第72話 『桜と最低最悪の悪夢』
どうも、神夜晶です
今回は・・・シリアスです
誰が何と言おうとシリアスです
でも、全部が全部ではないので。。。
それでも宜しければ、どうぞ
あれから、桜は小説を読んでいた
小説の内容は覚妖怪の妹の話だった
何故、この本があるかは本人も全く分かってない
紫が持ってきたらしいのだが
誰が作者なのか分かっていなかった
桜は涙目になりながらも小説を読んでいた
「心を読んで嫌われたくない為に力を封じた……ですか
そうですよね……嫌われるという事は心に一番響くものですから
分かる気がします……」
桜は悲しげに呟いていた
しかし、何時までも悲しんでいられないと思い
涙を拭い小説を読み終えた
その時だった、不意に睡魔が桜を襲った
「あれ……? 急に眠く……
どうしたのでしょうか……
昨日の夜は早く寝たの……ですが……」
桜は睡魔に抗えず布団に入り寝た
しかし、その睡魔が後に後悔する事になるだろう
そして、最悪な悪夢が始まってしまった
目を開けると其処には白い空間の世界だった
白い景色が無限にあるだけで、それ以外には何もなかった
桜が辺りを見回していると後ろから声が掛けられた
「ねぇ」
「……? あ、霊夢さん……」
桜が振り向き霊夢に近付こうとした
しかし、それが間違いで桜にとっては悪夢の光景となった
パシン!
霊夢が桜の頬を張ったのだ
「近寄るな、気味が悪いわ」
「……え」
桜は自分が何をされたのか理解出来なかった
それもその筈だ、絶対の信頼を置いている霊夢にビンタされたのだから
桜は痛みより霊夢に叩かれた事の方がショックが大きかった
次第に涙が溢れていった
「此処はアンタの精神世界
だから、此処で死なないわ
これが、どういう意味か……分かるわよね」
「ぁ……ぁ……
ぃゃ……ぃや……いゃ……いや……」
霊夢が言った言葉を理解してしまった桜だった
つまりは精神だから肉体的には死なない
精神的に死んだら、其処までという事で
霊夢は言葉と共に後ろに数え切れない程の弾幕を張った
そう、霊夢は……桜を殺す気だった
最後の最低最悪の悪夢が始まった……
「死ね」
霊夢は笑いながらではなく
親の敵でも討つかのような目をしていた
それを見た桜は恐怖の余りに絶叫した
「いやぁぁぁぁああああああああああああ!!!
あああああああああああああああああああああ
ああああああああああああああああああああ
あああああああああああああああああ!!!」
ズドドドドドドド!!!
ズガァァァァァアアアアン!!
弾幕の嵐が止み砂煙が消えると其処には血だらけで倒れている桜が居た
霊夢は、つまらない物を見るような目をして
桜に奥儀とも言えるスペル「霊符・夢想封印」を喰らわした
喰らった桜は叫びを上げる事さえ出来ずに居た
精神は死んではいないが、壊れ掛けているだろう
「つまらないわね……
後は任せたわよ、魔理沙」
「おう、任せろ」
「……」
「消えろ……」
桜は魔理沙に助けを請おうとしたが
魔理沙の目が笑っていなかったので
助けは無理だと分かってしまった
その後に魔理沙から
「マスタスパーク」「ダブルスパーク」「ファイナルスパーク」「ファイナルマスタスパーク」を連続で撃たれた
当然、桜は言葉を喋る気力が残っていなかった
それから、紅魔郷から非想天まで知り合った者達から全力のスペカを喰らい続けた
最早、桜には意識が余り残されていなかった
桜の倒れている場所は血の海と化していた
「……」
精神世界には誰一人と居らず
居るのは血だらけの桜だけだった
桜は喋る事も出来ず、死を待つ者と同じような状況に居た
しかし、其処に一つの存在が現れた
そう……桜に呪いを掛けた神だ
「良く……耐えたな
我は途中で精神が死ぬと思った
しかし、お前は耐え抜いた
これで呪いの術式は解かれるだろう
幸い術式の鍵は解かれている
次に起こる異変は……何もしないでおく
最後の余生を楽しむと良い
では、また会おう……」
呪いを掛けた神は桜に近寄り頬に手を当てて回復させ
辺り一面の血の海を消した
着物も元通りにして呪いを掛けた神は何処かへと消えていった
パァァァァァ!
世界に光が走った
「こ……こ……は……私の……家……?」
光が止むのを確認すると桜は辺りを見渡した
其処は見慣れた風景の自宅だった
桜は力が入らない身体を無理矢理に動かし起き上がった
「ぁぁ……ぁぁぁぁぁああああ……
最後の……呪いが……ああああああああ……
うあああああああああああああああああああああ
あああああああああああああああああああああああ!!!!!」
桜は手を顔に当てて大声で泣いた
それ程までに一番辛い呪いだったのだ
信頼していたものからの裏切り
ましてや、殺す気で攻撃されたのだから当たり前だろう
いや、現実世界ならば確実に死んでいるだろう
そんな事を幻術を使ってされたのだから泣いて当たり前だ
桜は外に泣き声が響こうとも泣き続けた
泣き続けて数時間後に泣き終わり
桜は少し落ち着いていた
「……」
桜は落ち着いていは居るが、無表情に近かった
そんな時だった
ガチャ!
「桜!」
「っ!?(ビクッ)」
霊夢の声を聞いて桜は身体が反応をした
先程の呪いによるのか、今は一番に会いたくない相手だった
会いたくはないが、嫌いにはなっていない
ギシ!ギシ!ギシ!
スー……
「桜、異変解決終わったわよ!」
「……(コク)」
「どうしたの……?」
霊夢に異変が終わったと告げられて
桜は返事をせずに頷いただけだった
今の桜は少し恐怖を抱いていた
それに気付いたのか霊夢は真面目な表情になり桜に近寄った
桜は近寄られて困ったのか、反射的に縁側の方を向いて霊夢に背を向けた
霊夢は少しムッとしたのか、桜を少々強引に正面を向かせた
その時に身体を掴んだのだが、桜がビクッとなったのを霊夢は見逃さなかった
桜は霊夢に力で勝てる筈もなく、無理矢理に正面を向かされた
正面を向かせ霊夢は桜の顔を見た
桜の顔を見た瞬間に霊夢は驚愕した
「ぁ……ぅ……」
「……」
泣いていたのだ
一番、顔を合わせたくない相手に情けない顔を見られてしまった
そう思うと桜は更に涙が込み上げて来た
それと同時に霊夢の手には桜の肩が震えているのが分かった
つまり、怯えている、怖がっているのどちらかだった
桜の表情を見ると霊夢は無言で立ち上がり部屋を出て行こうとした
其処で桜は手を伸ばして声を掛けようとしたが、上手く声が出なかった
その時に桜は思った
もし、此処で霊夢を止めなければ「二度と会えなくなる」と
だから、桜は行動を起こした
まだ余り動かせない身体に鞭を入れて動かした
桜は霊夢の足に、しがみ付いたのだ
それに対して霊夢は足を止めたまま動かなかった
桜の言葉を待っているようだ
「ごめん……なさい……
霊夢……さんが……怖い……のではなく……
先程……呪いで……皆さんから……精神世界で……
何度も殺されては……生き返って……それの繰り返しで……
ごめんなさい……もう二度と……怖がりませんから……
行かないで……下さい……
嫌いに……ならないで……下さい……」
「……(ギュッ)」
「霊夢……さん……」
桜は必死に泣きながらも言葉を紡いだ
それが霊夢に届いたのか屈んで桜を抱き締めた
抱き締められた桜は驚いたが正気に戻り抱き締め返した
霊夢は桜の耳元で優しく言葉を掛けた
言葉を掛けていく途中で背中を優しく擦った
「言ったでしょ……嫌いにならないって
ごめんなさいね、私が怯えさせたかと思って外に出ようとしたのよ
それが、桜に怖い思いをさせちゃったわね
でも、そんな最低な呪いを見せるなんて……
桜、呪いを掛けた神を教えなさい
もう我慢の限界よ……」
霊夢は我慢の限界に来たようで桜に呪いを掛けた神を教えろといった
桜は数秒間、無言だったが、口を開いた
「分かりました……
でも、会いに行かれるのは止めてもらえませんか……?」
「どうして!? 此処まで酷い事をされたのよ……?
桜の怖がり方を見れば分かるわ
尋常じゃない程の絶望と悲しみに見回われたんでしょ?」
「はい……精神が死ぬ手前までいきました
ですが……あの方は……次の異変は何もしないと約束されました……
私は……それを信じてみたいのです……」
「桜……分かった
でも、次回に異変が起きて
何か呪いが発動したら……乗り込むからね?」
霊夢は桜の言葉に説得され乗り込むのは止めた
しかし、次回の異変で何かして約束を違えたら乗り込むつもりだ
桜も渋々、納得したのか
呪いを掛けた神の名を教える事にした
「……分かりました
呪いを掛けた神様は……○○様です……」
「嘘でしょ……
どうして……あの神が……」
「分かりません……
ですが、本当なのは確かです……」
「分かったわ……桜を信じる
それじゃ、私は宴会の準備をして来るわ
桜は今日はどうする?
今の状態で全員と会うのは厳しいんじゃない?」
霊夢は少し考え事をした後に口を開いた
宴会の準備をしてくると告げ立ち上がり
桜を抱き抱えて布団に戻した
布団に戻して桜に宴会に来るかどうか聞いた
桜は少し考えた後に話し掛けた
「そうですね……
でも、行きます」
「大丈夫?」
「はい、行かないといけない気がするのです」
桜は無理をしててでも行くと決めたようだ
今回の宴会に行かないと後悔するような感じらしい
霊夢は美鈴に伝えておくと告げて無理するなと注意した
「そう? 分かった
美鈴には言っておくから
余り無理しちゃ駄目よ?」
「はい、有り難うございます」
「えぇ、また夜にね」
「はい♪」
桜は別れ際に普段と変わらない微笑を見せた
それを見て霊夢は一安心だった
桜は霊夢が帰ったのを確認すると布団から立ち上がり風呂へ向かった
風呂に入り汗を綺麗に流した所で着物を着て美鈴を待っていた
どうでしたか・・・?
これが最後の苦しむ呪いになります
書いていて辛い回でした。。。
でわ、また次回に><




