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飛行船

「と言うのがタブロイドシュナイダーだ」

中古の大陸のさらに海の向こうの国の飛行機であり大陸の通商国に提供されその中古を伝で買ったと言うことで私はコックピットに座りポルコは後ろに臨時の席を取り付けて教えてくれる。

この飛行艇はエンジンが1機で一人乗り、カーチスの様に羽に別についているのではなく、羽をよじらせると言う事で動きを確認してスロットルをあけた。


「まだだ、速度が出る分揚力が発生しにくい、助走をしっかりとれ」

シュナイダーカップでも速度を出すには離陸の距離が必要なので水上機である飛行艇が良いと言うのはカーチスの技術者にきいており今回の整備も手伝ってくれる。

ゆっくりと操縦管を手前に引き機体が持ち上がり興奮する。

「操作を忘れるな」

スロットルもだが他のレバーを引いて安定させると指示通り飛ばしながらカーチスの大型飛行艇では得られない軽快さに更に興奮が収まらず飛ばし続けた。

その間にカーチスはエンジンをおろされ機体の状況を技術者が確認をしており、私は機体の調子が許す限り飛んで過ごした。


「ロイ、エンジン2機目か中古とはいえ楽しいか」

じいさんが笑いながら言うので、

「自分が行きたいとこに何処でも行けるのが、戦争が終わったら楽しみです」

そう言うと頷きながらマリーアに、

「お前さんはどうする嬢ちゃん」

「私も操縦をならいたいです」

女達は喜びポルコはじいさんの椅子を蹴っ飛ばすと、

「そう言うならなにも言わんロイ面倒を見てやれ、いいな」

そう言うとマリーアは大喜びで抱きついて私を赤くさせ皆から囃し立てられた。

翌日、同じエンジンでなく馬力がある自国のエンジンを取り付けたタブロイドシュナイダーを飛ばす。

パワーが上がったことにより上昇等は楽になったが旋回性が高速域で悪くなりカーチスの技術者からはこの飛行機の限界と言われてしまった。


「優しくだよ、視線は遠くに水平線を見る感じで」

マリーアに任せて飛び回る。私よりも大胆で切れのある操作だが細かい操作が出来ずに大きく膨らんだり失速しそうになったりとしていてルノアが注意している。

カーチスの整備も終わりまた前線へ向かおうとしているとき工場の電話がなった。

「ポルコだ」

なにか難しい話をしているのか険しい顔でおり受話器を置くと、

「出撃は中止だ、帝国の飛行船が侵入して大騒ぎらしい、ロイ出るぞ」

タブロイドに機関銃を2丁取り付ける。

ポルコがコックピットに入り私が飛行艇のつばさの上に設置された機関銃を操る。

「しっかり掴まっておけよ」

そう言うなりスロットルを開けて加速していく、

「相手はかなりでかい、距離を間違って攻撃をするなよ」

飛行船なんて始めて見る代物に想像しながら飛ぶ、北へと向かいそこから東へと飛ぶと空に大きな雲が飛んでおりそれが飛行船と言うものだった。


「銃火」

私が叫ぶとポルコは翼をよじらせ避けながら上方へと昇る。

「飛行船は上に攻撃は出来ないからな、だから高いところを飛んでいくが」

そう言いながらさらに上へと昇りエンジンが息を切らし始めた。

「この高さだと息が苦しくなるだろう。気を付けろよ」

そう言われ周囲を確認すると遠くには連なる山々が白く染まりその上をじいさんの葉巻のようなのが見えた。

「ポルコあれ、葉巻」

「山を越えてきたな、ゆっくり高度が落ちてるからいくぞ」

少しずつ高度をあげ向こうが下がってきたのを確認してポルコが、

「チビるんじゃねえぞ」

そういうやいなやおもいっきり降下し始め革紐で飛行艇に止めている体が浮き始め悲鳴と共にしがみつく、

「悲鳴をあげるのはいいが小僧、もう目の前だぜかまえな」

小さかった飛行船が目の前に広がっており慌てて両手で固定された機関銃を構えると引き金を引いた。


巨体に綺麗に吸い込まれていく、吸い込まれていっているのだけれども大きすぎて実感がなくポルコが旋回しながら飛行船沿いに飛んでいると後ろで何かが光った。

爆発音と光と衝撃が背後から次々と起こり、

「こりゃやべえぞ、捕まっておけ」

そう言うと飛行船から離脱をはかる。

しかし飛行船の表面が膨れ上がり離れた瞬間に爆発した。

「あっちい、ちくしょう連中何を積んでいやがる。息を止めろ焼けるぞ」

指示を受け口をマフラーでふさぐと周囲が火に一瞬おおわれた。


「ポルコ、火」

布製の翼に火がつき手の届くところは叩いて消すが、端は届かずポルコは確認すると飛行機を急降下させた。

「きえろきえろきえろ」

呪文のようにポルコが呟き私も見ながら呟く、速度で火は消えているがまだ赤くくすぶっており水平に戻すと火が復活してしまった。

「このまま工場まで飛ぶぞ」

布がじわじわと燃え骨組みが見えてくる。失速しそうなのを無理やりポルコが押さえつけ最後は海面を飛び石のように跳ね振り落とされそうになるのをしがみついて工場の斜面に乗り上げ止まった。


「ばあさん水だバケツ持ってこい」

大きな音に気がついたローレンじいさんが飛び出して慌てて中へ叫ぶとロープを持って飛行艇を固定した。

ポルコもコックピットから飛び出しバケツを受けとると海水を汲んで羽にかける。

自分は革紐が弛まずナイフを取り出してようやく自由になる。

「機関銃を外して渡せ」

じいさんが言うのでスパナを受けとると取り外して渡す、水をかけているが布がじわじわ燃えておりしばらくしてようやく消すことができた。


「骨組みだけか、直すよりも破棄した方がいいな」

翼も胴体近くまで燃えており後ろも焼失している。エンジンはのこったので移植出来ると言うことでポルコが、

「なんか見つけてくる。楽しみにしておけ」

そう言うと鏡をのぞいてチリチリの毛と真っ黒な顔を見て笑いながら風呂へと行ってしまった。

「飛行船は水素ってガスが入ってて火をつければ爆発するらしいぞ」

ルノアが言うのを今更と脱力感を覚えながら、

「そう言うことは早めに」

「あれ、ポルコに伝えてたような、気がするんだがな、まあ無事に帰れてよかったな」

そう言うと肩を叩いて行ってしまい私はすすだらけの体を洗いに行った。

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