プロローグ ~美少女はお断り~
「好きです! 付き合ってください!」
ここは放課後の教室。俺、小泉彼方は彼女、日代明日葉に放課後ここに来てくれと、書いた手紙を密かに明日葉の机の中に入れておいた。それを読んだ彼女は放課後ちゃんと来てくれた。彼女が俺の前に来た瞬間俺は、彼女に告白した。
彼女は顔を赤らめてこう言った。
「本当に……私でいいの? こんなにブスな私だけど本当にいいの?」
「いいとも! 俺はお前のブスのところが好きなんだ!」
そう、彼女は本当のブスだ。照れくさそうに言う彼女もブスだ。ブスすぎる。
頬はそばかすが目立ち、髪の毛は黒色で長髪。髪の先がくるくるとしている。そして、目の下にはクマが目立っており唇もカサカサ。誰が見ても満場一致で、ブスだ。
今日は入学式。そしてクラスに居た彼女。
俺は彼女に一目惚れしてしまった。
男子は怪物がいるぞと言っていたが、本当にその通りだ。
だが、俺はそんな彼女だからこそ好きになった。
「本当に……本当に? 罰ゲームとかじゃない? 罰ゲームじゃなかったら……私とキスできる?」
彼女は俺に近づいてきて、手を握ってきた。
そのせいで彼女が持っていた鞄が落ちた。
俺と、彼女の距離は人一人分しかない。近くから見る彼女もブスだ。そんな彼女だからこそ俺は迷わない。
「ッッッーーーー!!」
俺は明日葉にキスをした。
だが、1つ予想外の事が起こった。明日葉の唇が予想以上にプルプルしていて柔らかかったため、俺も恥ずかしくなった。
そして、俺はその恥ずかしさも消すべく天井に向けて叫んだ。
「罰ゲームじゃない。俺は本当に君が……日代明日葉が好きなんだーーー!」
俺は大きな声でそう言った。グランドにも聞こえるほどだろう。だが、こうでもしないと彼女には信じてもらえない。
「うん……感じる。貴方の愛の大きさが……!」
明日葉は泣き出した。泣いているところもブスだ。全てがブスすぎる! 完璧だ!
俺の理想の彼女は明日葉しかいない!
「貴方の告白……受けます。私と付き合ってもらいます!」
「本当か!? 本当なのか!? よっしゃーーー!」
俺が飛び跳ねながらガッツポーズをした。
「でも、付き合う前に言いたいことがあるの……」
明日葉は下を向きながらモジモジしだした。ブスすぎる!
「何でも言え! 俺はどんな事を言われようとお前への愛は揺るがない!」
俺がそう言うと明日葉は突然地面に落ちた鞄の中を漁り、化粧箱を取り出した。そして、中から化粧を落とすやつを明日葉は手に取り、顔を思いっきり拭いた。
その光景を見た俺は化粧をしているのに、彼女のブスさに感動を覚え、心の中でガッツポーズした。
「……ん?」
さっきまで喜んでいた俺の心と一変して俺は戸惑いを抑えきれなかった。明日葉の顔から化粧が取れていき、本当の肌が出てきた。
ここからでも分かるほどの肌の潤い。そばかすは消えクマも消えていた。
荒れていた唇も、全てが消えていった。
「これが本当の私の顔なの!やっぱり本当の顔を見せないと彼女にはなれないかなって」
明日葉は後に手を組み恥ずかしそうな顔で言った。
「うそ……だろ?」
俺は驚き過ぎて、後に1歩、2歩と下がってしまった。
「やっぱり、そういう反応するよね。私は思わないけど私の顔って可愛いから……だから本当の顔を隠すために化粧をしてたの」
明日葉はS級ブスから、S級美少女に成り代わった。俺はその衝撃にびっくりした。
そして、俺は迷わずこう言った。
「うん。やっぱりお前とは付き合えないわ。
俺ブスしか愛せないんだよね。だから、今日のこと忘れて」
明日葉は驚きが隠せきれず、口を開けている。
「うん、じゃまた明日からよろしくな!
じゃあ、また明日!」
俺はそう言い教室を出た。
「ええええーーー!? 何でぇぇぇぇーーー!?」
教室から鳴り響く叫び声。
「はぁー。やっと運命の人に巡り会えたと思ったのになー」
未だ聞こえる叫び声を後に俺は帰路についた。
恋愛小説を初めて書きました。これこら頑張ります!