エロ男♡地獄変
下ネタです。
苦手な方はご遠慮ください。
出会い系サイトで知り合った彼女と、むふふ。
浴室のシャワーの音を聞いて、俺のテンションは上がる。
バスタオル一枚を身体に巻いて、浴室から彼女が出てきた。
ゆるくウェーブのかかった栗色の髪が肩にかかり、少し垂れ目の熱っぽい瞳。その下にあるな泣黒子がなんとも官能的だ。小柄なくせに胸は大きく、さりとて引き締まるところはきちんと引き締まっている。
彼女を頭のてっぺんから、つま先まで一瞥し、俺は生唾を飲み込む。
いい女である。
「もう、裕一郎さんたら、あんまり見ないで。恥ずかしいわ」
恥ずかしそうにベッドに浅く腰かけ、美咲は背を向けた。
男がそんな彼女を背後から抱きしめ、耳に、項に、愛撫を重ねると、たまらずに彼女は喘ぎだした。
バスタオルを剥ぎ取り、彼女に馬乗りになる。
高鳴る鼓動……。
高鳴る鼓動……? うん?
し…心臓が痛い。
半端じゃない。
耳元で彼女がヒステリックに男自分の名前を叫んでいるのだが、耳鳴りがしてそのまま視界が霞んでいった。
気がつくと、俺は霧の立ち込めた湿地にいた。
一艘の小舟が岸につけられていて、汚い格好をした小男が既に乗り込んでいる。
「さあ、あんたも乗りな」
舟が軋んで悲しげな音を立てた。
「なあ、教えてくれ。ここはどこだ?」
小男が不気味な笑みを浮かべる。
「ここかい? ここは三途の川だ。死人はみんなこの舟にのって川を渡っていくんだよ」
「ってことは、俺はもしかして死んだのか? 」
「ああ、そうだよ。出会い系サイトで知り合った美咲ちゃんとHの最中にな。いわゆる腹上死ってやつだ。男冥利に尽きるぇ。きひひ」
小男が卑猥に笑う。
「なんでお前が美咲のことを知っているんだ?」
「ほうれ、この水面を見てみい。お前の人生がここに映し出されておるじゃろうて」
ゆらゆらと揺れる水面に俺の顔がたくさん映っている。
あれは子供のころの俺、ははっ。情けねえ。小学1年生の運動会でお漏らししてらぁ。これがきっかけで、俺は小便小僧という不名誉極まりないあだ名をつけられたんだっけ。
「ところでお前さんは善人というほどよい事もしとらんし、悪人というほど悪い事もしちゃいねえな」
川に竿をさしながら、小男が呟いた。
「お前さんはちょっとあそこの茂みに生えておる果物の中から、どれか好きなのをもっていくがいい」
小男が舟を茂みに寄せた。
近づくとそこはまるで小さな森のようだった。
しかしそれはよく見ると森ではなく一本の木が、枝を広げてトンネルを作っているのである。しかもその木にはありとあらゆる果物がたわわに果実を結んでいた。
「果物のウェルカムサービスってか? なかなか気がきいているじゃないか。あの世ってのは」
俺は数ある果物のなかから、生前好きだったバナナを選んだ。
「じゃあ、わしの役目はここまでじゃ。達者でのう」
そういって小男は岸に小舟をつけると、俺を舟から降ろした。
水面に竿をさし、ぎぎぎと音を立てて舟は遠ざかっていった。
「あら~彼氏、いらっしゃーい♡」
出迎えたのは鬼だった。
さすがあの世、まぎれもなくこれは昔話仕様の鬼だった。
「っていうかぁ、彼超可愛くない? 私好みだわ~♡」
そういうと、2m近くある鬼が俺の耳に息を吹きかけてきた。
生臭くて、この上もなく不快だ。
「もう! ちょっと剛鬼ったらぬけがけよ。ずるいわ」
もう一方の鬼がぷりぷりと怒り出す。
「剛鬼なんてむさい名前で呼ばないで。ここではキャサリンな・の♡
あんたこそ何よ、炎獄鬼。イケメンの男の子にデレデレして。ほんとムカつく」
「炎獄鬼ですって? あたしはここではリンダなの。ちゃんとリンダって呼んでちょうだいよね。これだから年増は嫌よね。もう痴呆がでちゃったのかしら」
「まあ…その減らず口今すぐ叩けなくしてさし上げてよ」
剛鬼ことキャサリンはぶんぶんと金棒を振りまわした。
「ええ、望むところよ。その喧嘩買ってさし上げるわ」
炎獄鬼ことリンダは口を開き、激しい炎を吐きだした。
キャサリンでも、リンダでも、なんしか俺はとにかく胸毛の生えた生き物は嫌なんだ。
しかし、しかしここは生き延びるため……ってもう死んでるのか俺は。
「キャサリンさんもリンダさんもお二人ともお綺麗ですよ。ところでここはどこなんですか? 僕はこれからどうなるんでしょう?」
必殺! 営業イケメンスマイル。
「まっ、お綺麗だなんて」
キャサリンとリンダが同時に頬を染める。
っていうか両方とも赤鬼なんだけどね。
「彼氏はこれから閻魔大王さまの審判を受けるのよ。それによって地獄にいくか極楽に行くかを決定するの」
通された広間に鎮座する閻魔大王はなんだか、濃い顔だった。閻魔帳をめくる手の小指が気のせいか立っている気がするんだけど。
「彼氏はぁ、う~ん中途半端なのよねぇ。特別に善人というわけでもなく、悪人というわけでもない。強いて罪と言うのなら、彼氏はぁ、人よりちょっとエッチなことくらいかしら?」
小首を傾げて頬に人差し指を当てて思案している。
「ねぇ、キャサリン、リンダ。どうしよっか?」
「もう、閻魔大王さまったら♡こんな時は……むふふ」
「そうですわ。あれです。きゃっ♡リンダ恥ずかしい」
キャサリンとリンダは掌で顔を覆い、激しく顔を横に振っている。
すいません。外見そんなに厳ついのに、クネクネしないでください。視界の暴力です。
そんな言葉が浮かんだが、痛い目にあいたくなかったので飲みこんだ。
「彼氏、三途の川の水先案内人が言っていたものを持ってきたぁ?」
「ええ、あっはい。これですか?」
俺は先ほど持ってきたバナナを閻魔大王に見せた。
閻魔大王が咳払いをする。
どうやら仕事モードに切り替えたらしい。
「お前が生前に犯した罪は、人よりちょっとエロいという軽微なものだ。地獄へ行く前にひとつお前にチャンスを与えよう。そのバナナを私の前で自分の尻の穴に入れてみよ。全部入ったら、お前を極楽に行かせてやろう」
俺は腹を括り、パンツを脱いだ。
「裕一郎君のいいとこ見てみたい♡あっそれいっき、いっき……」
いっきは無理だが、俺はバナナを全部入れることができた。
すると、天から一条の光が差し込み、するするとお釈迦様の手が降りてきた。
俺はフルチンのままそのお釈迦様の手に乗っかった。
沼の向こう岸から、第二の男が舟に乗ってやってくる。
「じゃあな、わしの役目はここまでだ」
第二の男が岸に降り立った。
今度は手にリンゴを持っている。
「ではそれをお主の尻の穴に入れてみよ、全部入ったらお前を極楽行きにしてやろう」
閻魔大王の条件をのみ、第二の男はパンツを脱いだ。
「やだぁ、ちょっとリンゴはきついって」
「彼氏がんばってぇ~♡」
――――気合いだ。気合い……がんばれ! 俺――――
第二の男が何とかがんばって、リンゴを半分まで入れたときだ。
第二の男がいきなりぷっと吹き出した。
その拍子にせっかく半分まで入れたリンゴがころりと落ちてしまった。
「アウトー!」
閻魔大王が胸の前で腕をクロスさせた。
「彼氏残念だったわね、あなたは地獄行きよ」
「でもどうして途中で笑ったの?せっかくもう少しで極楽に行けたのに」
鬼たちは不思議そうに首をかしげた。
第二の男は沼のほうを指差した。
水先案内人に連れられて、第三の男が岸に向かっていた。
男は手にパイナップルをもっていた。