第99話 『呪いの神の正体と過去』
どうも、神夜晶です
今回は神の正体と呪いを掛けた過去が分かります
でわ、どうぞ
桜の家に呪いの神が現れた
そして、その正体に全員が驚愕した
呪いの神の正体とは……
『どうして、貴方(お前)が……!』
「我こそが神呪桜の先祖に呪いを掛けた神……“龍神”だ」
そう、呪いの神の正体とは龍神だった
正体が龍神と知ると一部を除いて、殆どの者が驚愕していた
其処へ、霊夢が龍神の前まで歩いていき、呪いの事を聞いた
「アンタが出て来たとなると
人里の事は後回しで良いわ
今は……アンタが呪いを掛けた理由を知りたい」
『……(コクッ)』
霊夢は全員を代表して、この場に居る全員の気持ちを伝えた
誰もが願った、誰もが思った、何故、桜だったのかと
それが一番に知りたい理由だった
龍神は少しだけ目を瞑った、少し間を置いて目を開き、口も開いた
「元より、そのつもりだ
我が出て来たのは、お前達が集まったからだ
集まっていなければ、出て来る気は無かった」
「御託は良いわ……呪いの事を言いなさい
嘘、偽りなくね!」
「あぁ、話そう
もう隠す必要もない
あれは……約百年ほど前だった
我は何時ものように天より人里を見ている時だった
百年ほど前に、神呪桜の先祖……神咲桜花が居た」
『神咲桜花……』
「神咲桜花……ね」
全員が、その名を呟いていた
神咲桜花、それが桜の先祖の名前だった
全員が呟いていると、紫が行き成り叫んだ
「あー!」
『?』
「こんな時に何なの?」
霊夢が少し不機嫌そうに聞いた
紫が少し冷や汗を流しながら話し始めた
「桜と初めて会った時に何処かで見たような気がしてならなくてね
疑問に思ってたんだけど……
今、その疑問が解けたわ
神咲桜花っていうのは百年前の人里の有名人で桜と瓜二つの子なのよ!」
『っ!?』
紫の言葉に全員が驚きを隠せなかった
霊夢でさえも「なっ!?」と驚いていた
それも、その筈だ
桜と瓜二つと聞けば誰もが驚くだろう
全員が驚いていると、龍神が口を挟んできた
「八雲紫、我の邪魔をしないでもらおうか」
「あ、そうだったわ
邪魔したわね」
紫は冷や汗を拭いて口を閉じた
龍神は「やれやれ」と溜め息を吐いていた
「続きを話すぞ
我は神咲桜花を見つけた
神咲桜花を見つけた瞬間に不思議な感覚を覚えた
その時の我は、それが何なのか分からなかった
それからだった、我は毎日のように天から見ていた
我は神咲桜花を見るのが日課となっていった
そして、ある日の事だった
神咲桜花が人里から出てしまってな
その時に妖怪に襲われそうになった所を我が助けたのだ」
「そう言えば……神咲桜花が居なくなったとかで人里が大騒ぎしてたわね」
龍神が話していると、その時の事を知っているのか、紫が話した
紫の話しに龍神は首を縦に頷き「うむ」と言って話を続けた
「それから、我と神咲桜花は仲良くなっていった
そして、遂には……恋人同士になった」
『えっ!?』
行き成りの展開に全員が唖然としていた
その様子を見て龍神は怒気に溢れていた
「何だ、その反応は……
確かに我は余り女らしくはないが、一応は女だぞ?
まぁ、良い……続きだが
我と神咲桜花は恋人同士となって、我は今までとは違った世界を見つけた
戦いではなく、女としての世界をな……それが何よりも幸せだった
しかし、喜びも束の間だった
恋人同士になり、数年後の事だ
我は神咲桜花の家には泊まって居なくてな、天界で過ごしていたのだ
そして、百年前に起きた『人里の崩壊』と記された日の事だった」
『人里の崩壊?』
「あの時ね……あれは確か……」
龍神が口にした人里の崩壊とは何なのか
紫は知っているようで、何かを呟いていた
「その日の夜、我は天界で寝ていたのだ
しかし、胸騒ぎがして人里を見てみると……火の海と化していた
我は直ぐに人里に下り立ち……襲って来た妖怪を皆殺しにした
そして、人里の火と死んだ者達を生き返らせた」
「生き返らせたって……」
「流石は龍神ですね」
「もう、何でもありね……」
死者を生き返らせると聞いて、全員が何かを諦めたような表情をしていた
全員の呟きを気にせず、続きを話し始めた
「人里の者達を生き返らせ、神咲桜花を探した
火の海と化していて、自宅が何処か分からなかったが、直ぐに見つかった
そして、神咲桜花を見つけたのだが……」
『だが?』
「もう、虫の息でな……今にも死にそうな状態だった
我は何とか平常心を保ち、傷を癒そうとしたのだが
神咲桜花が拒んだのだ」
『え……?』
「あいつは、こう言った
『私が妖怪に襲われて死ぬのは偶然ではなく必然……
此処で死ぬのも、天命でしょう』とな
しかし、我は何とかして傷を癒そうと説得したが聞き訳が無くてな……
だから、無理矢理に傷を癒したんだ
それが気に喰わなかったのか、我に文句を言って来たのだ
少しイラっと来たが、我と生きたくないのかと聞いたら黙ったが
それからだった、我と神咲桜花は余り会わなくなった
我から会いに行っても、素っ気ない態度を取られてな
何を怒っているのか、我には分からなかった
聞いても教えてくれなくて困ったものだ
そんな関係が続き、数ヵ月後のことだった
あいつは我に……別れないかと提案してきた」
『……』
突然の言葉に全員が黙った
それを無視して、龍神は喋り続けた
「その言葉を聞いた瞬間に頭の中は真っ白になった
我の何がいけなかったのか、何も分からなかった
別れ際に、あいつは言ったのだ
『貴方の考えには付いていけません』と
我には理解不能だった
それが原因で、我は遂カッとなって……呪いを掛けてしまったのだ」
『……』
「アンタ……馬鹿でしょ」
全員が冷めた目で龍神を見た
龍神は途惑いながらも、話し続けた
「う、五月蝿い!
その時の我は無我夢中だったのだ
だから、どんな術式で呪いを掛けたのか分からなかった」
『ハァ……』
既に全員が諦めかけているような溜め息を吐いた
龍神も龍神で全員の態度を無視する事にした
しかし、この後に全員は龍神の口から思いもよらない言葉を聞くことになる
「だが、不幸中の幸いだったのが……
ある条件をクリアすれば、ある事が起きるようになっていたのだ」
「ある条件とある事?」
龍神が言った、ある事とは一体なんなのだろうか
気になった霊夢が聞いた
「うむ、それは……
その呪いを掛けられた者が考えを変えるという事だ
しかし、あいつは変わらなかった
それから、我は神咲一族を見て来たが……呪いを解く者は現れなかった
だが、万が一にも解いた場合は……呪いでは死ぬが“輪廻転生”が発動するようになっているのだ」
『輪廻転生……』
そう、この輪廻転生こそが
以前に龍神が夢の中で桜に伝えた奇跡なのだ
霊夢が何かに気付いたのか叫んだ
「輪廻転生……まさか、桜は!?」
「神呪桜は、お前達と出会い考えを変えていった
孤独に死ぬという考えから誰かを頼るという考えにな
つまりは……神呪桜は生き返るという事だ!」
『っ!?』
「桜が……生き返る……? 本当に……?」
龍神の口から“生き返る”と告げられた
その言葉に誰もが驚愕し再び涙を流す
霊夢でさえも、地面に座り涙を流していた
龍神は霊夢の再確認の言葉に「うむ」と頷いて答えた
「確かに生き返るには生き返るが
今すぐという訳ではないのだ
この際だが言うが、呪いで死んだ者は転生は出来ない」
『なっ!?』
「それが本当なら……
桜の先祖も母親も転生出来ずに、この世を彷徨ってるってこと?」
再び驚愕の事実を言われ、全員が驚愕する
呪いで死んだ者達、つまり先祖から桜の母親までが該当するのだ
桜は条件を満たしているので、該当しない
霊夢は先祖達の魂の行方を聞いた
「いや、違うぞ
呪いで死んでいった者達は……次世代の魂の中に居るのだ」
「次世代の魂の中……? どういう事?」
「つまりは、先祖である神咲桜花が死んだ時は
神咲桜花の子供に神咲桜花の魂が入り込むという事だ
何時だったか、神呪桜から聞いた者も居ると思うが
母親が死んだ時に全身が光に包まれたと」
「そう言えば、そんな事も言っていたような……」
「それと同時に呪いも引き継ぐようになっている」
「そういう事だったのね」
そう、桜が言った光とは呪いと母親の魂を受け継いだからだったのだ
真実を聞いて、納得がいった霊夢達だった
「うむ、今頃は先祖達と会って呪いの真実を聞いているだろうな
と、此処で一つ教えておいてやろう」
『何を?』
突然、龍神が何かを教えると言った
不思議に思った全員は首を傾げて聞いた
龍神はドヤ顔ではないが、得意気な顔で口を開いた
「我の力を使えば……神呪桜と先祖達の様子を伺えるが……どうする?」
『……』
龍神の言葉に全員が、ざわめき始めた
ざわめきが治まり、全員が一斉に答えた
『見る!』
「ふ、言うだろうと思っていた
では、見るとしよう」
龍神が手を動かし、桜の身体から一つの球体が現れた
球体が徐々に四角形になっていき、最後には映像が映し出された
少しだけザァーというモノクロの画面が続いたが、直ぐに白い空間のような映像が映し出された
この白い空間こそが、桜の精神世界だ
映像には桜を交えて、合計で11人の神呪一族が居た
「桜!」
「言っておくが、此方からの声は向こうには届かんぞ」
「そんなぁ~……」
声が届かないと知ると霊夢は落胆していた
しかし、映像が見れるだけで由としていた
「まぁ、その代わりと言ってはなんだが
向こうの声を聞く位は出来るぞ」
『聞こえない!』
「そう慌てるな
今、聞こえるようにする所だ」
そう言い、龍神は映像の後ろを突くと声が聞こえて来た
その声は紛れもなく、全員が望んでいた声だった
桜は先祖達と話していた
~精神世界Side~
あれからの桜は精神世界で目を覚ました
其処で先祖を始めとし、桜の母親までもが存在していた
その時に桜は泣きながら、母親に抱き着いた
本人達からは魂となって存在していたのだと、桜は教えてもらった
そして、現在は龍神と先祖の神咲桜花の事を教えてもらっている最中だった
何故かは分からないが、桜が輪廻転生する事を桜花は知っていた
「そのような事が百年ほど前に……」
「えぇ、あの人の考えに少し思う所がありまして……」
「そうですか……
あの、御先祖様」
「はい? あ、それとですね
私の事は桜花で良いですよ」
「はい、桜花様!」
『……』
「「どうかしましたか?」」
桜花と桜が話していると他の者が黙って見ていた
それも、その筈だろう
ほぼ同じ顔と言ってもいい二人なのだから
唯一違うのは髪形で桜はストレートで、桜花はポニーテールだ
そして、口調も同じなので余計に間違えやすい
二人の男の娘が集まると、こういう雰囲気になるのだ
「あの、桜花様」
「どうしました?」
「上手く言えないのですが……龍神様は決して命を軽く見るような方ではないと思うんです」
「……」
桜は自分の思いを桜花に伝える
桜花は黙って桜の思いを聞いていた
「確かに、人里を妖怪の方達が壊して死んだ方も居ると思うのですが
それでも、大切だからこそだと思うんです
大切だからこそ、せめて妖怪の方に殺されるのでしたら
寿命で逝かせてあげたいという龍神様からの、お気持ちだと私は思うのです」
「そう……ですね
私も考えに余裕が無かったようですね
今一度、考えを改めてみる必要がありますが……時間のようですね」
『はい』
「え……?」
龍神との出来事を改めて、桜花は考えようとしたが、遅かったようだ
桜花を始めとした、神呪一族全員の身体が薄くなり光の球体も出ていた
神呪一族の呪いは終わりを告げた
それは魂の解放の意味でもあった
勿論、桜の母親も薄くなっていた
「桜さん……一つだけ頼まれてもらえないでしょうか?」
「は、はい……!」
桜花は消えるという事で、桜に一つだけ頼みごとをした
魂の解放で全員が消えるので、桜は悲しみの涙を流していた
しかし、桜は何とか桜花の頼みごとに返事をした
「あの人のこと……宜しくお願いしますね」
「はい……桜花様!」
桜花は桜に龍神を頼んだと伝え、桜の返事を聞いて笑いながら消えていった
他の神呪一族の者も桜に挨拶をし消えていった
桜の母親だけが最後に残り、最後の親子の会話が始まった
「桜……」
「お母様……」
「大きく……なったわね」
「はい……」
「貴方の中から見ていたわ
色々な方達と出会って、本当に成長した事を」
「はい……!」
「博霊の巫女さんと仲良くね?
あの方にも宜しく言っておいてね」
「は……い……!」
「うん、良い子ね
流石は私の子♪」
桜は涙が溢れ出て返事を返すだけで精一杯だった
しかし、自分も伝える事があるので、涙を堪えて伝えたい事を言った
「お母様!」
「何かしら?」
「私は……私は……!
お母様の元に生まれて……10年が経ちました……
私は……お母様の元に生まれて……本当に幸せでした……!」
「桜……」
「お母様との日々を……温もりを……思い出を……忘れません……!」
「私もよ……桜……!」
桜の言葉に母親も泣き出した
しかし、桜は言葉を続けた
「今まで……私の……母親で居て下さり……本当に……有り難うございました……!」
「桜……!」
「お母様……!」
「……」
二人は涙を流しながら抱き合った
しかし、母親の光が強くなっていく
そして、消える瞬間に母親は桜の耳元で何かを呟き、消えていった
「お……母……様……!」
桜は前歯で下唇を噛んで我慢していた
しかし、母親を失った悲しみに何時までも耐えられる筈もなく、号泣した
「ぁ……ぁぁぁ……お母様ぁぁぁぁぁぁぁあああああああああ!!!!!!」
桜は二度も母親を亡くした
その悲しみは誰にも想像出来ないだろう
桜は精神世界で泣き続けた
何秒、何分、何時間、泣いたか分からない
桜は泣く事を終えて、立ち上がった
その表情と瞳には強い決意が籠められていた
「お母様……見ててくださいね
私は……私は、きっと……神咲家を……立派な一族にしてみますから!
私は……皆さんの分まで生きます!」
桜は生きると言い切った
それと同時に精神世界が暖かい光が発生し、桜を包み込んだ
~精神世界Side終了~
~現実世界Side~
精神世界での出来事を全員が見ていた
当然の事ながら、全員が涙を流していた
龍神でさえも、涙目になっていた
そして、此方では今しがた、桜が生きると言った所だった
それを見て、龍神が全員に叫んだ
「さぁ、お前達!神呪桜が蘇るぞ!」
『桜!』
「桜!」
全員が名前を呼び、霊夢も嬉しそうな表情で名前を呼んだ
そして、神呪家が暖かい光に包まれた
人里の者達も何事かと思って見ていた
全員の目が見えるようになり、其処で見たものとは……
どうでしたか・・・?
はい、という訳で。。。正体は龍神でした!!
この小説での龍神は女です
途中で出た、先祖の桜花はアルビノではありません
人肌ですが、桜と同じ顔で男の娘で髪の長さも同じのポニーテールです
(こっちなら、誰かの嫁に・・・!)
桜花「作者さん!?」
というか、またシリアス・・・
そして、桜の母親が。。。。
桜、ごめんよぉ~・・・
でわ、また次回に(´・ω・`)




