第3話 屋根の上で踊っている人
この話は、よくある話なのですが、それゆえに余計に本当に恐怖を感じた話になります。苦手な方はとばしてください。
これも,息子が4歳の時の話である。近くの公園(カブちゃんの話(第2話)の公園)で,6月灯という祭りが行われた。祭りが終わり,家に帰ろうと,息子と二人で歩いていた。
すると突然,息子が上を見ながら
「あの人変なの~っ。くねくね踊ってる~」と,笑った。
「どこで???」
息子は,ある家の屋根を指さしながら,
「あそこで踊ってるじゃん。・・・あっ」
息子は,すぐに私の後ろに隠れた。
「なんか怖い。にらまれた。笑ったからかな?」
そっと私の後ろから顔を出した息子は,
「いなくなっちゃったね。」と一言。それっきり,何も言わなくなった。
私は,その姿を見てはいない。お祭りの後のハイテンションが見せた幻影だろう。子どもにはよくあること,と深くは考えなかった。
・・・が,二日後,息子が指さしたお宅では,通夜が行われた。その家のおじいさんが自宅で突然お亡くなりになったのだ。心筋梗塞だとか。
うん,やばい。息子は『にらまれた』と言っていた。直感で不安になった私は,すぐに,県内でも有名な神社に行って息子へお祓いをしてもらった。結構な金額取られて痛かったが・・・。
後日、ネットで調べたところ,ショウケラという妖怪は,人の死期が近づくとその家の屋根で踊るという。
私の息子はそんな話をどこかで聞いて,私を驚かそうとしたのだろうか?
それにしては,演技が上手すぎであったし,偶然にしても,お亡くなりになったご近所のおじいさんの家を指さすことできるものだろうか?二日前に???
その話を高校生になった息子にしても,息子は「そんなことあったの?」と覚えていないのだが,お祓いに行ったことだけはおぼろげに覚えていた。その当時は痛いと感じた金額だったが,払って良かったと思っている。
・・・最後は落ちふうにしてみましたが,実話です。
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