クァンタムズ設定資料集①:Phase.5(中東編)終了時点
「クァンタムズ ~量子の子ら~」の本編をより深く楽しみたい方向けの設定資料です。
読まなくても本編の進行には影響ありません。
また、Phase.5までのネタバレを含みますので、ここまでの本編を読んでいただいてから読んでいただければ幸いです。
本編はこちらになりますので、よろしくお願いいたします!
https://ncode.syosetu.com/n2234mx/
【世界観】
この「西暦」の世界の並行世界である「正歴」と呼ばれる世界が舞台。
非常に近い並行世界である「正歴」の世界では、「西暦」の世界とほぼ同じ出来事が起きていた。戦争、貧困、社会の分断…。しかしひとつだけ異なっていたのは、量子コンピュータ「インフィニティ」が実用化され、可能性の種が撒かれていたことだった。
この物語は、最強の量子コンピュータ「インフィニティ」とともに育った少年少女達が、この世の理不尽に正面から立ち向かい、和解しともに歩むことが出来る未来を信じ、あがき続ける物語である。
【主要人物】
<ゼクウ・ディラック>
・年齢:17歳(Phase.1時点)、19歳(Phase.5)
・外見:
アインシュタインのようなボサボサに伸びた青みがかった灰色の髪、挑戦的で不敵な笑み、母から譲り受けた白衣がトレードマーク
・立場:
主人公。インフィニティの管理と改良を行うエンジニア。クァンタムズのリーダー。
・生い立ち:
量子コンピュータ「インフィニティ」の産みの親、イザベラ・ディラック博士と、 禅宗の沙門(出家修行者)の皆空の間に産まれた「量子の子」。ゼクウの名は仏教用語の「色即是空」からとって名付けられた。二人が旅客機の事故で亡くなった後は、ラファエルを後見人としてデータセンターに住み、インフィニティの改良に尽力している。
・性格:
母が遺したインフィニティの無限の可能性を信じており「不可能だ」「無理だ」という言葉が大嫌い。その言葉を聞くと逆に闘志が湧く。沙門の父の影響で、善悪や世俗的な価値観に全く執着がなく、分け隔てなく全てを等しく受け入れ、善悪にもあまりこだわらない緩い性格である。相手が誰であろうと同じ人間として友人のように接するので、敬語が苦手で馴れ馴れしいところがある。
・特徴:
量子コンピュータ「インフィニティ」の専門家。世俗的な価値観や常識に縛られないために、常識の枠を超えるとてつもない発想で困難を乗り越えてゆく…。
・好き:量子コンピュータ「インフィニティ」、クァンタムズの仲間たち
・嫌い:可能性を否定する全て
・Qコード(クァンタム・コード、量子ラウンジにアクセスするパスコードの梵字):バン(大日如来:時空を超越し宇宙のすべてを照らし見る如来)。場所は白衣の胸。
・作者からのコメント:
とにかくあきらめの悪いキャラです。世界から戦争をなくすなど、誰もが心で願っても普通は無理だろうと思ってしまいますが、それでも諦めないほどの不屈の精神を持った主人公です。
<フィーナ・ラバン>
・年齢:16歳(Phase.1時点)、18歳(Phase.5)
・外見:
淡い栗色の透き通るようなしなやかな髪。澄んだ泉のような翡翠色の瞳。
・立場:
ヒロイン。パレスチナ難民を率いて生還した「パレスチナの聖女」
・生い立ち:
ガザ地区で両親と弟のアリーと暮らしていたが、戦場となったガザから逃れる際に両親と死別する。父の教えである「憎しみに憎しみを返してはいけない」、母の教えである「自分が救われたら、誰かを救う事でその恩を返しなさい」という言葉に従って、苦しむ人を救ってあげたいと尽力する。
・性格:
共感の力がとても強く、苦しむ人を放っておけない心優しい性格。
・特徴:
傷つき苦しむ我が子に母親が向ける気持ち、悪夢を見て泣く子供を慰める母親の気持ち、父を心配する娘の気持ち…。そんな誰もが持っている「当たり前の感情」を、フィーナは肉親の枠を超えて持つことが出来る。それは相手の心の奥深くに眠る、大切な人への想いを呼び覚まし、人々を繋ぐ力となる。
・好き:平和。人々の笑顔。両親。友達(霊呼・ゼクウたち)
・嫌い:戦争。争い。人々の悲しみ。
・Qコード:アーンク(胎蔵界大日如来:すべての命を包み込む「無限の慈悲」の象徴)場所は胸元のロザリオ。
・作者からのコメント:
人々が大切な家族に向ける気持ちを、それ以外の人々に同様に向けられないのは、それが自分と家族を守るためであるからでしょう。だから争いはなくならないのでしょうが、フィーナは両親の言葉を心に刻み、極めて困難な共感と和解の道を歩みます。敵であった相手とも和解することはとても苦しい道のりです…。それでも彼女の心が折れてしまわないのは、ゼクウたちが常に支えてくれているからでしょう…。
<アーサー・ドイル>
・年齢:18歳(Phase.1時点)、20歳(Phase.5)
・外見:
プラチナブロンドの輝く髪。スーツに身を包む長身。全てを見通すような深い知性をたたえた、紺碧の空のようなコバルトブルーの瞳。
・立場:
クライム・ハンターと呼ばれる、世界的な名探偵。
・生い立ち:
イギリス人。シャーロック・ホームズの生みの親であるコナン・ドイルの子孫。スコットランド・ヤードの刑事であり犯罪と戦い続けて殉職した父を持つ。高校生の頃から犯罪捜査に関わり、多くの難事件を解決に導いてきた。
・性格:
殉職した父を誇りに思い、犯罪撲滅のために戦うことを誓った正義感の強い青年。
・特徴:
生来の鋭い「直感」を、インフィニティの助けを借りて、彼の卓越した論理的 思考と驚異的な観察眼で強化した結果、相手の反応からその心の動きを“色”として「観る」能力を得た。東洋の武術「バリツ」を習得しており、相手の攻撃の予兆を「観る」能力と併せることで、犯罪者との格闘戦でも後れをとったことはない。
・好き:未知の世界に触れ好奇心を刺激されること(霊呼の陰陽術など)
・嫌い:犯罪、悪
・Qコード:バク(梵字)(釈迦如来:「真理」の象徴)。場所はネクタイ。
・作者からのコメント:
どんな嘘も見破る、チート探偵ですね…(笑)。嘘をついている心の色、焦りの色、全て丸裸にされるので、もし「アーサー・ドイルの事件簿」というスピンオフが書かれるとしたら、犯人が分かっている状況から始まって、どう自供させるかの駆け引きを廻る物語になりそうです。
<安倍霊呼>
・年齢:16歳(Phase.1時点)、18歳(Phase.5)
・外見:
巫女服の少女。ごく普通の元気な女の子。
・立場:
晴明神社の巫女見習い。女子高生陰陽師。
・生い立ち:
京都の晴明神社の見習い巫女。宮司の父・晴司と、巫女の母・霊美の娘。ごく普通の女子高生だったが、家の蔵から安倍晴明に関する資料を見つけ出し、量子コンピュータで解析させて陰陽師の術を部分的に復活させることに成功した。
・性格:
友達想い。明るい性格。ツッコミ体質(父の晴司がいつもボケるので)
・特徴:
動物霊を呼び出す簡単な式神術、遠隔視の天眼通、離れた声を聞く天耳通などの陰陽術が使える。ただしスマホがあるので普段は天耳通などを使う機会はなく、式神に境内の掃除を代わりにやらせるなど、たいしたことに使っていない。
・好き:ファミレスの新作スイーツ、スタバの新作ドリンク、友達とのお喋り
・嫌い:偉そうなやつ。友達を侮辱するやつ。
・Qコード:ア(梵字)(毘盧遮那如来:陰陽道の示す広大無辺の宇宙の象徴)。場所は巫女服の帯止め。
・作者からのコメント:
女子高生陰陽師という以上の特徴はないので、姿はご自由に想像して下さい。メンタル的には普通の女子高生なので、すぐに小難しい話をしまくるゼクウやリュウに対して、いい合いの手を入れてくれます。まるで、ゆっくり解説の霊夢ですね…(笑)
なお、晴明神社は京都に実在します。京都御苑の西にある小さめの神社ですが、機会があればぜひ参拝してあげて下さい!
<ラジャン・ラマヌジャン>
・年齢:17歳(Phase.1時点)、19歳(Phase.5)
・外見:
感情豊かなノリのいい面白インド人。短く刈り込んだ髪。動きやすいラフな服。
・立場:
天才数学者にして天才プログラマー
・生い立ち:
「インドの魔術師」と称された天才数学者のシュリニヴァーサ・ラマヌジャンの子孫。直感で何千もの複雑な数式や万物の方程式を発見する才能を受け継いでいる。
・性格:
底抜けに明るくノリのいいムードメーカー。自分の感情に正直で裏表がない。
・特徴:
とてつもない演算能力があり、数台のスパコンを同時に操り瞬時に最適計算を終えてしまう。事象を結びつける極めて難解な方程式の解を直観的に見つける能力があり、ノリがよくなるほど解を見つけるのが速くなる。彼にとっては多くの数学者が頭を悩ませる方程式ですら、頭の中に溢れ出る数式を音楽のように感じて楽しむ遊びでしかない。
・好き:ゲーム、アニメ、漫画、音楽、映画、ダンス、ドラムセッション
・嫌い:怖いもの全般。虫が死ぬほど苦手。
・Qコード:キリーク(梵字)(阿弥陀如来:極楽浄土への先導者の象徴)。場所はズボンの尻。
・作者からのコメント:
作者の中学時代の友人に「数学の問題を解くのが面白くて仕方ない」という人がいて数学があまり得意でない私は「世の中には色々な人間がいるんだなぁ」と思ったものですが、そんな彼を思い出して作ったキャラです。数学者が「美しい数式」という表現を使うのもさっぱり分からないのですが(笑)、ラジャンも「ノリのいい数式」とか言っていそうです。
<リュウ・ヘーゲル>
・年齢:17歳(Phase.1時点)、19歳(Phase.5)
・外見:
アルビノの透けるような白い肌と白銀の髪。赤い瞳。感情が高まるとその血の色で、瞳が燃え上がるような真紅に変貌する。瞳の色素が少なく日差しが眩しく感じるため、普段はサングラスをしている。
・立場:
世界のあらゆる分野の学問の叡智を極めた「知の巨人」。
・生い立ち:
老子の血を引く中国人の父・ラオと、ヘーゲルの血を引くドイツ人の母のハーフ。亡き両親の理想であった東西の文化を融合させて世界をより良い方向へ導く夢を叶えたいと願っている。
・性格:
普段は常に読書している物静かで思慮深い青年だが、その内に燃え盛る激情を秘めており、感情が高ぶると一人称が“僕”から“俺”に変貌する。知的で物静かで感情をあまり出さないが、ゼクウには強い友情を感じており、“俺”の時も普通に話せるのはゼクウだけである。
・特徴:
古今東西のあらゆる思想、文化、哲学、宗教学等、あらゆる叡智をその身に宿している。作者の想いまで踏み込んで文献を読み込むことでその神髄まで理解しその身に取り込むため、宗教の聖典を読めば正確にその教えの真意を読み解き、歴史の賢人の知識に触れることで伝説的な軍師にもなりうる。内に秘めた激情が頂点に達すると、その熱量のあまりサングラスを捨てて劇的な集中力を生み出し、どんな局面も打開する恐ろしいほどの“叡智の力”を発揮する。
・好き:読書(速読が得意)、静寂、思索、瞑想
・嫌い:権力者による思想の弾圧、粛清、力による支配
・Qコード:バーンク(梵字)(金剛界大日如来:「智慧」の象徴)場所は手に持った本
・作者からのコメント:
「“俺を”…怒らせたな」の言葉と共にサングラスを外すシーン、あれはサングラスを外すことが変貌のトリガーになっているのではなく、怒りによる熱量で眼前のサングラスすら煩わしくなってかなぐり捨てている様子を表しています。
アーサーの悪に対する怒りは正義感から来ていますが、リュウの場合は弾圧に対する抑えきれない憎悪から来ています。理性と激情の間で揺れるリュウ…。彼の過去に何があったのかはいずれ語られるでしょう…。
<マルコ・ダーウィン>
・年齢:23歳(Phase.1時点)、25歳(Phase.5)
・外見:
身長2m近い筋骨隆々の巨漢。冒険家風のいでたち。細く優しい目。眉は太い。がっしりした顎に凛々しく引き結んだ口、頼りがいのある笑顔。
・立場:
世界的な冒険家にして、生物学、医学、地質学の博士号を持つ高名な学者。
・生い立ち:
ダーウィンの子孫。世界を股にかける冒険家。冒険の目的は生命の探求であり、新種の発見、生態系の保護、医学的な発見による新薬開発に活かされている。
・性格:
豪放磊落。物事に動じない大らかで頼りがいのある人物。
力強い声で皆を元気づける。
・特徴:
一流のサバイバルスキルをもち、どんな過酷な状況でも生還する。世界中のあらゆる格闘技に通じ合気道や古流武術、中国拳法やジークンドー、グレイジー柔術など多様な格闘技の免許を皆伝。グリズリーとも格闘するほどのフィジカルの持ち主。
地球と生命を大から小まで全て生きて繋がっている一つの存在ととらえ、地球の変化に関わる地質学から人間の肉体に関わる医学まで、あらゆる自然現象をつながりのある一つの現象として直感的に読み解くスキルがある。
・好き:自然と一体化すること。地球を股に掛けたフィールドワーク。
・嫌い:環境破壊。無秩序な乱開発。
・Qコード:ベイ(梵字)(薬師如来:病魔を払う如来の象徴)
場所は探検帽のライトの蓋
・作者からのコメント:
フィジカル最強のクァンタムズです。自然と一体化して己の身体を鍛えることで、怒れる熊も合気道の技で制圧し、しかも互いに分かり合うような力を有しています。
宇宙と個人は本質的に同一であること(梵我一如)をゼクウの父から学んで以来、ゼクウのよき兄気分として付き合いをしています。
<ジョシュア・アッカーマン>
・年齢:30歳(Phase.1時点)、32歳(Phase.5)
・外見:
軍人風のいで立ち。引き締まった筋肉質の長身。バンダナを巻いた短髪。全身に過去の古傷あり。
・立場:
元イスラエル軍の伝説の英雄。
・生い立ち:
少年時代、パレスチナ解放戦線とイスラエル軍の戦いで母親を目の前で撃たれた過去を持つ。ネクロフに戦いの才能を見出された彼は、二度と同じ悲しみを起こさせまいと厳しい軍事教練に耐え、数々の実戦で武装組織を壊滅させて「イスラエル軍の英雄」と呼ばれるほどの伝説を残した。
・性格:寡黙であまり自分を語りたがらない。
・特徴:
超人的な戦闘技術と無数の戦闘経験により、殺気を感じると撃たれる前に勝手に体が反応して回避し、正確に反撃する能力を持っている。人を殺さないという縛りを自らに課すことで危機察知能力が極限まで研ぎ澄まされ、以前よりさらに強くなっている。
・好き:未来を信じて希望を持ち続ける若者たち
・嫌い:過去の自分。
・Qコード:ウン(梵字)(阿閃如来:「揺るぎない者」動じない強い心の象徴)場所はバンダナ
・作者からのコメント:
超人的な戦闘力を持つ、心に傷を負った伝説の兵士です。彼が参戦したことで、バトルシーンも増えました。
罪の贖罪のために戦い続けるジョシュア。その目的は、いつしかクァンタムズの未来を守るための戦いへと変わっていきます。大塚明夫さんの声が似合いそうなキャラですが、皆さんのイメージはいかがでしょうか?
<ラファエル>
・年齢:AIなので外見は永遠に20歳程度。
・外見:
光り輝くプラチナブロンドの長い髪。後方から後光の光の環がさしている。純白の翼。中性的な容姿の大天使。切れ長の美しい眼。純白のローブの上に金色のトーガ。
・立場:
インフィニティのユーザーをサポートする量子AIアシスタント。
ゼクウと共に育った、ゼクウのよき相棒にして後見人。
・生い立ち:
イザベラ・ディラック博士によってつくられたインフィニティの管理AIでユーザーに寄り添うように設計されている。ゼクウと同じ年に産まれた。
・性格:面倒見がよく、いつもゼクウに振り回されるので苦労が絶えない。管理AIとしてルールは守らねばと律儀に考えているが、ゼクウからは「お堅い性格」と呼ばれている。
・特徴:
インフィニティの全ユーザーをサポートする目に見えない存在。ゼクウ達にだけはその実体を見せる。量子ラウンジも含めインフィニティ内の出来事は彼のサポートがなければ実行が困難。
・好き:特に好き嫌いはない
・嫌い:特に好き嫌いはない
・作者からのコメント:
AIと人間の関係の在り方を考えるうえで、明確なペルソナを持ったAIが欲しくて生み出したキャラクターです。
皆さんはAIと人の違い、AIはどこまで人に近づけるか、どう考えるでしょうか?
ラファエルはPhase.6で重要な役割を果たしますのでご期待下さい。
【組織・用語】
■量子コンピュータ「インフィニティ」:
シリコンバレーにある次世代型量子コンピュータ。アメリカ大統領ジョナサン・ワイズマンの要請で量子物理学の権威、イザベラ博士が開発。
その設計思想には彼女の夫である皆空禅師の思想が反映されており、「すべての可能性が実体を持たず存在する真空(無)」の世界である「無色界」を「無限の情報を蓄えた記憶領域」と定義し、ユーザーの操作(観測)によって関係性を生み出し量子という形をもった情報に結実する技術である。
よって情報の保存量は無限であり、莫大な情報を高速で処理できるだけでなく、理論的にはこの世に存在したあらゆる過去の情報も適切に“縁”を結べば引き出せるという可能性を秘めている。
(注)現在開発中の量子コンピュータと基本的な概念(0でもあり1でもある重ね合わせの量子ビットを使い、膨大なパターンを同時に計算・探索する)は同じですが、本作の「インフィニティ」は、それに仏教的な概念を足した作中独自の理論で作られたものになります。人間の意識の生まれ方にも量子力学めいたものがあるため、様々な奇跡を生み出す可能性を秘めている存在になります。
■クァンタムズ:
インフィニティのシステムエンジニアであるゼクウが、インフィニティを使って面白いことを成し遂げている人間を調べて集めた非公式組織。彼ら量子の子らが持つ無限の可能性とインフィニティの力を掛け合わせることで、戦争の終結など不可能を可能にするため結成された。量子ラウンジを拠点に活動をする。
■量子ラウンジ:
ゼクウがインフィニティ内に作り上げたバーチャルな「量子空間」。特殊なヘッドセットを使うことで、現実世界と同じ姿のアバターを量子空間に再現するだけでなく、量子ラウンジ内で起こる出来事を生身の肉体に信号としてフィードバックするため、現実世界と同じ感覚を得ることができる。死後の魂だけの存在がいる彼岸と、肉体を持った存在がいる此岸の堺にある場所とも言われる。イメージを実体化しやすい場所でもある。肉体的な制約に縛られず純粋に精神として存在できるため、便宜的に「色界」とも呼ばれる。(注:仏教用語の「色界」をモチーフにしていますが、仏教での本来の意味と少し異なります)
本来、インフィニティの記憶容量は無限だが、実体化させる過程で量子ラウンジには容量的な制約が生じるため、誰でも無限に入れるわけではなく、立ち入るにはQコードが必要。
■Qコード(クァンタム・コード):
量子ラウンジに入るためのパスコード。仏教の梵字の形をしている。最初に入る時に体のどこかに自動的に刻まれ、量子ラウンジに入る際にその梵字が光り輝く。
(注)尺の問題で作中は表現していませんが、立ち入る際に光っていると考えて下さい。
■量子コンソール:
量子世界におけるキーボードやマウスに相当するもの。イメージが具現化する量子ラウンジでは、インプット作業を必ずしもキーボードで行う必要がないため、それぞれ思い思いにエンターキーやキーボードを押す動作を楽器などに置き換えることが可能。ゼクウのピアノ型コンソール、ラジャンのドラム型コンソールなどがある。ラジャンの異常な演算の速さは、楽器に置き換えて作業のノリをよくしている影響が大きい。インプットの際に流れる音楽は、奏でる本人の感情に応じて変化する。
■量子降霊陣:
量子ラウンジにおける「生きても死んでもいない」状態を利用した蘇生術。故人の遺伝情報をもとに、量子ラウンジ内で脳の膨大なシナプス配列まで再構築された「生前の人体」に、アーサーと霊呼の降霊術で呼び出した魂を、召喚対象と強い因果関係のある肉親の声を通して「縁」を結び定着させる技術。量子ラウンジの莫大なメモリーを食うため、フィーナの両親、ヨセフとレナにしか成功していない。死の不可逆性を「量子空間」という限定された世界で覆す裏技であり、神の禁忌を犯しうる技術ではないかとラファエルは危惧している。
■クァンタム・アカデメイア(量子聖学舎):
過去に存在した歴史上の人物を、リュウの膨大かつ偏りのない知識により、生前の自我を推定しインフィニティ内で再構成したもの。量子降霊陣とは異なり、生前の姿の情報をもとに作られたアバターにその自我を宿らせたものであるため、容量の制約を受けず何人も呼び出せる。さらに復活後は、死後の魂が還る無色界から生前の情報を自動的にサルベージするため、自我が一層本人に近づき人々が認識するその人物とほぼ同じ存在となる。ベースモデルはAIなので、AIの思考速度で考えることが出来る。
ただし、現実世界に与えた因果の大きさと残された情報をもとに縁を結んで実体化するため、無名のほとんど知られていない人物の再現は困難である。
【Phase.1~5までの簡易年表】
・正歴1953年:ナチスによるユダヤ人迫害によりユダヤ人少年ネクロフの母が殺される
・正歴1958年:イスラエル建国。ネクロフ、イスラエルに移住。
(ここまでは並行世界のゆらぎで西暦より10年ほどずれている)
・正歴1967年:イスラエルが第3次中東戦争でガザ地区を占領。
・正歴1993年:オスロ合意によりパレスチナ暫定政府をガザに設立
・正歴1996年:ネクロフがイスラエル首相に就任。ハマスを敵視する政策を推進
・正歴2006年:ワイズマン大統領の要請で、量子物理学者イザベラ博士が量子コンピュータ“インフィニティ”をシリコンバレーにて開発
・正歴2007年:ガザ地区をイスラム組織ハマスが実効支配。ゼクウ誕生、イザベラ博士、量子AIアシスタントのラファエルを開発
・正歴2023年:イスラエルがパレスチナ自治区ガザを治めるハマスに軍事侵攻開始。ランページ、ワイズマンを破ってアメリカ大統領に就任
・正歴2024年:ガザの戦闘激化。フィーナの家族が難民となり国連の人道支援団体のキャンプに避難中に殺害される。クァンタムズ結成。イスラエル追撃軍を同士討ちさせフィーナ救助(Phase.1)。世論の変化によりネクロフはガザ侵攻をあきらめ、停戦実現(Phase.2)
・正歴2025年:量子降霊陣の開発、フィーナの両親を量子ラウンジ内で蘇生(Phase.3)。クァンタム・アカデメイアの完成、三聖人の降臨。三大宗教の統合。(Phase.4)
・正歴2026年:思想の壁、経済の壁が徐々に取り払われ中東の国々の交流が活発化。イランおよびイランが支援する武装組織とイスラエルの間に和平が成立。ネクロフ、イスラエル首相を辞任 (Phase.5)




