム?ソフィアちゃんが困っているわ。確かに披露は楽しみね。でも、もうすぐで始まるのよ。王家として、気を引き締めなさい。」


「「はい」」


お母様はもうすでに王妃モードだ。オーラが違う。


「エミリーもお前たちも私もみんなソフィアを愛している。民衆もそれに応えてくれる。堂々と、だ」


みんな温かいなぁ。私は笑顔を向ける。

その様子を確認したお父様たちはバルコニーへ次々出ていく。

緊張する……

ふと思った。

緊張って魔法で何とかなるかも。


うーん。イメージが難しいなぁ。あ、漢字使えばイメージしやすいじゃん!



【緩和】



これは良い感じ!落ち着きが戻った。

せっかくだからお父様達にもかけよう。



【緩和】



皆表情が和らぐ。この魔法は便利だ。これからもどんどん使っちゃおう!



「皆の衆、本日は集まってくれて感謝する。わが娘、ソフィアを披露しよう」


私はバルコニーへ出る。シンと静まり返った。


「私はソフィア・ルイ・カラットです。皆様、私の為にお越しいただきありがとうございます。これは私からの気持ちです」


そう言い私は宝石を作っているように見せて、空へ投げる。砕けさせた色とりどりの宝石はたちまち虹へと変わる。

それを見た民衆たちは大きな歓声をソフィアにかけるのだった。

ソフィア殿下は女神だ、カラット王国に相応しい王女だ、など聞こえる。

民衆のみんなに認められたと分かってとてもうれしく思った。

思っていたよりあっという間に時間は過ぎていった。


「ソフィア、素晴らしい虹だった。あんなに美しい虹を見たのは生まれて初めてだ。さすが私の娘。鼻が高いよ」


「本当に素晴らしかったわ。もう魔法を使いこなしているなんて。私たちの良いところを受け継いで生まれてきてくれたのかしら?」


お父様とお母さまは見つめ合い微笑んでいる。


「私も驚いたわ!きっとソフィアはこれから人気者ね!妹自慢も思う存分できるから楽しみだわ!」


「絶対このお披露目でソフィアを見た奴が夜会を訪れる。ソフィアは100パーセント注目の的。心配だなぁ。でもそれほどまでにソフィアは可愛い。注目されるのは当たり前か」


リアムお兄様は困りながら苦笑いをしている。


「夜会も楽しみです!まだまだ元気なので頑張ります」


夜会の為それぞれの部屋へ戻った。


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