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マリーア王女

翌日渓谷を抜けて国へと入り我が家へと進路をとるはずだが、

「あんた達は私達と王宮へと向かうからよろしくね」

そう言うと当たり前のように私に席に座ってポルコにさっさと出しなさいと手をふり仕方なしにルノアが水上を滑走させた。

未だ山の上に雪を残している山を見上げながら国を挟んで反対の内海へとでる。

「こちらの方が気のせいなのか緑がかった海の色だな」

そう言うとローレンが、

「二人の女神に愛されていてそれぞれの髪の色が溶けたって言う昔からの言い伝えがあるぞ」

身を乗り出すと航路なのか船が行き交っており横断すると王都へと入るため着水した。


「どうだ、まあ地元の方が美しいけどな、ここはここでってやつだ」

ローレンは懐かしそうに見つめておりルノアが、

「年を重ねると美化したくもなるし色々若き頃と言うわけさ」

何時もならローレンが噛みつくかなのだけれども甘い想い出にひたっている様だった。

御迎えの内灯艇が横付けされポルコとフェルトと共に少佐に呼ばれて乗船する。

「すごい内装、王室のはすごいなロイ」

フェルトは興奮しながら座り心地の良いシートを確かめ子供にように足を揺らしておりポルコはなにか言いたげだがなにも言わずに岸へと到着した。


「こちらにございます」

自動車で移動して古代帝国の首都であったいまの王都は連合側として参戦した事に沸き返っておりフェルトは嬉しそうに頷きながらそれをみている。

王宮に入り待たされようやく謁見の準備ができたと呼び出された。

「その方達か、たしかポルコの空族一家とか」

初めて会う国王は小柄で気難しそうだが嬉しそうに話しかけてくる。

「本来は同盟として参戦すべきだが未回収の我が領土を取り返すので参戦しその一貫として陸軍と空軍を派遣した」

経緯を言われている様なのだが同盟とか意味がわからずフェルトと共に聞き続ける。

「お主達のことは軍から報告を受けている。敵司令部を混乱に陥れ前線突破の糸口をつけたと、それと個人的な事なのだが」

国王が咳払いすると次女につれられたはではでなドレスに身をまとった少女が国王の横に来て、

「我が末娘マリーアだ」

「皆様には海賊に襲われたところ助けていただき感謝の言葉もありません」

ポルコは何も言わずに見つめており、フェルトと顔を見合わせ首をかしげる。

「あなた方が前回の空爆の後、木造船を爆弾で轟沈させたでしょ、あれマリーア王女の乗船していた船を襲っていた海賊だったってこと」

少佐が小さい声で教えてくれようやく合点がいく、

「勲章でもと思ったが少佐から金貨が良いと言われてな受け取ってくれ」

そう言うと革の袋を重そうに持ちながら前におかれ、

「それと、良ければ王立空軍の一翼をになわんか、それなりの待遇で迎えるぞ」

国王が言うのをフェルトは嬉しそうにしていたがポルコは、

「俺達は海と空を自由に飛びたいので」

そう言うと少しだけ残念に思った顔で国王は頷き謁見は終了した。


「オヤジなんで正社員になれるのに何でだよ」

帰りの自動車の中でフェルトがポルコに訴える。

「自由が一番だ、なんにも縛られず結果は自分の決めたことの結果でしかないからな」

「戦争に参戦しているんだこの際正社員として働いても文句はないだろう、金もらってるのはかわらないんだし」

「ただしたがって飛ばす野郎に何の尊厳がある。自分の艇を持ってからいいな」

そう言うと悔しそうに自分のひざを叩き飛行艇へと戻った。


「何をすねている」

フェルトの様子にローレンが聞いてくるのをポルコを見てため息をつくと、

「何じゃ親子喧嘩か」

つまらなそうに座席に潜り込み私も自分の席へと入った。

ルノアが帰宅へむけ飛行艇を東にむけ、フェルトは戻るまで戻ってからも一言も口を利かず過ごした。


工場に入ると長距離飛行の状態をカーチスの技術者がルノアと共に調べており私も勉強として整備を手伝い若い技術者から直接教えてもらっている。

あれから前線へはでずにもっぱら内海の警備として雇われ島の間を縫うように飛行して海賊や敵国の船を見つけては停戦を呼び掛け従わないときは爆弾を投下したりして過ごした。


「本国から戦争終結しだい帰国せよと、まあ武器供与しているのも問題になるだろうからな当然だ」

カーチスの技術者から言われたポルコは当然と言う顔で頷くがフェルトが、

「なら飛行艇を置いていってくれても良いじゃないか、乗るものがなくなってしまうよ」

確かに引き上げられると何もなくなってしまうのでそう言うのもわかる。

「わがままを言うな、元々好意によって試作品であるこいつを整備代も向こう持ちで運営していたからな」

ポルコに言われ反発したフェルトは飛び出していった。


「ロイ釣りいくぞ」

ローレンが何時ものようにやることがなくなると連れていってくれる。

機械をいじるのも楽しいが釣りも楽しく岸壁から糸をたらして夕飯のおかずを狙う。

「しかし飛行艇何て良いものが出来たな、海があればどこでも行けるし、美しい島々を見ながら楽しく過ごせるしな」

「じいさんは元々船乗りでポルコとルノアは空軍だったんでしょ」

そう言うとじいさんは懐かしそうに、

「わしは水先案内人をしてたからな、二人は空軍の前進である倶楽部に入って知り合い正社員にはならずにシュナイダーカップにでたが敗れた。この戦争がすぐ始まって中止になってるがな」

当時の事を話してくれ興奮して聞く、

「お前さんも操縦は習うじゃろうフェルトが先だがな」

そう言うと大きな魚を釣り上げ意気揚々と工場へ戻った。



戦争は早期にと思っていたようだが続いており工場のあるこの港湾都市に騒ぎが起こる。

「規律屋の将軍が敵に突破され右往左往しているらしいぞ」

噂が噂を呼んでおり黒かぶとの帝国が一転突破で浸透戦術というものをおこなったらしく正社員は壊滅したらしいと、

「急な仕事だ、敵の上に爆弾を降らせて足を鈍らせ味方の撤退を助けろと言うことだ」

ポルコは顔色も変えずに準備をはじめルノアが、

「あのじいさんは平時なら有能だが戦いはやっぱり無能と言うことだったな」

軍にいた頃に何かあったのか準備をしているとローレンが、

「おい、フェルトが出ていったみたいだぞ身の回りの物を持って」

皆がじいさんの言うことに驚きため息をつき、

「ほっとけ、しかし誰をのせるか」

周りの男は皆戦いに出て不在であり適当なのがいない、

「今回は空けとけ」

その一言だけ言うと準備に入った。

「爆弾が届いてねえって」

不幸は続き積むはずの大型爆弾が到着しておらず午後になると言われる。

「待機だ」

それだけ言うとポルコは椅子に転がりラジオからの歌声に心を落ち着かせているようだった。

「息子も親父に似てだな飛び出しやがったか」

ルノアがその姿を見ながら首をふり、

「来月、中古だが海の向こうのタブロイドシュナイダーを手に入れたらしい、フェルトに乗せようとわざわざ取り寄せたらしいがな」

フェルトが聞けばどんない喜んだかと思うと寂しく思い、煙を吹かして青空を見つめているポルコに今からでも遅くないと言いたかった。


「到着したぞ、すぐに下ろせ」

トラックに積まれた爆弾が次々と降りされる。

「何回飛ばす分有るんだよ」

ルイスが呆れるのもわかる程の量で切迫しているのかと思っていると、

「間に合ったようじゃな、頼むぞ」

女の子の声が聞こえみてみるとマリーア王女が飛行服を着たままトラックから降りてきて工場へとはいってくる。

「なんだ」

ポルコも思わず声をあげてしまう位で周りも一言も発せず、

「これだな、なかなか美しいな、どれ」

そう言うと梯子を登り始め皆をさらに慌てさせた。

「お嬢ちゃん、おままごととは違うんだ降りて大人しく王宮へもどんな」

ポルコが階段を登り座席に座ったマリーアに言うが、

「あら大丈夫よ、私何度か飛行艇に乗ったことあるし、お母様には了解を得てるから」

「弾に当たったら痛いのじゃすまねえんだぞ」

そう言うポルコを見つめ、

「わかっておる。私も王室の一員であり国民を戦いに向かわせる上と考えての事じゃ」

そう言うとポルコは頭をかき、

「さっさと爆弾を積み込め、日がくれる前に戻ってくるぞ」

そう言われ自分の機首部分に爆弾を両側に固定して乗り込んだ。


「お嬢ちゃん、指示には従ってもらうたとえ王女様でもな」

ポルコが感情を押さえた声が伝導管から聞こえてくる。

「わかってるわよ、悲鳴なんかあげたりもしないし心配しないで」

ルノアが飛行艇を滑空させ北へと進路をとる。

前線までは2時間かからない距離と言うことでどれだけ侵入を許したのかと思いながら晴天のなか進んでいると発見した。

「正社員が逃げ惑ってる。数万かなすごい数」

私が身をのり出して下を見るとどれほどの数がと思いながら報告をする。

「その最後尾が敵の先頭だ、ただしそこじゃなくさらに奥にいるはずの司令部を狙う」

ポルコから軍の所属を示す旗を探せと言われており隊列を組んだ敵の上を飛び越え見つめていると、

「みぎみぎ、みぎよみぎ」

マリーアの声が響き右をみてみると騎兵をともなった旗印を見つけた。

「ヨーソロー」

右に反転したのちルノアが呟く、帝国軍はいくつかの集団にまとまりこちらへ発砲してきた。

「投下用意、投下投下」

私が叫びながらコックを引くと爆弾が外れる。続けてロープで止めてあった小さい爆弾も切り離し後ろも投下したのか機体が軽くなり浮かび上がった。

「戻るぞ、夜明けと共に再度出る」

ポルコからの言葉に目標から外したとわかり気落ちする。

飛行艇はそのまま南西へ飛び夕闇の中ゆっくりと着水して工場へと戻った。

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