第97話 『変化と桜』
どうも、神夜晶です
今回は桜が動かなくなるまでの話となっています
でわ、どうぞ。。。
あれから、数日が過ぎた
あの後に桜は目が覚めて、霊夢に礼を言って送ってもらった
それからというもの、身体が鉛のように重くなる一方だった
それでも、桜は家事などする事を止めなかった
「ふぅ……昼食を作るのも一苦労ですね
少しでも気を抜きますと、お箸でさえも落としてしまいますからね」
そう、桜の状態は最悪になりつつあった
料理を作る者が最も恐れる事は調理器具を持てない事だ
桜にとっては最悪の一言だった
しかし、桜本人は最悪とは思っていなかった
「これは、お母様も通った道です……
決して弱音を吐きません!」
と、俄然やる気が出ていた
桜がやる気に満ち溢れていると、扉を開けて誰かが入って来た
「あ、また料理してる
身体が動かなくなってくるんだから、余り無理したら駄目よ?」
「は、はい……
ですが、お昼御飯は作りたくて……」
「その気持ちは分からないでもないけど
一歩間違えれば、怪我するのよ?
桜の身体に痣なんて付いて欲しくないわ
せめて、誰かが居る時に料理をしなさい
良いわね?」
「はい……」
「ん、分かったようで宜しい
そんなに落ち込まなくても料理をするなとは言わないから
それじゃ、お昼を食べるとしますか」
「はい、霊夢さん♪」
やって来たのは霊夢だった
あの日から誰かしらやってきては夜まで過ごすのだ
それは前から話し合っていた、家事が出来る者達が来るという事だった
最初は桜も驚いていたのだが、話し合いの事を思い出して納得していた
それから二人は昼の準備を終えて、一緒に食べ始めた
「「いただきます!」」
「ん、美味しい」
「ふふ、有り難うございます♪」
「まぁ、何時もの事だけどね」
「ふふ、そうでしたね」
「そうよ」
二人は楽しく話しながら食事を済ませた
それから、二人は世間話などをしていた
桜は前から気になっていた事を聞いた
「あの、霊夢さん」
「ん、何?」
「私の家に来て下さる方は決まってるのですか?」
桜の気になっている事とは来る者が誰かだった
霊夢は桜の質問に小さく「あぁ」と呟きながら、懐から紙を出した
「これが家事が出来るやつのリストよ
来る日は決めてないけど、これ全部が来るのよ」
霊夢は桜に紙を渡した
桜はリストアップされた紙を見た
リストには仲が良い大勢の者達の名前が書かれていた
「こんなに大勢の方が……」
「えぇ、紫に言って調べてもらったわ」
「紫さんに感謝しなくてはいけませんね」
「そうね、その事に関しては感謝してるわ
そのリストを作ったの1日と掛かってないからね
まぁ、その所為で疲れてたけどね」
紫は能力をフル活用して、1日で済ませたのだ
久々のフル活用に物凄い疲れたんだとか
それを聞いて、桜は少しばかり驚いていた
「そ、そうなのですか……
今度会った時に、お礼を言っておかないとですね」
「そうしてあげなさい」
「はい♪」
桜は次に紫と会った時に礼を言おうと決めた
それから、更に数日後の事だった
何時もと変わらぬ日常を桜は過ごしていた
桜が掃除をしている時だった
突然、力が抜けて地面に倒れてしまった
不幸中の幸いなのが、立っている状態ではなく
膝を地面に付けて掃除をしていた状態からだった
桜の力が抜ける時が来てしまったのだ
「こんなにも早く訪れるとは知りませんでした……
ですが、どうしたら……」
桜は身体が動かす事すら出来なかった
手を動かせたとしても、普段から力が足りない桜には起き上がる事は不可能だった
桜は為すがままに倒れている状態が続いた
そんな時だった、今日の担当している者が現れた
今日の担当者とは……
「桜……? 大丈夫か!?」
「はい……慧音さん……」
今日の担当者とは慧音だった
買い物を済ませた後なのか、買い物袋を落として桜に近付き身体を起こした
「何があったんだ!?」
「霊夢さん達から聞いてらっしゃるとは思いますが……
動けなくなる時が来たみたいです……」
桜は慧音に動けなくなったと告げた
それを聞いた慧音は、驚愕から悲しみの表情へと変わった
「っ!? もう……来たのか」
「そうみたいです……」
「くっ……取り敢えずは永遠亭に運ぶぞ
少し揺れるが我慢してくれ」
「はい、お願いします……」
慧音は桜を抱き抱えて、急いで永遠亭へと向かった
永遠亭へと着いた慧音は、真っ直ぐに永琳の居る診察室と駆け付けた
「永琳、桜が倒れた!
急いで見てくれ!」
「っ!? 分かったわ!
其処の診察台に寝かせて頂戴!」
「分かった!」
慧音は永琳の指示の元、診察台に優しく寝かせた
永琳は寝かされた桜の身体を隅々まで調べた
数十分後に調べ終わり、永遠亭の全員と慧音を含めた4人に結果を言った
「原因は……不明ね」
「ちょっと、永琳……」
永琳の口からは不明という言葉が出た
不明という単語に輝夜がムっとした表情で永琳に何かを言おうとしたが、永琳が更に説明を続けた
「最後まで聞きなさい
全身の筋肉は正常に動いているのだけれど
何故か力が出せないって事よ
恐らくだけど、呪いによる効果で力が出せないと思うの」
永琳の予想は当たっていた
全身の筋肉が動かなければ、喋ることも手を動かすことも出来ないのだ
だからこそ、呪いの神が意図的にそうしたのだろう
「それって……」
「単なる嫌がらせじゃない……」
呪いによる効果と知り、約2名が怒りを覚えていた
その2名とは、鈴仙と輝夜だった
鈴仙は悲しみの表情、輝夜は怒りの表情だった
「けど、どっちにしても……
桜は二度と歩く事は出来ない……」
そんな二人に対して更なる追い討ちを掛けるように、永琳が悲しみの表情で歩く事は不可能と告げる
その場に居た三人が絶望の表情に変わった
内一人は桜の方を向き悲しんでいた
「そんな……」
「桜……」
「良いんですよ、慧音さん……
こうなる事は母の時から知っていたのですから
ですが、少し残念ですね……
皆さんに、二度とお食事を作れない事が……」
「くっ……桜……」
桜は微笑みながらも涙を流し、自身の気持ちを全員に聞かせた
慧音は涙を流しながら、血が出るほどに拳を握り締めていた
他の四人は無言のままだった
それから、永琳による診察が終わった
桜は慧音に抱き抱えてもらい、人里に向かった
しかし、桜は寄りたい所があるみたいで、慧音に伝えて飛んでもらった
その場所とは……
「矢張り……伝えるのか?」
「はい、伝えないと怒られてしまいますからね
それに……霊夢さんに隠し事はしたくないんです」
桜が寄りたいのは霊夢が居る博麗神社だった
霊夢に対する色々な感情が大きく膨れ上がっていく桜が居た
それを聞き慧音は苦笑していた
「そうか……
(桜、そんなに霊夢の事を……
そういう事に関しては、私から余り言うつもりはないが……
霊夢よ、桜の事を泣かしたら許しはしないぞ!)」
慧音も慧音で桜の恋に関しては少しづつ変わって来ていた
しかし、過保護のには変わりなかった
慧音は桜を抱き抱えて縁側へと向かった
其処には、のんびりと茶を飲む霊夢が居た
二人を見て霊夢は目をパチクリさせて少しだけ驚いていたが、すぐに直り声を掛けた
「あら、桜から来るなんて珍しいわね
何かあったの?」
桜が来た事により、霊夢の表情は少しだけ浮かれていた
しかし、浮かれた表情も長くは続かなかった
桜は慧音に縁側へと下ろしてもらい、身体を支えてもらって霊夢と向き合った
「霊夢さん、私は……」
「……どうしたの?」
霊夢は桜の様子を見て何かあると悟り、真面目な表情となった
桜は次第に身体が震えていき、気付けば正座をして握り拳をしている手の平に涙が落ちていた
「私は……動けなく……なってしまいました……」
「……え?」
「先程……急に倒れまして……
永琳さんの所に行って見てもらったのですが……もう歩く事は不可能と言われました……」
「……」
「……」
霊夢は突然の出来事で信じられなかったが、慧音の方を見て確認を取った
慧音は霊夢の意図が分かったのか、目を瞑り無言で首を横に動かした
霊夢は俯いて溜め息を吐きながら立ち上がり、桜へ近付いた
そして、桜を抱き締めて優しく語り掛けた
「ごめん、傍に居れなくて……」
「いえ、良いんです……」
「それでも……ごめん……」
「……少しだけ欲を言いますと、歩く事が不可能と知った時に居てほしかったです……」
「うん……うん……」
二人は長い間、抱き合っていた
声は上げなかったが、静かに泣いていた
その後に桜は霊夢と別れを告げた
慧音は二人の邪魔をしないように鳥居の方で待っていたらしい
その夜は桜が寝るまでの間、慧音が付き添っていたようだ
桜は慧音に感謝しつつも、申し訳ない気持ちで一杯だった
どうでしたか・・・?
霊夢との悲しむ場面の表現が上手くいきませんでした。。。
申し訳ないです;;
でわ、また次回に><




