周り怒りと聞いてる?
スミマセン、切が悪いので短くなりました。
「ど、毒、ですと……」
公爵は予想もしていなかったであろう答えに激しく動揺してしまっているな。
「動揺するのは分かるが、説明するから始めにこれを見てもらえるかな?
秘儀!『猫プロジェクター』!」
我が輩の目がサーチライトの様に光を放つと、その先に毒々しい斑模様をした人の腰ほどの大きさの蛙の立体映像が現れた。
「こ、これは……」
「これも我が輩の魔法なのでそれについては置いておいてもらうとして、
その毒を持っているのがこの蛙でな、我が輩はヤマイマダラガエルと勝手に呼んでいる。一応念のため聞いておくがこの蛙に見覚えは?」
「……いや、見たことも聞いたことも無い」
公爵は少し考えるとゆっくりと首を横に振った。
「まぁ、そうであろうな。この蛙は我が輩が住んでいた森に生息しているのだからな」
「黒猫殿が住んでいた森というと……!?」
「そうお主らが百魔の森と呼ぶ森だ。あの森はお主達の基準で言うとかなりの危険地帯なのであろう?」
「ああ、ついで言わせて貰うならかなりはかなりでも、近隣諸国でも類を見ない超危険地帯だがね。
3代ほど前のこのリグレス王国が1万の軍勢を率いて開拓しようとして壊滅したことがあるくらいにね……」
公爵が眉間の皺を伸ばしながら頭痛を抑えるように説明してくれた。
というか1万の軍勢が壊滅って……この国、ってかこの世界の人間ってそれ程弱いのか?
我が輩程の力のある奴は少ないとは思っていたが、森を拓きながら進んだとしてもレノスと出会った辺りまでは全体から見てもかなり弱い部類の奴らしかいないのだがな……。
「それについては後にして、この蛙はレノスと出会った辺りより少し奥に進んだ辺りに生息即していてな。身の危険を感じると体から周囲に毒を霧のようにして散布してその間に逃げ、それを吸い込んだ生物が毒で弱ってからまた現れて捕食するという嫌な生態をしているのだ」
「ではリナはその毒に……!」
「ご名答、そしてこの毒の嫌なところはこの毒自体で死ぬことは滅多に無く、毒の効果があくまで相手をじわじわと衰弱させて動けなくなっていくということだ。
呪われた子という中傷を助長させるには打って付けではないか?」
それを聴いた瞬間公爵だけではなく、レノスとモルトさんも歯を砕かんばかりに食いしばり、拳を血が出そうなほど握り締めたのが分かった。
「ふっふ、なるほど、黒猫殿が言いたいことが良く分かったよ。
つまり、リナを中傷する連中が毒を盛ったということか」
……おう、公爵様?気持ちは分かるがその目は怖いよ。普通に大人でも泣くよ?
「ま、まぁ、あくまで状況証拠による推理でしかないからな。
本当のところは分からないが、公爵という立場があるからこそ出来ないことということもあろう?それを我が輩が手伝おうということだ」
「ええ、確かにそうです。こちらからもよろしくお願いします」
だからさ、その目辞めてくれよ!普通に怖いんだって!
誰かこの空気を何とかしてくれ!!
「モフモフ……猫さん眼が光ってるとちょっと怖いから光らせないで~、モフモフ」
妹さんは話を聞いてあげて……。