空族ポルコとその仲間達
「寒い、おじさんが言ってたのと大分違うじゃない」
風を切り進むこの艇と呼ばれる物の先端に一人座り、後ろを振り向くとポルコおじさんとルロアさんがおり私を見て腕をあげ何か言ってる。
導管で言えば良いのにと思いながらも手を上げ周囲を見張りながらシートに沈みこんだ。
「ビアンチャが食い過ぎでお腹壊したんでな、小遣いやるから前に乗って見つけて射ちまくれば良いだけだ」
何時もの豪快な笑いと共に背中を叩かれ悶絶しているとルロアさんが、
「正社員がいやがる場所だがな、まあ俺達は単騎だからな島影に隠れながらだからそうそう戦いにはならないさ」
少しだけ赤い顔をさせながらワインを飲み干してエンジンの始動を手伝うようにいう。
エンジンが沢山乗っているカーチスと言う海の向こうの会社の試作品らしく技術者が見守る。
エンジンは四つあるので順番にかけると先頭にある場所に潜り込んだ。
後ろにはローレンじいちゃんとフェルト兄さんが乗り込み5名が定員のNCー4、先代の敵から奪ったローナーLが壊れどうするかと言っていたところ海の向こうから試しで使ってくれとこのカーチスに乗っている。
レーロンじいちゃんはスリムすぎて美しさを感じられないとぼやいているが大きくエンジンが多数ついているので1つ壊れても飛び続けるので好評らしんだけれども、自分の国のをなぜ使わないと何時ものごとく文句を言って苦笑させていた。
小さい頃から見慣れた内海をすすむ、紺碧の海面が反射しておりルロアさんが島と島の間を通りながら目標の港に到着した。
「準備しろ、目標だ」
ポルコおじさんからの声で前を見ると美しい白い町並みと船が並んでおりこれから私達が爆撃するとは思えないのどかであり目標の艦に向かった。
「よし今だ、投下、投下」
掛け声と共に座席の前に並べていた手榴弾を改造した爆弾をピンを抜きつつ落としていると真ん中に臨時で着けていた爆弾を放したのか機体が浮かび上がる。
身を乗り出すと水柱が上がり何発かは当たって木造の船体が燃え始めたようだった。
「艇長、ひだりひだり」
緊張した声で伝導管から声が聞こえ左を見ると、そこには投下されたはずの爆弾がまだあり悲鳴が上がる。
「畜生め、太っちょ小僧が取り残されてやがる。フェルト外せるか」
爆弾をつけたまま着水すれば爆発して木っ端微塵であり、臨時で取り付けたカーチスの技術者を呪い、フェルトがうまくはずす様に祈りを捧げる。
「ロイネット、手伝え」
そう言われ艇に沿わせてワイヤーが張ってあるのでそこに命綱のフックをかけると外に出て後ろへと体を這わせていく、速度を落としてくれたとはいえ飛ばされてもおかしくなく悲鳴を圧し殺してフェルトがいる場所へ到着した。
「フックが引っ掛かって爆弾に食い込んでる。こっちで引っ張るからネジを緩めてくれ」
一抱えもある爆弾を押さえて私に指示してくる。スパナを渡され機体に固定するためのネジをまわす。
「おやじ、くいこんでて外れない」
ネジをはずして止めているワイヤーがゆるんで爆弾が落ちるはずがなぜか動かず押しても引いてもびくともしないのでフェルトが報告をするとポルコがこちらに来て、
「こんなもんこうすれば良いんだよ」
そう言うやいなやポルコは爆弾に悪態をつきながら蹴りを入れはじめフェルトが慌てて止めようとするのを気にせず蹴り続けワイヤーからずらして蹴落としてしまった。
「こんなもんだろ太っちょ小僧なんぞは蹴れば良いんだよ、ロイ漏らしたな」
そう言われ自分の足の間が生暖かくそして冷たくなるのを自覚して顔か赤くなるのを自覚した。
「おやじあれ、まずいよ」
その時不意にフェルトが叫び指差している下を見ると船が2隻停泊している上に太っちょ小僧が狙いをつけたように落ちていく、
「バカそっちじゃねえ、そっちじゃねえって言ってるだろ」
ポルコが叫ぶが太っちょ小僧は見事に小さい木造船の真ん中に命中して爆発する。
「よし帰るぞ」
ポルコの言葉に何もなかったように飛行艇がバンクして家路につく、初陣を何がなんだかわからないまま終わり工場のある港に着水した。
ルロアが工場前の傾斜のある場所へ艇を誘導してレールに載せられた台車の上にうまく乗り上げると一族の女子供総出で艇に引っかけたロープを引っ張り工場内へと運びいれた。
「ロイター、爆弾の投下装置が反対に取り付けられてるぞ」
ポルコはすでに気がついていたのか原因をカーチスの技術主任に伝えていると工務の親方であるルチアーノがやって来て、
「ビアンチャが亡くなったぞ、明日葬儀だそうだ」
そう言われてポルコはタバコに火をつけ、
「飯で死ぬなんて奴らしい、ロイ今日から正式な一家の一員だ」
私の背中を叩くと行ってしまい、
「ビアンチャとは幼いときからの親友だったからなほっといてやれ」
ローレンじいちゃんがそう言うと皆見送った。
「しかしあの船」
フェルトが呟きワインを飲む、
「安全確認もしないで見事に真ん中にめいちゅうしてたな」
ルロアが呟きローレンが、
「わしの息子が会心の投下をしてやったわ」
それぞれがそれぞれの喜怒哀楽が顔を出しており味方の船なら不味いと思えるのは誰でもと思っていると、
「その話詳しく聞かしてもらうわよ空族のみなさん」
後ろを振り替えると工場のドアが開き軍人の男なのだろうか化粧をして真っ赤な唇を舌なめずりでてかてかにしたのが入ってくる。
「ランボルト少佐」
そう言ってやなものを見たとルノアとローレンはワインをそそいで飲み、フェルトが立ち上がると、
「おやじは亡くなった身内のところに出てるから今日は帰らない」
「あらそう、まあいいわ」
そう言いながらこちらに近づき私を見て指先で私の頬を撫でながら、
「作戦地点から丁度戻るコースの上なのよね、見事に沈めたらしいじゃない」
そう言いながら私のワインを飲み干すと、
「1910年物ね、まあまあかしら、別に責めに来たんじゃなくてよ、もしかしたらボーナスも出るし」
そう言われてフェルトが少し笑みをだしルノアとローレンは、
「甘い言葉に誘われおって」
そう言いながら机の上に両足をのせてフェルトをにらんだ、
「ほんとに悪い話じゃないんだから、楽しみにしててね、時間だ時間また来るわチャオ」
そう言うと投げキッスをしてルノアとローレンは吐くジェスチャーをフェルトは頭を下げ私は顔をひきつらせながら見送った。
「継ぐつもりなら甘い言葉に一喜一憂するな、正直者にはバカを見ると何度も言わせるな」
ローレンがフェルトをにらみフェルトは頭を下げると工場を出ていった。
「どう思う」
ローレンがルノアに聞く、
「ポルコ相手なら話し半分以下で聞くけど、今日は居なかったからあの朱藍(ランボルトのあだ名)の話は本当かもしれない」
「だが、もしものことを考えて逃げる準備も忘れるな」
二人は嬉しそうに頷くと私にマンマのところへ言ってさっさと寝ろよと言うと行ってしまった。




