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チャプター8:「淡々と火力を」

 場所は、アイザック等が踏み込んだ地点からそう離れていない個所に存在した、空港の管制塔。

 今にはその上階の管制室で銃声が響き、そこに篭っていた一人のローグが打ち退き倒れる。


「――クリア」


 そしてその向こう反対から声が上がる。

 管制室の入り口。そこには今まさに踏み込み、ローグを射撃にて仕留めた張本人たるアイザックの姿があった。


「見事なことで――狙撃員は位置に着け」


 そのアイザックに続き、後続にてドゥインを始めとする偵察狙撃班の数名が踏み込んで来る。

 各狙撃位置に着き始め、各判断で管制塔高所からの狙撃行動を開始する狙撃員等の背後。

 ドゥインにあっては、先から隊長指揮官でありながら自身も果敢に戦って見せるアイザックに。その手並みに呆れを混ぜた評する声を向けるが。


 アイザックはそれには特段取り合わず。

 空港敷地内を一望できる管制塔から、その敷地のあちらこちらを見渡し確認する。


 まず眼下近くには、周辺を戦い押し上げ確保行動を続ける、前進観測隊の各隊各員の姿が見える。


 そして一方。空港敷地、長大な滑走路を挟んだ向こうには。

 空港の施設群と、そしてその近くに元を蠢く多くのローグたちの姿が見えた。


 それが空港の正面より攻勢を仕掛けるAF大隊を相手取り、我武者羅の防御阻害行動を取っているものであることは明白だ。


「ラムダ01、103大隊本部聞こえるか?ジョーン10は空港裏手に回り込み敷地に進入、管制塔及び周囲を確保した」


 その光景を向こうに見つつ、アイザックは身に着ける簡易無線を用いて。構成主力の大隊の本部に通信を繋ぐ。


《ラムダ01よりジョーン10、了解。こちらはちょいと面倒に遭遇だ、連中が旧式だが戦車なんぞ持ち出して来やがった》

「あれかッ」


 大隊本部から返されきたのはそんな伝える言葉。

 それを狙撃位置に着きつつ傍で聞いていたドゥインが、次には声を上げる。

 向こうの空港施設群の中にある、一つの通用ゲート。そこにAFが用いる物とは別形式の、旧式の戦車が居座っている姿が発見できた。


《こっちは対戦車戦闘可能な隊か、航空誘導班が回って来るのにもうちょい掛かる。可能なら、そちらから航空投射誘導を願いたい》


 その光景を確認した後に、向こうの大隊本部から続けて寄越されたのはそんな要請の旨だ。


「了解、実施する――誘導班」

「すでに位置に」


 それにアイザックは間髪入れずに、端的に了解する旨を返し。

 次には同行していた航空誘導班に促す声を向ける。


 それを受けた航空誘導班の要員等は、言われるが早いかすでに管制塔の窓際に位置に着いており。

 他狙撃員に混じって誘導装置を取り出し構え、すでに航空誘導準備を開始していた。


「――ジョーン43よりブロウダイブユニット、ラムダに代わり航空投射誘導を願う。空港北西側、ローグの戦車が居座ってる、これを撃破願う」

《ジョーン43、了解。ブロウダイブ23が当たる、目標へマーカー願う》


 誘導班の通信員が呼びかけるは、上空で飛行活動する航空隊の攻撃隊。その攻撃隊からはすぐに了承と要請の返答が来る。


「了解、現在照準中。間もなく完了、そちらに表示される」

「――マーク」


 それにまた返す通信員。

 その隣では、誘導照準器を扱う誘導員が、向こうに居座る敵戦車を捉え捕まえる。


《受け取った、進入から投下する》


 次には、攻撃隊よりその照準誘導を受け取った旨が通信で返り。

 そして、


 直後瞬間。

 向こうの敵戦車が鎮座していた通用ゲートの周りにて、投下された航空爆弾が叩き込まれ。

 爆炎が大きく盛大に上がった。


 直後にL-A機が、通用ゲートの直上を掠め飛び抜けたその元。

 その場周囲にに居構えて居たローグたちの、そのあらゆるは巻き上がって吹っ飛び。

 奇跡的に難を逃れたローグたちも、混乱狼狽から逃げ惑う姿が見える。


「ブロウダイブ、効果確認も敵戦車は中破状態、まだ稼働中。未だに大隊の進入の阻害になると見える、再進入できるか?」


 しかし誘導班が見止めたのは、一度の爆撃を受けて尚、損壊しながらも稼働を続ける敵戦車の様子。

 周りの突貫造りの防御構築が、一発での無力化を阻害したようだ。

 ならばそれを叩くべく、通信員は攻撃隊にさらなる要請を送る。


《了解、ブロウダイブ24が対応する。フォロー態勢からすでに進入に入った、間もなく投下――》


 攻撃隊側もさらなる攻撃の必要性を見越していたらしく。また別機のL-A機からすでに行動に入った旨が寄越される。

 そして、


 再び対象の通用門ゲートにて、爆炎が巻き上がった。


 今度は航空爆弾が敵戦車に吸い込まれるように直撃する様子が、一瞬だが垣間見え。

 そして戦車は爆発炎上。砲塔を天に巻き上げて、完全に戦闘不可能となった様を露わにした。


 その直後、進入した二機目のA-Lが爆撃地点の上空を飛び抜けて行ったその元には。

 先までのローグたちの蠢き戦う光景は無くなり。焼け焦げ煙の上がる、損壊した施設周りの光景のみがそこにあった。


《――ジョーン、及びブロウダイブユニット。空港ゲートからの抵抗が止んだ》


 その直後。今度は主力大隊より、攻撃投射が成功となったことを伝える通信が寄越される。


《素早く的確な仕事に感謝だ。この後はこっちで押し通す、また後程、空港のロビーで会おう》


 それから大隊本部からは感謝の旨。後の攻勢行動は大隊側が行う旨、そして後の合流を促す旨などが寄越される。

 そしてそれから程なく、空港の各ゲートの防御を破り、大隊がなだれ踏み込み。展開から空港の制圧掌握に掛かる姿が管制塔からも見えた。


「これで仕事が、一区切りだな」

「あぁ」


 そんな光景を、作戦が自分等の勝利となったことを伝える様子を、眼下の広くに見ながら。

 少し冗談めかして向けられたドゥインの言葉に。

 しかしアイザックは返したのは、特別感動などは覚えていないような、淡々とした言葉。


 そんな変わらぬ様子のアイザックに、ドゥインはやれやれと両手を翳す仕草を見せた。



 こうして、苛烈で大規模な攻勢作戦の結果。

 ローグの連合体に支配占拠されていた国際空港は、VACの物へと奪取から成り代わり、その管轄に入った。

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