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47話「新たな力」

「まずは私があれを引き付けます。あなたたちはアイリの指示に従ってください。シュウジ。くれぐれも無理はしないように」


 クシャナさんはそう言って霧の中へと駆け出した。

 デウスの攻撃力はハンパない。

 俺たちじゃ正面からやり合えないから、注意を引いてくれるらしい。


『おーけー。それじゃあ始めようか。さすがのクシャナちゃんでも能力半減の化身のままだと辛いだろうからね。長期戦になったら魔力を使い切っちゃうかもしれないから、その前にケリをつけるよ?』


 耳のレシーバーからは、そんな愛理の声が聞こえてくる。


 クシャナさんがもし魔力切れを起こしたら、また体がちっちゃくなってスキルが使えなくなる。

 そんな状態だと当然戦い続けられないから、そうなった時点で負けだ。

 仮に、デウスが魔法戦に弱ければ話は別なんだけど、見た感じそれも期待出来そうにない。

 だって今もクシャナさんと激しく撃ちってるからね。

 例の口から魔力波動とクシャナさんの色んな魔法がバンバン飛び交ってる。

 おまけにお互い防御は魔力障壁に頼ってるから厄介だ。

 クシャナさんはただでさえ解呪の腕輪に魔力をごっそり持っていかれてる。

 それなのに攻撃にも防御にも魔力を使わないといけないってのが問題。

 本体にさえ戻れれば『狭間』に退避出来るから防御に魔力なんて使わなくて済むんだけどな。

 それが出来ないから、単純に言うと先に魔力が底をついた方が負ける。

 デウス、魔力量多そうだよね。


『作戦はかんたん。クシャナちゃんが戦ってるあいだに、修司のレトリックに追加した新機能を使ってデウスを追い詰めるからね。白夜ちゃんはいざという時の防御担当、緒方大尉はサポート全般。修司を中心にスリーマンセルを徹底してね』

「分かった。でも大丈夫か? あいつにとどめを刺すのは俺の役目なんだろ? そんなに上手くいくかな?」

『なに言ってるのさ。それを上手くやるのがレトリックの使い手としての修司の仕事だよ。せっかく新しい機能を3つも増やしたんだから、ちゃんと使いこなしてよね』


 まったく、簡単に言ってくれるよ。

 離れて見てる分にはいいだろうけど、実際デウスを前にしたら無理ゲー感ハンパないっての。

 あれを俺に倒せって言うんだから、愛理のむちゃくちゃっぷりも相変わらずだ。


 いや、そうなんだよ。

 実は事前に愛理に説明されたことなんだけど、デウスを倒すのはクシャナさんや他の人間じゃなくて俺がやらないとだめらしい。

 理由はレトリックに追加された新機能の1つだ。

 今回追加された3つの機能はそれぞれかなりの便利機能だ。


 まず最初に、効果減衰機能<マイオーシス>。

 これは色んな事象やスキルの効果を半減させる機能だ。

 例えば自分が攻撃された時に使えばダメージ半減とか超便利。

 俺は今まで防御面がお留守だたからな。

 上手く使えればかなり役に立ちそう。

 しかもこの機能、オクシモロンに続いて自我のある相手に使える2つめの機能だ。

 つまり敵に使えば耐性スキルの効果を減らせたりするわけ。

 今回はむしろこっちの使い方が重要だな。

 デウスは物理無効化レベルの耐性持ちらしいし、おまけに魔法防御も堅そう。

 だからそこを減衰させてやればクシャナさんの負担はグッと少なくなる。

 反対にデウスの魔力波動ブレスは、たとえ効果半減させたところで俺の生身が耐えられるとは思えない。

 そう言うわけで防御は白夜のイベントホライゾン頼みだ。


 次に、共役接続機能<ジューグマ>。

 この機能はレトリックにしては珍しく、直接何かを改変する機能じゃない。

 言ってみればこれ自体が1つのスキルだ。

 ジューグマは光弾みたいなもので、対象に撃って当てると俺との間にパスが繋がる。

 この状態で俺がレトリックを使えば相手にも同じ効果が共有される。

 その特性がメリットでもありデメリットでもある。

 今回は基本的にはマイオーシスでデウスの耐性を削ごうって作戦。

 でも俺が普通に直接接触でデウスにレトリックをかけに近づくのは無謀。

 だから射程のあるジューグマを使って、離れた位置からマイオーシスを共有しようって算段だ。

 それなら白夜のイベントホライゾンがあれば何とか生き延びれるはず。

 ちなみに本当ならオクシモロンを使って致命的な弱点を共有することも出来る。

 でもそれはクシャナさんから絶対禁止命令が出た。

 例えばヒュドラにやったみたいに可燃性を自分に付加してる時に、ちょっとした火花でも俺に当たれば即死だ。

 それはいくらなんでも俺にはやらせられないってさ。

 そこで愛理が出してきたのがマイオーシスってわけ。

 これならデメリットはかなり少ない。

 なにせ耐性スキルが減衰されるだけだから俺にはほぼノーリスクだ。


 と、そんな感じでこの2つの機能を上手く使ってクシャナさんを支援。

 最終的にデウスを追い詰めて上手く弱らせたうえで俺がとどめを刺せたら上首尾だ。

 なんで俺かって?

 その理由が3つ目の新機能なんだけど、それについては今は置いておこう。

 なんでって、デウスを追い詰めて初めて意味のある話だからだ。


 とにかく今はクシャナさんの支援に取り掛かろう。

 俺は二人に行動開始の合図を送った。

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