第4話 ~待ってましたよ~
第4話登場人物名前
小泉彼方:こいずみ かなた
小泉紗夜:こいずみ さや
安野渡:やすの わたる
日代明日葉:ひしろ あすは
星野檸檬:ほしの れもん
今は8時15分。教室にはほとんどの生徒が集まってきている。
俺は、教室に入り席に座っている明日葉の方へ行き挨拶をした。
「よっ、おはよう明日葉」
「おはようございます、彼方君」
今日も1人でいる明日葉を見て俺は聞いてみた。
「明日葉、お前、友達出来たか?」
「……出来ないんです。何故でしょうか?」
そう、明日葉は俺達以外クラスの人と喋っているところを見た事がない。男子からは可愛すぎて喋りずらく、女子からは最初のメイクは今の自分と昔の自分のギャップを見せることで男子からの気を惹いていると、嫌われている。
「友達がいないのは寂しいか?」
何でこんな事を聞いているのだろう? これを答える側は良くない気持ちになるのは分かるはずだ。なのに聞くのは檸檬の事を思っているからだろう。檸檬はあんな感じだ、だから友達は少ない方だと思っている。
友達が少ない気持ちはどんな感じなのだろうか? 俺は友達は多い方だと思う、友達といっても今はちょっと言葉を交わすぐらいの人しかいないが、これからどうとでもなる。
だが、檸檬は友達を作る道を外れている。今学校に来てもあの容姿だし、本当の友達は作れるのか? 友達を作りたいと思っているか? 俺はそれを知りたい。それを知るために明日葉に酷い言葉を言っている。
「辛いですね。でも、このままではこれに慣れちゃうんじゃないかと思う私もいます。でも、慣れたら駄目だと思います。そんな気持ちでいるんですけど、作れないんですよね彼方君達しか友達が……」
「酷い質問をしたな。気分を悪くしたら申し訳ない!」
「いいんですよ。彼方君が、何か悩んでいるみたいですし。好きな人から悩みを相談される事は嬉しいことですから」
そう下を向きながら言う明日葉。明日葉の好きは友達としての好きなのか、本当の好きなのか……多分、本当の好きなのだろう。
そんなアプローチが最近増えてきた。だけど、俺の気持ちは変わらない。美少女は絶対に無理なんだ。
ーー放課後ーー
「兄貴~帰ろうぜ~」
紗夜がそう言い教室の中に入ってきた。
「悪い、今日も檸檬のところへ行ってくるよ。明日葉達と一緒に帰っててくれ」
「檸檬ちゃんの家へ行くのか? じゃあ、私も行くぞ? また、おっ……変な事がないように私も行くよ」
「悪いな紗夜、今回ばかりは紗夜は来なくてもいい。
俺は檸檬を学校へ来させるという事を目標として今日から頑張っていくから、紗夜は後で活躍してもらう事になっている。時が満ちるまで待ってくれ、それじゃあ、じゃあな」
「おい、何だよその目標! って行っちまった」
俺は紗夜に何かを言われる前に教室を後にした。
「まぁ紗夜さん、彼方も檸檬さんの事を気になっているんだろうな。彼方ってお節介だからさ」
そんな中、渡が紗夜の元に近づき喋った。
「まぁ……兄貴のお節介は良い事に転ぶことももあるし、悪い事に転ぶこと……っていうのは見たことないな……」
「今回も良いことに転びそうだな。でもさ、紗夜さん彼方と一緒に居てさ何か気づいたことない?」
「気づいた事? 些細な事でもいいのか?」
「うん、何でもいいよ」
紗夜は唐突な質問にも真剣に悩み、答えを出した。
「何も……ないな」
まだ、兄貴と暮らし始めて半年以上。性格や嫌いな食べ物、を最初のうちで知っているが、最近は気づいた事などない。
「俺はあるよ。あいつ檸檬さんに惚れてるんじゃないか?」
「はぁ!? そんな事はないだろ? だって兄貴って圧倒的B専だろ?」
渡の言葉に驚きが隠せない、紗夜。
「嘘嘘、ごめんちょっと冗談を言ってみたかったんだよ」
「冗談か……びっくりしたよ」
紗夜は分からなかった、渡という人物を。紗夜の怖いほど鋭い感でも渡という人物が良く分からない。
全てを知ってるような、そして、全てを見透かしてるような、不気味で優しい友達だと紗夜は認識していた。
ーー星野宅ーー
「こんにちは~、昨日伺った小泉彼方です」
「小泉君? 今日も来てくれたの!? 入って入って」
快く迎えてくれた檸檬のお母さん。俺はリビングに入り、昨日と一緒の所に座った。
「昨日のクッキー美味しかったです」
「あら、本当に? 嬉しいわ~、ちょっと待ってて今日はシフォンケーキを焼いたの」
「いやいや、そんなのまた頂けないですよ」
「遠慮しないで! ちょっとまってて今、出すから」
星野のお母さんがキッチンに行きシフォンケーキ出そうとしている。
「あの~檸檬のお母さん。それ、後で貰えることって出来ますか? 出来れば檸檬の部屋で檸檬と一緒に食べたいので」
星野のお母さんは驚いた顔で喋った。
「分かったわ。じゃあ、部屋に持っていくわね」
「はい、それでお願いします。じゃあ、俺は檸檬の部屋に行ってきますね」
俺はそう言い、リビングを出た。そして、階段を上り檸檬の部屋の目の前に立った。
そして、俺は檸檬の部屋の扉をノックした。
昨日みたいに、服を着てなかったら大変だ。
俺はノックをして声をかけた。
「檸檬? 入ってもいいか? ちゃんと服は着てるか?」
返答は帰ってこず、俺はもう1回ノックをしてみた。だが、それでも反応はかえってこなく、3回目のノックも反応はなかった。そして、4回目のノックをしても反応がなかった。
俺は一呼吸置いていっぱいノックした。指が痛くなるぐらい。そうすると……
「……うるさい! 入っていい!」
「じゃあ、入るぞ」
「……貴方、私が嫌いなのにまた来た?」
俺が入っていくと檸檬はテレビに顔を向けながらも嫌そうな顔をして喋った。
だが、俺はそんな檸檬を無視し、窓に近づいた。そして俺はカーテンを開け、窓を開けた。そこから、気持ちいい空気が入ってきた。
「ちょっと何してるの!? 部屋に入ってきて何をするかと思ったら、勝手に窓を開けて……何がしたい?」
今度はテレビから目を離し俺の方を向く、檸檬。
「お前、こんなに淀んだ空気の中でゲームやってるとか正気じゃないだろ!? だから、窓を開けた! 空気を入れ替えるんだよ! 窓を閉めようとするなよ、絶対にさせないからな!」
俺は窓の前で大の字になって閉めさせない意志をだした。
「もう……勝手にして。だけど、ゲームの邪魔だけはしないで」
檸檬は昨日と同じく道端ファイター20をやっている。今日はちゃんと服を着ていて安心した。服装は赤色のジャージを着ていた。そして、俺は檸檬の隣に座った。
そして、テレビ画面からWINNERという声が聞こえた時、俺は喋った。
「俺にもやらせてくれないか? 良いだろ?」
そう言いながら俺は檸檬の隣に座った。
「……正直に言う、迷惑。私は1人でやる方が楽しいから」
その言葉は予想通りだ。
「俺、このゲーム得意なんだよね。檸檬と戦ったら俺、絶対に勝てるぞ」
軽い挑発。檸檬からは、本当に迷惑な誘いだろう。だがな、1人でやる人生ゲームより皆でやる人生ゲームの方が楽しい、そういう理論でテレビゲームも1人でやるより、皆でやる方が楽しいことを、檸檬に気づかせたい。
だから、俺は無理矢理でも一緒にやる。
「……嘘をつかないで、貴方はこのゲームの存在すら知らなかった。なのに私に勝てるの?」
「やってみなきゃ分からないだろ?」
「……分かった。じゃあ、負けたら帰って」
「いいだろう。なら、勝負だ!」
そして、俺は檸檬にリモコンを貰い、檸檬と勝負した。
「うおっ何だよこれ! 難っ、あっちょっとそんなに攻撃しないで、あれ? 何で攻撃出来ないあれ? あれ!? あれぇぇぇぇ!?」
俺は瞬殺されてしまった。
「はい、終わり……。さぁ帰って」
「いやいや! 絶対に帰らないね! 勝負といっても三本勝負だから! そもそもこのゲーム俺苦手なんだよ。俺が得意なのは協力プレイのやつ! スーパーメオリとかないのか?」
「……いやさっき得意って言ってたでしょ。しかも、協力プレイじゃ勝負出来ないし……」
「1面クリアーする時にどっちが残機あるか勝負だ!」
「分かった。あと2回、負けたら絶対に帰って」
「分かった! でもな、本当に俺、メオリは得意だから!」
「私もメオリ愛だけは凄いから負けない」
よしよし、メオリが好きということは知らんかったが、いい感じに事が進んだな。だが、こうでもしないと檸檬は1人の世界に行ってしまう。それを、させないためにガツガツ行くぞ俺は。
その後、俺は檸檬とメオリをやったが……
「いや……お前、ゲーム全般上手くね?」
「貴方が下手なだけ」
「いやっ、俺はメオリ上手いはずなんだ! いや違う、原因が分かったぞ!? 檸檬が俺のペースに合わせないから、スクリーンがどんどん進んで俺が死んでいくんだが!?」
「ふふふっ。言い訳はよくないよ」
それからは俺は言い訳をいっぱい言い、日が沈むまで檸檬とゲームをした。
ーー次の日ーー
「檸檬、入っていいか?」
「……いい」
「よっ、また、来たぞ檸檬」
俺はいつもと変わらない檸檬の隣に座った。
今日はテレビ画面から目を離し、俺の方を見て喋る檸檬。
「あんなに足でまといにだったのにまだ、私とゲームをするというその根性だけは、認みる。だけど、本当に来るのは迷惑、やめてほしい」
「おいおい、辛辣だな。だかな、俺が圧倒的B専だと中学校時代にバレた時、男子から笑いものにされまくったが、それに耐え抜いてB専を守っている俺の根性舐めるなよ? それと! 俺が本当に得意なのはメオリーカートだ! 今日は絶対に負けない!」
その言葉に、ちょっと表情が険しくなった檸檬。
「……私と正反対だ」
誰にも聞こえない、声で言った檸檬。
「ほら、今日はメオリーカートやろうぜ!」
その声に気づかず、ゲームをやる彼方。だが、そのお陰で檸檬は気持ちが楽になったのは彼方は知る由もない。
ーー次の日ーー
「よっ檸檬、また来たぞ!」
「また、来たんですか……もう、帰らせるのは骨が折れた」
「そう言われると嬉しいな」
俺は檸檬と話しながらいつもの定位置座った。
「メオリは飽きたので一緒にFPSやりますか」
「FPSっていうのはなんだ?」
「FPSっていうのは……」
ーー次の日ーー
俺が檸檬の部屋のドアを開けると……
「……待ってましたよ、早くゲームやりましょう」
待ってましたか……
「分かった。今日こそは活躍してやるからな」
俺は次の日もその次の日も、何回も檸檬の家に行った。檸檬の家来るのは今日で10日目。俺は今日も檸檬の家に来た。
「よっ、檸檬。また来たぞ」
「待っていましたよ。今日はアンダーメオリをやりましょう」
「そうだな」
この10日間で檸檬との仲は良くなった。最初の印象は最悪だったが、接しってみると全然印象は良かった。ただただ、良い奴だ。
「なぁ、檸檬」
「……何ですか?」
「休憩がてら外に出てみないか? 俺が来てから部屋の空気の入れ替えして分かっただろ? 外が気持ちいい事を。後、恥ずかしい事を言うが、俺久しぶりにブランコ乗りたいんだ」
笑いながら言う俺に檸檬は……
「…………良いですよ。たまには外に出る事も大事ですし、じゃあ近所の公園に行きますか」
俺と檸檬はゲームを止め玄関に行くと、檸檬のお母さんが出てきた。
「あれ? 檸檬と一緒にどこに行くの?」
「ちょっと、そこの公園に。それじゃあ、行ってきますね」
無言で家を出ようとした檸檬に俺は言った。
「お前、どっか行くなら行ってきますって言うのは常識だろ?」
俺はこの10日間来て分かったことがある。檸檬と檸檬のお母さんには壁がある。俺達がゲームをしていると、必ずお菓子を持ってくる檸檬のお母さん。
俺はお礼を言うが、檸檬は何も言わない。それは、長らく話していないからだと俺は思っている。だから檸檬もなんて言っていいか分からない、そんな感じがした。だから俺はちょっと背中を押してみた。
「……い、行ってきます」
恥ずかしそうに下を向きながら言う檸檬。
「……行ってらっしゃい。気をつけてね」
優しく言う檸檬のお母さん。その言葉を噛み締めて言った、そんな気がした。
そして、俺達は家を出た。
「久しぶりの外はどんな感じだ?」
「……久しぶりに外が気持ちいいと感じた」
毎回檸檬の家に来ている時に空気の入れ替えを毎日しといて良かった。効果的面だ。
しかし、ゲームをやっていないからなのか、話の話題が出てこない。俺と檸檬は無言のまま、檸檬の後をついていき公園についた。
公園には人はいなかった。
「……公園なんて久しぶりきた。ブランコ乗りたい」
「だろ? ブランコ乗りたいって思うだろ?」
そう笑いながら言う俺。俺と檸檬はブランコに乗った。また、静寂が訪れた。俺は何を話そうと考えていると、檸檬が口を開いた。
「覚えてる? あの、私の行動」
「おっぱい触らせた時か? いや、覚えてるも何も覚えるよあんなの」
「……あれは本当に申し訳ないと思っている。あの時の私は怖かったんだと思う。同年代の人が嫌いだから、貴方が嫌うような行動をした」
「そうだな。俺がお前を嫌いになるための行動をとったとしたら正解の行動だ」
また、静寂が訪れた。今度は俺から話しかける番だ。
「……あのさ、明日、同じクラスの日代明日葉っていう奴を連れてきてもいいか?」
俺は賭けに出た。同年代が嫌いな檸檬は学校で何らかの傷を負ったのだろう。それを知った、今こんな事を言うのは間違っているだろう。だけど、今なら良いと言ってくれるそんな気がした。
「その人は……彼方の親しい友達なの?」
「まぁ、そうだな。仲は結構いいぞ。お前と同じ、S級美少女だしな」
「それは知っている。容姿は上の上、学力は上の下」
俺の周りの奴らって勉強出来すぎじゃね? 俺は心の中でそう思った。俺は全部中の中なのに。そして、俺は気になった、檸檬はどうなのか?
「檸檬はその採点でどれくらいなんだ?」
「……容姿は上の上、学力も上の上」
「どっちも上の上って……それは……嘘だろ?」
「本当。高校1年のレベルなら全て100点を取れる」
「ただの才色兼備だったの!?」
檸檬は冗談を言わないのは知っている。だが、俺の周りの容姿レベルが高いな。渡もイケメンだし……俺はブスの方がいいのに……。
ちゃんと投稿出来て嬉しい犬三郎で~す。
恋愛小説なのに恋愛のところが全然ない事に気づきました。ですが、次回のお話はまぁ、えっ!? ってなると思います。ですが、作るのが凄い難しい! 来週のこの日投稿出来なかったらあ……無理だったんだと思ってください。
by 明日葉をもうちょっとガッツリ出したい犬三郎