日出る処の国
年が明け帝国は国家総力戦で疲弊した状況に国民が不満をためていると言う噂が聞こえ戦争も終わりが近いのではと言う、
「国王からの呼び出しだ王都へ向かうぞ」
電話を切るとポルコが皆に伝える。
「カーチスはおれとルノアそしてじいさんで、ロイとマリーアはM5で向かうぞ」
そう言うとマリーアは嬉しそうに、
「私が操縦する。ロイ良いよね」
相談ではなく決定を言われ頷くしかなく準備をして2機で南西へと向かう、マリーアは嬉しそうに飛ばし遅いカーチスの回りをまわったり汽車を見つけて近寄ったり好き放題している。
ポルコが手話で伝えてくる。
「ポルコから、お嬢ちゃんおとなしくしねえと王宮でおさらばだ、だそうです」
「ポルコのけち、言って、マリーアは空に羽ばたく鳥だからかごの中には戻りません」
そう伝えると私にポルコが、
「こう言うときに彼女の手綱を締めるのが彼氏の役目だ」
「彼女じゃないし」と思いながらマリーアに、
「退屈なら先にいこう」
「そうだねポルコなんておいてっちゃおうよ」
そう言うとスロットルを開けて加速する。
ポルコに伝えると勝手にしろと、後ろのじいさんが、
「沖の島に酒場と良いホテルがあるぞ」
そう送ってきて笑っていた。
目の前の山脈を見ながら峠を目指して渓谷を進む、進む間も羊の群れや山間の村を見つけては上空を旋回しながら手をふりながら王都の隣接する港へ着水した。
「マリーア王女様お帰りなさいませ」
次々に声をかけられどうやら正社員の飛行艇基地であり陽気に出迎えてくれる。
「この飛行艇M5だけどエンジンも機体も全然違うな、少年見て良いかな」
「はい、さわらなければ良いですよ」
「大尉さん、誰も近づけないようによろしくね」
口髭の大尉がマリーアに敬礼して車で送りましょうと王宮へと向かった。
「街中も何か活気がないね大尉さん」
確かに戦争に参加をして月日がたつごとに食糧が配給に代わり女達だけになり男は老人と子供そして傷病兵があふれていた。
「今までの戦いと違います。限定的に場所をではなく国境線全部での戦い総力戦と言うらしいのです」
「どのくらいの被害が出ているのか」
マリーアは王女の顔になり大尉に聞く、
「捕虜がすでに20万を越えており死傷者も何万と」
大尉は厳しい顔をしてさらに、
「王女様のおられる都市から3日のところまで敵が迫っており我らも再編のため後方へ下がったところです」
「すまぬ私は自分がしたいことをしていた。皆が苦しんでいるのに」
マリーアは凛とした顔で窓から見える人々を見つめる。
「いえマリーア王女様が飛行艇に興味を持っていただいたので予算も国王陛下からいただけたのです」
大尉がさらに、
「女王陛下と共に慰問をされたりも、兵にとっても安心を与えてくれます。このままでどうぞお願いします」
そう言うと頷きながらマリーアはそのまま何も言わずに王宮へと入った。
「御父様にお会いできますか」
侍従長にマリーアが言うと少ししてから通される。
二度目の拝謁になるが末娘が一緒なので国王は嬉しそうに出迎える。
「マリーアよ、お帰り」
「御父様、お久しぶりにございます」
胸元に飛び付き父親の顔で抱きしめる。
「御母様は慰問に出ていると聞きました」
「良くやってくれている。一刻も早く終結させねばならない」
そう言いながら私に気がついて、
「確かポルコの部下のロイと言ったかな、飛行船の迎撃見事であった。新しい飛行艇はどうだったかな」
そういった瞬間マリーアが嬉しそうに自分の飛行技術を話し私はあいずちをうつ、
「そうか、それでは今度の任務のときお忍びで見に行かねばならんな」
そう言うと約束よ約束よとマリーアは喜び久しぶりの親子の再会は終わった。
「ポルコ達遅いね、早く来ないかな」
マリーアは上機嫌で自分のベッドに座り足をブラブラさせる。
「マリーアが目一杯飛ばすから倍の速度だよ」
呆れながら言うとクラクションの音がしたので窓に駆け寄るとポルコを乗せた車が到着した。
「あの南の島の港に重要人物をのせて飛べと」
「我が国の海軍大臣と東のはてにある日出る処の国の大使を乗せていきそこを本拠地にしているその東の艦隊に合流し御二人を、任務完了後また乗せてここへ無事に帰還してくれ」
国王の重臣から説明を受けポルコは頷きながら、
「なぜ我々の艇なのですか、国王陛下の元にも大型飛行艇はおありでしょう」
重臣は少しだけ微笑み、
「カーチスの大型飛行艇はかなりのものと、安全に送り届けるのに間違いがあってはならない」
最深部へ向かい無事に帰ってきたと言うのを評価していると言い報酬も弾むと伝えた。
「まあ金を弾んでもらえるならですが、敵は」
「接触させてくない隣国が飛行艇と共に補給艦を派遣していると、12機と聞いているので空軍を護衛に出す8機、これが今の我が国の精一杯だ」
そう言って話は決まり車で港へと向かった。
「何でよ、今までも出撃してたじゃないポルコおねがい」
「そうしたいんだが、何かきな臭いこの話し何かあったら親父さんに申し訳がたたない」
「申し訳って、私が王女様だからってこと」
マリーアが私越しに怒りポルコが頷く、
「なら、こうすれば良いのよ」
何をするのかと思った瞬間、私の顔を両手ではさみこんだ、
「なっなっななななな」
ポルコが何か言っているがそんなのも上の空になる。
その柔らかさと良い匂いと目の前に目を閉じたマリーアがいて頭のなかが真っ白になりまばたきを何度もしながら長いその時間を実際には短かったのだが気がつくと離れて目を明けると、
「汝、我が夫として終生愛すことを誓うか」
「誓います」
思わず言ってしまった。
ポルコは口を明けたまま凍りつきマリーアは嬉しそうに頷きながら私に抱きついた。
「おい、侍従のおっさんよ冗談だよな」
ポルコは正気を戻し運転台の男に聞くとこちらを振り返らずに、
「合法にございます。マリーア王女様おめでとうございます」
「ありがとうパルマ、これで王室から外れるけど御父様と御母様をよろしくね」
そう言うと侍従は頭を下げた。
「ロイ」
ポルコの一言に今更ながらに何をしたんだと思いながら嬉しそうにしているマリーアをみる。
「今回のを新婚旅行ってことで良いわよね、ねポルコ」
何も言い返せずに外を見て沈黙をして返事をした。




