第98話 『桜と別れ』
どうも、神夜晶です
今回は・・・はい・・・短い上に此処まで来てしまいました
書いていて本当に辛くて、何度発狂しかけた事か・・・
何かは言いません。。。どうぞ
桜が倒れてから、約1週間が経った
その間に桜を心配して訪れる者が多かった
紅魔館を初めとし、命蓮寺までの者達が訪れた
現在は昼なのだが、桜は布団で寝ていた
あれからというもの、桜は殆ど食事をしていない
食べていないというよりも、食べれないと言った方が正しいだろう
呪いの所為で腹が膨れないのだ
例え食べたとしても、おかずだけで腹が一杯となってしまう
他にも吐血をする事が、ちらほらとあるのだ
最早、桜の口の中は鉄の味しか感じていなかった
「こんなになってまで、頑張って生きて来たのよね……
出会った頃と比べると思いもしなかったわ
本当に此処まで来てしまったのね……」
今日の看病、もとい、介護をしている紫が桜の頭を撫でながら呟いた
現在の桜の体調は落ち着いていて、静かに寝ているようだ
紫が桜の隣で見ていると、後ろから声が掛けられた
「そうね、此処まで来たわね……」
「来てたのね、霊夢」
「今、来た所よ
様子は、どう?」
現れたのは霊夢だった
桜が心配で来たらしい
紫に桜の様子を聞いた
「今の所は安定しているわ
でも、油断は禁物ね」
「そうね」
霊夢は紫に様子を聞き、安定している事が分かりホッと胸を撫で下ろす
紫とは反対側に座り、桜の髪や頬に触れた
「後……どれくらいだと思う?」
「……後、1週間かしらね
正確な事は分からないけど……そんな気がするわ」
「そう……」
「それよりも……」
「?」
霊夢の勘は1週間と告げていた
普段から霊夢の勘は冴えているので、当たるかもしれないと紫は思っていた
霊夢が何か気になったのか、呟き始めた
「桜の様子は安定してるけど
前からしてみれば……弱々しく感じない?」
「そうね……食事をしなくなったというのもあるけど
後は死を待つだけの者に見えるわ」
「……」
そうなのだ、二人が話していた通りで桜は見た目は変わっていないが纏っている雰囲気が弱々しくなった
紫の言う通りに物凄い辛い時に空元気をする者と同じような雰囲気だった
「本当に……弱々しくなったというか
少し痩せたわね……」
「えぇ……食事をしない、身体を動かせない
10歳に、こんな屈辱的な事は無いわ
口には出さないけど、桜は迷惑を掛けてると思ってるでしょうね
後、申し訳ないとか思ってそうね……」
「迷惑ねぇ~……
全然、迷惑を掛けられてる気がしないわ
寧ろ、もっと頼れって感じよ」
「そうね、もっと頼って欲しいわ
まぁ、それは桜自身の問題だから
私達が言っても無駄だわ
ただ……私達が来る事については否定しない所を見ると……頼ってるとも言えるわ」
「えぇ、この事に関しては同意ね」
「全く……もうちょっと私達を頼りなさいよね」
「本当よ……」
二人は一緒に桜を撫でたりした
その後、霊夢と紫は桜が起きるまで待っていた
起きた後に話し合いをしたりして、その日を終えた
そして、1週間後……
「桜、大丈夫? 寒くない?」
「はい、大丈夫ですよ……」
「そう、なら良かった」
今日は霊夢が桜の傍に居る日だ
これが、運命の悪戯なのか、そうでないのか
どちらにせよ、事態は加速していった
桜は布団の中から手を出して霊夢を呼んだ
霊夢は桜の行動に気付き、声を掛けた
「どうしたの?」
「紫さんを……呼んで来てもらっても良いでしょうか?」
突然、桜は紫を呼ぶように言った
霊夢は首を傾げながら承諾した
これが何を意味するのか、今の霊夢は知る由もなかった
「紫? 良いけど……
一人になるけど、大丈夫?」
「はい……」
霊夢は桜に一人で大丈夫かと聞いた
桜は大丈夫だと告げ、霊夢はコクリと頷いた
「ん、分かったわ
数分程、待っててね」
「はい……♪」
桜は眠そうな表情で微笑んだ
霊夢は眠いのだと思っていた
それから、霊夢はマヨヒガに行き紫を呼んで来た
勿論、帰りはスキマだった
紫は何時もの笑顔で桜に用事を聞いた
しかし、その笑顔も数秒後には消える事となる
「どうしたのかしら、桜?」
「はい、紫さんにお願いがあるんです……」
「ふふふ、何でも言って頂戴な!
何でも叶えちゃうわよ~」
「ふふ、有り難うございます……
お願いというのはですね……」
「うんうん」
紫の「何でも叶える」という発言に桜は眠そうな表情をしながら微笑んだ
桜は少し間を置いて、お願いを口にした
「今まで知り合いました皆さんを……この家に直ぐに呼んで来て欲しいんです……」
「桜……?」
桜の奇妙な発現に霊夢は不思議に思った
しかし、紫には何を言っているのか分かった、というよりも分かってしまった
「桜……貴方、まさか!?」
「お願いします……もう眠くて眠くて……」
桜は眠そうにしながら微笑んだ
紫は大量の冷や汗を出しながら、スキマを開いた
スキマを開いて入ろうとする瞬間に、紫は真面目な表情で霊夢に用事を頼んだ
「霊夢、絶対に桜を寝かさないようにしなさい
これはお願いじゃないわ、命令よ
もし、寝かせたら……二度と目を覚まさないと知りなさい」
「二度と……? まさか!?」
紫に言われて、霊夢は事態の深刻さに気付いた
霊夢は勢い良く桜を見た
桜は霊夢の方を苦笑しながら見ていた
スキマから上半身を出しながら、紫は言葉を続けた
「私は速攻で全員を呼んで来るわ
くれぐれも、寝かさないようにね」
「分かったわ……」
紫は霊夢に桜を寝かすなと伝え、スキマの中に消えていった
霊夢は桜の隣に座り頬に触れた
その手を桜が上から重ねるようにして触れた
「ごめんなさい、霊夢さん……」
「謝らないで良いわ、辛かったんでしょ?
もう終わりって事が……」
「はい……
先程から普段とは違う睡魔を感じまして
これがそうなのだと思いました
不思議と……恐怖はありませんね」
「そう……」
「はい……」
二人が話していたら、空中にスキマが何個も開かれた
其処からは、桜が今まで知り合った者達が全員下りて来た
全員が桜の周りに寄り添った
『桜!』
「ふふ、皆さん……いらっしゃいませです」
桜は全員に対して、最後の「いらっしゃいませ」を言った
それを聞き、中には泣き出す者も居た
全員を代表して、慧音が話し掛けてきた
「もう……近いのか?」
「はい、もう眠くてですね……
持って、30分ではないでしょうか……?」
「そう……か……」
後30分と聞き、慧音は俯いて唇を噛みながら静かに涙を流していた
他の者も同じで、静かに泣いていた
誰一人と泣き叫ぶという事はしなかった
少し沈黙が流れ、不意に桜が語り出した
「私は……」
『……?』
桜の語りに全員が首を傾げた
首を傾げる者達を気にせず、桜は語りを続けた
「私は……呪いを受け継いだ時に……生まれて来て良かったのかと思いました……」
「桜……」
桜の思いを聞いて誰かが桜の名を呼ぶ
そんな呼び掛けも応えず、語りを続けた
「母の思いを否定してしまいますが……自分の生まれて来た理由が分かりませんでした……
ですが……今の私は……生まれて来て良かったと思っています……
だって……こんなにも暖かくて素敵な方達と出会えたのですから……」
『桜……』
桜は微笑みながら語っていた
その語りに全員が更なる涙を流した
「慧音さんを初め……色々な方達との出会いこそが……私の何よりの幸せでした……
私は……ごほっ!ごほっ! ……以前からなのですが……
何方かを好きになるという事をしたくなかったんです……」
『っ!?』
吐血しながらも、桜は話した
桜の発現に全員が驚いていた
しかし、霊夢は知っていたので驚きはしなかった
「皆さんが魅力的ではない……という事ではないんです……
私の能力は……子供に呪いを受け継がせる程度の能力もあるんです……
その所為で私は誰かを好きになれなかったのです……
子供に呪いを受け継がせるなんていう事は……したくなかったんです……
私の代で終わらせたかったんです……」
「でも、それだと……」
桜の思いに霊夢が反応した
そんな霊夢を見て、微笑みながら桜は話し出した
「霊夢さん……前に話しました私の好きな方ですが……」
「今、言うの……?」
『っ!?』
霊夢の質問に桜は返事をした
桜の好きな者が分かると知り、全員が耳に意識を集中させた
「はい……私の好きな方は……
霊夢さん……貴方です……」
『霊夢が……』
「っ!? 私……?」
桜の好きな者は霊夢だった
それを聞き、全員は何処か納得した表情だった
しかし、本人は驚いていた
桜は微笑みながら、続きを話した
「はい……好きという気持ちに気付いたのは……永夜異変の時でした……
霊夢さんが居ないと物凄く寂しくて……辛かったです
それからというもの……日に日に霊夢さんへの愛情が増えて行きました……
何故、この場で伝えるかと言いますと……
私は何れ、呪いで死ぬと確定された身でしたから……霊夢さんを置いて逝ってしまう事が耐えられなかったんです……」
「っ!?」
そう、桜が好きと伝えなかったのは呪いで死ぬからだ
その所為で霊夢を一人にしてしまう
例え子供が産まれても、呪いで死んでしまうので、結局は一人なのだ
それ故に桜は想いを告げなかった
桜の想いに霊夢は静かに涙を流す
「霊夢さん……私は……霊夢さんの事が……大好きです……
こんな……状況で言うのは卑怯ですよね……」
桜は泣いてはいるものの、微笑んでいた
霊夢は桜の想いを聞き、泣きながらだが微笑んで返事をした
「そんな事ないわ……
私も……桜の事が大好きよ……」
「ふふ、有り難うございます……
霊夢さん……最後のお願いなのですが……聞いて頂けますか……?」
霊夢に告白をし、やっとの想いで両思いになれた桜は幸せそうだった
そんな霊夢に桜は願いがあると告げた
霊夢は涙を拭き、桜の願いを聞いた
「何……?」
「……キス……して頂けますか……?」
「桜……
えぇ、勿論よ」
桜の最後の願いとはキスだった
最後だからこそ、霊夢に初めてを捧げたいのだろう
二人は周りに大勢の者が居ようとも関係なくキスをした
キスを終え、桜は全員に最後の言葉を紡ぐ
「皆さん……こんな私と出会って頂いて……本当に有り難うございました
私は皆さんとの日々を決して忘れません……
皆さんとの日々が、とても幸せでした……」
「私達もだ!」
「桜と出会えて良かった!」
「今までお疲れ様……ゆっくり休んでね!」
誰が言ったのかは分からない
だが、全員の言葉には変わりなかった
桜は最後に最も近い者達に挨拶をした
「紫さん……」
「どうしたの……?」
「私と出会って頂いて……有り難うございます……♪」
「ふふふ、お安い御用よ
桜との日々が一番の宝物だったわ」
「はい、私もです……
慧音さん……」
「どうした……?」
紫に最後の別れを告げ、次は慧音だった
慧音は今にも消えてしまいそうな声で返事をした
「あの時……私を助けて頂いて……有り難うございました……
出会って頂いて……有り難うございました……」
「それは言わない約束だぞ……?
だが、桜との出会いが私を大きく変えた
私は異変の時に何もしてやれなかったが、よく頑張ったな
本当に……よく頑張った
だから……安らかに眠ってくれ
桜、お前と出会えて本当に良かった……!」
慧音は笑いながら涙を流して思いを伝えた
桜は慧音の思いに満足そうに微笑んでいた
「はい……♪
魔理沙さん……」
「桜……」
次に声を掛けたのは魔理沙だった
前々から言いたい事があったらしく、桜は言う事にした
「春雪異変の時の看病……有り難うございました……」
「その事か……あれくらいは訳ないさ
お前と出会えた事こそが……最高の恩返しだった
私と出会ってくれて……有り難う!」
桜の言いたかった事は春雪異変の看病の事だった
しかし、魔理沙は看病くらい気にしていなかった
魔理沙には出会えた事が一番だと、泣きながら桜に告げた
「私の方こそ……出会って頂いて……有り難うございました……
最後に……霊夢さん……」
桜は改めて魔理沙に礼を言った
そして、最後に霊夢に別れを告げる
「何……?」
「霊夢さんと出会えて……本当に良かったです……
私と出会って頂いて……有り難うございました……♪」
「えぇ、私も出会えた事を忘れないわ
出会ってくれて有り難う
来世では幸せになるのよ?
絶対に現世で、ふらついてちゃ駄目よ
ちゃんと、成仏すること……良いわね?」
「はい……♪」
「ん、宜しい
また……会いましょう」
「はい……また……会いましょう♪
それでは……皆さん……そろそろ……」
桜は霊夢に別れを告げ、全員にそろそろだと伝えた
それを聞き、全員の表情が更に崩れていく
『っ!? 桜ぁぁぁ!!!』
「皆さん……もし……また会えましたら……仲良くして下さいますか……?」
『勿論よ(だ)!』
桜が、また会えたら仲良くしてと聞いた
それを即答で、全員が答えた
全員の即答を聞き、桜は満足そうに微笑んでいた
「ふふ……有り難う……ございます……
また……一緒に……宴会を……しましょう……ね……♪」
『あぁ(えぇ)(うん)!』
「……♪」
桜は微笑みながら“逝った”
両手を握っていた霊夢と紫が震えながら手を離した
そして、遂には全員が声を上げて泣き叫んだ
『桜ぁぁぁぁああああああ!!!!!!
嫌ぁぁぁあああああ!!!』
「桜……ああああああああああ!!!」
全員が何分、何十分、何時間と泣き続けた
少し悲しみが治まると、大勢の中で二人が突然立ち上がった
その二人とは、こいしと諏訪子だった
何故、立ち上がったのか
それは、この場にいる全員が許せない理由だった
二人は涙を拭くことさえもせず、玄関へと向かおうとした
しかし、二人の腕を別の二人が掴んだ
「止めなさい、こいし」
「止めろ、諏訪子」
「何でよ!」
「どうして止めるのさ……
あいつらは桜の事を!」
「どうしたの……?」
二人が騒ぎ出し、周りも何事かと注目していた
其処へ霊夢が「何があったの」と聞きに来た
こいしと諏訪子は怒りの表情で叫んだ
「人里の心の声が聞こえたんだよ!」
「それも……殺してやりたい程の心の声が!」
怒っていた理由は人里の者達にあったらしい
二人は人里の者の心の声を聞いてしまい、怒っているのだ
それを聞き全員が驚いていたが、次第に怒気が溢れた
『っ!?』
「何て……聞こえたの?」
その中で霊夢だけは怒ってないような感じに見えた
しかし、それは違っていた
霊夢の質問に対して、二人は聞こえた声を言った
「『やっと死んだか、呪われた子め』」
「『死んで良かったわ、呪いが移ると思うと夜も眠れやしない』」
「『死んで清々したわ!』」
「『やーい!やーい!ざまあみろ!』」
『っ!?』
二人の聞いた声は酷いという言葉では表せなかった
寧ろ殺してやりたいだろう
例え温厚な諏訪子でも、こればかりは許せる筈もなかった
「これがそうだよ……
こんなのが許せる筈ないよ!」
「そうだよ……いくら私が神だからと言っても
こんなの我慢出来る訳ないじゃないか……!」
「だがな!」
「それでも、止めなさい!」
「でも……!」
四人が言い争っていると、霊夢が玄関へと歩き出した
それを慌てて紫が止めた
二人の行動を全員が注目した
「何処へ行く気……?」
「今の言葉を言った奴を……殺しに!」
霊夢の殺気混じりの言葉は場の空気を重くした
それを受け、殆どの者が膝を付いていた
しかし、紫だけは立っていた
紫は霊夢に止まるように言った
「……止めなさい」
「断る」
「止まりなさい……!」
「退きなさい……例え紫でも容赦しないわよ?」
霊夢の殺気が更に濃くなり、本気と警告した
しかし、紫は退く所か霊夢にビンタをした
場の雰囲気が重さから解放された
「目が覚めたかしら……?」
「……殺す」
「霊夢……桜はね……人里の者が好きなのよ」
「何を言って……」
突然、紫は語り始めた
それを、訳が分からない表情で霊夢は聞いていた
「桜は例え人里の者達に嫌われようとも、好きだった
この幻想郷だからという理由もあるでしょうけど、好きだった
私の言いたい事が分かるかしら? 私が言いたいのは……
人里の者達を殺したら、桜の思いを否定する事になるのよ?」
そう、桜は例え嫌われようとも人里の者達が好きだった
紫の言う通りに幻想郷が好きだからとも言えるだろう
それを聞き、霊夢は驚愕していた
「っ!? 桜の思いを……否定……」
「そう、殺しは桜の思いを否定するのよ
確かに今のを聞いて、私も私情で殺したくなったわ
でも、私は幻想郷の創造者でもある
そして、何より……桜の思いを否定したくないわ
だからこそ、我慢しなさい
辛いのは分かるわ、けど、それは全員が同じこと」
「……分かったわよ」
「分かってくれたようで、何よりよ
それじゃ、皆……取り敢えずは……」
『良くぞ、怒りを我慢した、博霊の巫女よ』
『っ!?』
紫が全員に指示を出そうとした時に声が聞こえた
それは……間違いなく呪いの神だった
全員が驚愕し、慌てて探すが姿が見えなかった
しかし、その数秒後に桜が宙に浮いた
『桜!』
桜は一定の高さまで上ると止まった
そして、行き成り光の球体が現れた
全員が眩しさに目を瞑った
『眩しい!』
光が止むと、其処には空中で座っている呪いの神が居た
そして、全員が目を開けて呪いの神を見た
『お前(貴方)は!?』
全員が驚きの表情に包まれた
呪いの神の正体とは……
どうでしたか・・・?
桜ァァァあああああああああああ!!!!!!!
とうとう・・・桜が・・・(゜д゜)
次回は呪いの神の正体が遂に明らかになります
そして・・・
でわ、また次回に><




