第4話 息子と遊んだ相手は誰?
夏祭りのことの出来事です。このことは息子もおぼろげに記憶があるらしいです。文章にすると少し怖くなりますが、実際に体験した時はまったく怖さを感じませんでした。
息子が2~3歳の時のことである。小さな鳥居と社が付属している,小さな公園で地域の夏祭り行事が行われた。(第2・3話に出てきた公園とは別の公園)
町内会が主催の行事で、集まる子どもは20人足らず,また,町内会の人がかき氷とたこ焼きを作ってくれて,それをいただきながら,公園から見える昔の土蔵(白い壁)にプロジェクターで〇〇モンのDVDを見せてくれる・・・そんな祭り行事の時の話。あまり詳しく書くと地域の方に迷惑になるのでこれくらいで。
息子と二人で公園に来た私は、息子をベンチ(といっても転がっている丸太)に座らせて,私はたばこを一服しようと少し離れた。周りにも良く見知った子どもがいるし,何より小さい公園のこと,迷うこともあるまい。息子は,〇〇モンの映画を見始めたし大丈夫。そう思ったのだが…。
私が息子から目を離したのは、ほんの3分ぐらいだろうか。息子は、丸太に座っていなかったのである。小さな公園のこと、隣に座っていた顔見知りの子に聞いてみたが、「○○ちゃん、あれ~?」といなくなったことに気づいていなかった。すぐ近くで、かき氷やたこ焼きを作っていた方に聞いても、「えっ?いなくなったの?さっきまでいたけどね?」
町内会の方も一緒に、息子の捜索になった。2~3歳の足。そんなに遠くに行けるわけがない。ひょっとしたらと、側溝まで調べてみたが行方が分からない。
と、30分も探しただろうか、息子はひょっこり、かき氷を作っている机の下から出てきたのである。これには、町内会の人も驚いた。かき氷を作っている机は、目隠しをしているわけでもない。いれば、すぐにわかるはずなのに、8~10人の大人が探しても見つけられなかったのである。
「まあ、見つかってよかった。」「かくれんぼ上手だね。」と笑って言ってくださる町内会の人にお礼を言い、
「どこに行っていたの?」と息子に聞いたところ、
「お友達と一緒に遊んでいた」との答え。
この答には町内会の人も
「???」と思ったらしい。子供は、みんなDVDを見ていたからである。
たこ焼きを作っていたおじさんが、
「どこの?だれと?かくれんぼで??」といくつか質問した。
息子は、私が離れた後すぐに、よく知らない同じぐらいの歳の子に手を引っ張られたらしい。そこで、追っかけっこになった。と話してくれた。
「この辺であそんでいたよ。」と答える息子に、おじさんは、
「その子は、どこに行ったの?」と質問した。
すると、息子は小さな社の方を指さして、「あそこの家」とはっきり答えたのである。驚愕したおじさんが、この社のいわれを教えてくれた。いわく、この町は、戦時中の空襲で街が焼かれたそうだ。犠牲者はそんなに多く出なかったが、それでも亡くなった子供がいたらしい。そうした子供を慰霊するためにつくられた公園と社であったらしい。
「祭りで同じぐらいの子がいることがうれしかったのかもね。」
町内会の人と一緒にそっと社に手を合わせた。
この時、一緒に探してくださった町内会の方には、本当にお世話になりました。考えてみれば、息子はこのころから霊感が強かったのかもしれません。