第五話 ミラー
『んっふあぁ〜あ〜よく寝たなー』
ベッドから降りて首をこきこきならしながら窓の側に行く。窓から外を見る。街には人がたくさんいて、朝から活気づいていた。
『ちょっと街に出てみるかな?』
廊下に出て、階段を降り一階にむかう。
ロビーの受付にいたおっちゃんに声をかけられた。
『おい兄ちゃん!!昨日はよく寝れたかい?』
『ああ、よく寝れたよ』
『朝飯はそこの食堂で食ってくれ、飯は俺の女房が作ってるから美味いぞ!』
『ああ、わかった』
さっそく食堂に行ってみると、結構たくさんの人がいて、少し混んでいた。
どうやら飯はカウンターで受け取るらしい。
朝飯をカウンターでおばちゃんから受け取り、席に座る。
メニューはパンと牛乳、野菜スープだった。
パンを少しかじり、スープを飲む。
『おおっ結構美味いな』
完食し、おばちゃんに礼をいい、宿から出る。 外に出ると、街のあちこちから客寄せの声が聞こえる。さて今日はどうするか...............
あっ!今日も憲兵所に来るように言われてたんだ!しかたない行くか...
俺は重い足を引きずりながら憲兵所にむかった。
憲兵所に立っていた憲兵に声をかける。
『あの〜昨日来るように言われたんですけど』
『ああ、昨日の者かとりあえずここで待っててもらえるか』
と言って憲兵は奥に行ってしまった。
しばらく待っているとやっと憲兵がやってきた。
『団長にとりあえず会ってもらう』
『あっはい、わかりました』
マジか、いきなり偉い人かよ。
憲兵に連れられ、憲兵所の中に入ると中は石造りの廊下が広がっており、武器庫や団員の部屋があった。そして一番奥の部屋に団長室があった。
『ガイル・コナー入ります!』
と二回、ノックしドアし中に入る。
中はかなり豪華な装飾がされた部屋で、中年の男が座っていた。白髪だが、幾つもの戦場をくぐり抜けてきた感じだ。俺も自衛官だったので同じ軍人の匂いがする、この人は強いってことが....
『団長!例の若者をお連れしました。』
『うむ、下がってよい』
『はっ』
えっこの人下げちゃうの?団長とふたりだけかよ!?
『その方名はなんと申す?』
『神谷拓哉です』
『私はミラー・ソルです。いきなりで申し訳ないが神谷殿、昨日あなたは、我が団員を救ってもらった。まずは憲兵団団長として礼を言わせてもらう。』
『あっいえ...』
『それともうひとつあなたにぜひ、ウィリアム王国の兵士となってもらいたい。』
『はっ?そっそれはなぜですか?』
『昨日あなたは翼竜を召喚したそうですね?』
翼竜?ああ、ワイバーンのことか。
『確かに召喚しましたがそれがなにか?』
『できれば我がウィリアム王国としての戦力として欲しいのです』
『召喚出来るものなどいるのではないですか?』
『たしかにいますが、人数が少なく、出せてもオーガやゴブリン、オークぐらいです。さらに敵はかなり強い魔物を出してきます。昨日あなたが遭遇した巨人もそれです』
どんだけ弱いんだよ召喚師。
『あなたはガルバトリックス王国をご存知でしょうかな?あの国と我が国は今一色触発の状態です。さらにあの国は周辺の国を滅ぼし、女、子供を皆殺しにしているのです!我が国はそんな事にはなりたくないのです!!ぜひあなたの力を貸して頂きたい。』
団長が頭を下げる。
『頭を上げてください。わかりました』
『おおっそれでは!』
『協力はしますが、遊撃という形ならば協力しましょう。それとそれなりの権限を与えてください。』
『わかった。それで形で頼む。貴殿に与えられる権限は部隊長相当の権限を与えよう。』
『ありがとうございます。』
『では我が国の力となって頂きます。これからよろしく頼みます』
『ええ、こちらこそ』
ミラーと固く握手する。
『任務をあなたに出し期限までにあなたに完遂してもらいます』
『わかりました』
戦争か....めんどうなことになりそうだ。
一人で戦うのは危険が大きいな仲間が必要そうだな。
団長室を出て宿屋に戻る。
『親父さんこのあたりで仲間とかが欲しいんだが...』
『仲間?ああそれなら奴隷はどうだ?』
『奴隷?』
『ああ奴隷なら金はかかるが役に立つぞ、裏切らないしな。』
『奴隷か....どこで手に入るんだ?』
『奴隷は街の東にある奴隷館という所で手に入るぞ』
『ありがとう明日行ってみる』
奴隷か...ちょっと気が引けるな。
とりあえず明日見に行ってみるか。