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高校生日記  作者: 周防涼白
2012年
60/67

Aさん物語~吾野綾乃編~第13~21話

とりあえず完結させるために投稿していきます。


2013年に書いたころのまま投稿します。

2013/08/23_Fri_第17話


下らん説明……訂正、大変、為になる先生方からの御説明の後、旅館へ帰るので生徒達はバスへとぞろぞろ長蛇の列を成していた。参るわー。


むにゃむにゃと欠伸を噛み殺しながら、私もその列へと加わる。早くバスでまた眠りたいなー。


周りの女子と先程の模擬試験、面倒だったよねー、とかガイダンス要らねーよだとか其のようなことを話しながらゆっくりと進む。


意識を町の方へ向ける。


少し閑散とした雰囲気があるけれど、逆に静かな所でしか味わえないような趣深いモノを感じる……気がする。


何処かの民家から聞こえてくる風鈴の音だとか……季節的にはまだ早いかもしれないが……小さな虫の音、樹々のざわめき等々。


私の住む街もけして都会だーとは言えないけれども、ある程度発展していて、車の行き来が多く、本当に静かな時はあまりないのではなかろうか。だからなのか、此の町に居ると、なんだかおだやかな気持ちになれる。


でも、此処を田舎、と表現しても良いのかなぁ。昔は石炭だったかなんだったかで栄えていた筈なんだけど。あれ、重化学工業だったかな?


まぁ、需要と供給だとかの影響で、今現在では廃れてしまっているのだけれども。若い世代は都会へ出稼ぎに、年寄り達は町に居残って。


少子高齢化だとか過疎化だとか、其のような言葉に憑き纏われていることは、世知辛いモノですなぁ。


私の住む町も隣街の政令指定都市も、終いにはこの国さえも緩やかに退行していき誰の記憶からも忘れ去られてしまうのかなぁ……なんて。


ポエムのような感じがして実に小っ恥ずかしいですね。あーやだやだホントにもー。パタパタと手で顔を扇ぐ。




バスの座席は既に固定されているので、蒼太が隣に座る訳でして。先程から、私の乙女チックな部分が刺激されていた訳でありまして。


只今ニヤニヤが止まりません。


窓の枠に肘つけて口許を隠しているから誰にも暴露てはいない筈なのだけれど、如何にも安心出来ない、よりか、そわそわする。


矢張り、蒼太が隣に座っていることが、私をドキドキさせることに拍車を掛ける。嗚呼、青春の日々よ……。


「蒼太はさ、模試の手応え如何だった?」


話を振る事にした。ただぼーっとしているのはなんだか勿体無い気がして。


「ん? んー……そうさな、まずまずの手応えと言ったところかな」


「とか言っちゃって」ジト目で見つめる。視線が交錯する。「本当は点数、めっちゃ良かったんでしょ?」


「なんだい? その眼は……まぁ当たらずとも遠からずという処かな」


そうしてニコリと微笑む彼。キラリと輝く白い歯。なんだかとても、もドやキもドやキします。


2013/09/04_Wed_第18話


バスに揺られる事、数十分で旅館に戻った。其れ迄の間はずっと蒼太と話していた。


どのような下らない話題であろうと、蒼太の口から紡がれる話は面白く感じられた。


部屋に戻り栞を眺めると、あと三十分後に夕食が始まると書いてあった。


特にする事もないし、お土産コーナーに立寄り、そのまま夕食に向かう事に決定。




お土産コーナーでは、同じ事を考えていた人も居たようで賑わっていた。私は石炭飴という黒光りしている飴を購入することにした。


お手頃価格だったし。渡す相手は家族にだけ。蒼太に何か買っても良いかと思ったが、同じ旅行先なので辞めておいた。


食堂には私と同じように、お土産袋を下げている人がチラホラ見られた。


「ご当地もっこリンゴ〜メロンver〜」という頭部がメロンの人型のお人形を買っている男子が多かった。


リンゴなのかメロンなのかツッコミたくなった。初めはリンゴが特産の県から展開していったお土産なのらしい。


其のもっこリンゴは陰部が『もっこり』していて、陰部を引っ張る事が出来る。


そして手を離すと、全身がブルブルと震えながら陰部が元の位置に戻るというお人形なのだ。


数人の男子達は大変ニコニコしながら、何度も何度も陰部を引っ張り全身を震わせる事で、悦に入っていた。


マジ曳くわー。


其れを恍惚とした表情で眺めている女生徒が居て、更に私を曳かせる事となった。


マジ曳くわー。


して、恍惚とした女生徒はもっこリンゴを購入したそうな。


マジ曳くわー。


…………○


夕食後に体育館に集合し、何が始まるのかと思いきや、校歌斉唱だった。


しかも、クラス対抗戦で、最優秀クラスには景品という名のお菓子が贈与されるらしい。


コーユーのはクラスの皆でとか、其のようなのがないと盛り上がれないよね。景品がお菓子というのもプラス補正。


……まー、結果を言ってしまうと、十クラス中の四位となんとも微妙な順位であった。


反省会では昨日同様に隠し芸大会が開催され皆笑顔で二日目の行事は全て終了した。




女子部屋では寝不足に加えて模試が重なり、殆どの女子はグロッキー状態だったので、夜更かしはなかった。


こうして、宿泊研修二日目は終わろうとした。



だが、まだ終わらなかった!



突然、世界から音が消え失せる。


誰もが動かなくなる。停止する。


あぁ此れは悪い夢なのだ。


私は慌て部屋から飛び出す。パジャマのままで。


上へと続く階段まで駆け足すると、矢張りと言うのか、彼……蒼太が此方を視ながら佇んでいた。


2013/09/08_Sun_第19話


不可思議な体験である。


『時よ止まれ』の合言葉は、日本の作品群には時たま見られると思う。週刊誌で連載している漫画とか。


エロ同人とか……いや、別に私は見ている訳ではないですよ。フラッシュの広告とかで、極々稀に目につくだけなのですよ。


私は悪くない。

私は健全です。

私は悪くない。



で、時間停止の類は如何なっているんだろうね。地球の自転や公転とかにも作用しているのかね。


作品、物語だから……なんて言い訳は通用しないよ、今現に此の様に目の前で起きているのだから。


なんかのライトノベルで読んだ結界説は中々有力なのだろうか。


ある一定の空間に於いて結界が構築され、其の中の事物は全て運動を停止される。結界の外ではなんら変わらない日常が流れている……的なヤツ。


主人公ズが結界内で悪役と戦うやうな恋愛バトルモノ。終いには結界の外でバトったりして、世界系へと発展するんだよな此れが。


じゃあ、其の結界の下は如何なってるの。結界は直方体なんだろ、地下や上空にも作用するのか? とかね。




まさか、全宇宙が停止とかないよね。荒唐無稽すぐるぜよ。


まぁ、此の様な事を考えたにせよ、所詮、此の手記の様な日記のような、ただのダラダラと駄弁り自体が無駄そのものであり。


そして、其処……私の手記……に真実味が在るのか無いのかと問われたとしたら、曖昧な応えしか返せないだろう。


真実とは其の人自身の価値観でしか決められないのだと思う。


どれほどマスメディアが、此れこそが真実であると発表し其れを数万の人が正しいと賛成したところでも、私が否定しまえば、其の時点で私の中では虚に成り果ててしまうであろう。


逆もまた然り。


私が、此れこそが真実であると宣言しても皆が否定してしまえば、其れは私の妄言に成り下がる。


真実なんてモノは存在しない。


私が、自分が決定するモノこそが真実なのである。


だから、若し仮に誰かが此の手記を読み書かれている事を嘘だと感じるのだとしたら……と言っても未来永劫、誰にも見せるつもりなど更々ないのだが……其れはウソになる。本当だとエッセイだと感じたならば、ソウなるのであろう。


だから、という表現で合うのかどうかは分からないけれど、だから、此の時が止まる現象については話半分程度に聞き流してもらっても構わない。


だが、憶えておいて欲しい事は、私が体験したという事実は紛れもなく存在し、そして、存在し続けるという事だ。


否定してもらっても構わない。君がソウ結論を下したのであれば、私から言う事などなに一つないのだ。


2013/09/14_Sat_第20話


今宵は月が視えるかな。


彼は微笑む。


「今晩は」


はい、こんばんは。行成じゃないかい? 今正に寝入る処だったのに、此の様な呼び出しをするなんて、マナーが成っていないよ君。


私はパジャマにパーカーを羽織っただけの姿だった。むむむ今更ながら思うけど、夜中に女子が薄着で殿方の前に現れるのは如何なモノなのか。


「まあまあ、ソウ言わんといて下さいよ。……其れより今宵の月はもう観てしまったのかな? とても綺麗な満月だよ」


其れは何よりですね。まさか、其の為だけに、なんて事はないですよね……?


若し、ソウなのだとしたら、なんて言うのか、コウ……子供っぽくね。自分の思った事を伝えたがる。


「ん? 其れだけだけど」


マジか……。


踊り場に設置されているヤケに縦長の窓から月明かりが差し込んでいる。見上げると確かに大きな真ん丸お月様だった。常夜灯は必要最低限の灯で脚元にしかなく、館内は暗い。其のお陰で月明かりの道標ははっきりと出来ていた。


「綺麗なモノや美しいモノ、趣深いモノを好きな人と共有……よりか一緒に感じられるのだとしたら、其れは本当に嬉しい事だなって」


思えるんだ、と彼の声が続く筈なのだが、何故かフェードアウトしていく。世界が遠退いて行く。


彼はとても重要な言葉を発言した筈で、其れを聞き返そうとするも、声は掠れて出やしない。


もう、お仕舞いなのかい……。


…………○


朝。気付けば布団の中だった。友達曰く、昨夜の私は真っ先に眠ってしまったらしい。うーん? なんだか釈然としないなぁ。


あゝ宿泊研修三日目と成ってしまった。今日の行程が終わると、後は家に帰ってしまう。


なんだか名残惜しく感じる事と共に懐郷の念が抑えられなくも感じる。詰まる所、ホームシックですわ。


此の食堂とも今回の朝食で最後に成ってしまう。元が学校であったからなのか、直ぐに気に入っていたというのに。


朝食を食べ終えた後、荷物を纏めバスに詰め込んだ。本当に、もう、帰るんだなって意識させられる。


昨日受験した模擬試験の会場へバスで移動。またナニカ良からぬ事が始まるのかと思いきや、唯の講演会だった。


共同体とはナニカ。

社会進出とはナニカ。

生きる事とはナニカ。

助け合うとはナニカ。

私とはナニカ。

貴方とはナニカ。

恋愛とはナニカ。


エトセトラエトセトラ。話の流れは現代の日本から社会福祉の様な事、人として生きる事、好きな人が出来る事、結婚する事、赤ちゃんが出来る事の流れだった。


まぁ、思春期男子は性欲を持て余しているだろうから、其処んとこ注意せんといかんですよー、って事だろう。女の子も、男の子も。


在学中に『出来ちゃった☆』ら大問題だろうしね。


2013/09/28_Sat_第21話


てか、何時の間にか『共同体について』から『性教育』にシフトチェンジしていたのね。やりおる。


最近は「出来婚」なるできちゃった婚というのも、ままあるし。酷いのは堕胎、人工妊娠中絶してしまう事だよね。


小中高で男教師と女生徒で愛が芽生えた、とか、兄が妹に欲情して、だとか、其の様な理由なんて聞きたくない。


女の子は軽はずみで男の人を許してはいけないし、男の子も生、生! と馬鹿の一つ覚えのように連呼しては駄目なのだ。


生命とはもっと尊いモノで有るべきなのに。


……世の中にはずる賢い女も居たもので、今日は大丈夫な日だからと言って、子を孕ませ、男に責任をとらせる。マジパネェです。


まぁ現実問題お相手が居なければ話にすらならないのだけれどね。……世の非リア充の諸君、甘い言葉に騙されるなよ。


ヤリ手の男にも注意しなければならないよね。酒を呑ませて酔わせる、そして喰らう。最低最悪の下劣な行為だね。


あと、自分は何人もの女とヤった、落としたなどと自慢する男。全然格好良くないから。ヤリツィン大統領だと嬉しいのですか、そうですか。


講義? が終わった後は感想を書かされた。自分が社会進出するとしたら……なりたい職業とか結婚についてだとか。


其の様な事を調査して何になるのだか。


…………○


午後になった。

場所は遊園地。

町興しの一貫で造られたらしい。


我々生徒諸君にとっては嬉しい限りですな。此の様なサプライズがあるなんて!


宿泊研修なのに模擬試験をやりーの、講話を聞きーのなんだ此の高等学校は、と思い始めていましたが、矢張り生徒思いな処もありますよね。


……若し此のまま講話を聞いて帰宅だったとしたら、其れはなんて嫌な事なのでしょうか。


まぁ遊園地です。気になるあの人と仲良くなるチャンスですよ。ワクワクテカテカ。


右隣りへ視線を移せば蒼太と眼が合い、微笑みかけられる。此方も微笑み返す。


つい、口許がニヘラッと緩んでしまうのを堪えなければいけませんね。


集合時間は午後四時。およそ三時間程は自由に遊べるようだ。


若い出席番号から六人ずつに分けられ、六人班が五つ五人班が二つ形成された。


私と蒼太は出席番号が隣同士という事もあり同じ班に入れた。……此処で別々の班になっていたら絶望していただろうね。


私達の班は男子四人に女子二人。ちょっとバランスが悪いかもしれないけれど、問題ないでしょう。


さぁ、早速楽しむぞ!


やっぱり、遊園地と言えば………………観覧車!

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高校生 日記
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