表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
66/67

第六十五話 エキシビジョン開催

 入隊試験は二日目を迎え、空には朝日が昇っていた。

 夜の名残をかすかに残す薄青の空を、ゆっくりと橙色が染めていく。

 静かだった第七支部の建物は、朝日と共に再び息を吹き返していた。

 二日目はエキシビジョンとなり、試験参加者だけではなく、街からも自由に観戦できるようになっている。

 昨日の大宴会から引き続き、セブンスロック名物の大きな催しの一つとなっている。

 朝早くから露店の準備が進み、屋台からは香ばしい匂いが漂う。

 子ども達は肩車をせがみ、商人達は人の流れを見て値札を調整する。

 まるで祭りだ。

 だが、これはただの娯楽ではない。

 だが、これで市民は自分たちがどのような人間に守られているのかを知ることができる。

 隊員達も自分たちがどんな人たちを守るために戦うのかを知ることができる。

 第七支部と市民を繋ぐ催しとなっているのだ。

 訓練場にはぞろぞろと観客が集まってきている。

 石造りの観覧席はあっという間に埋まり、立ち見の者も増えていく。

 遠くから来た商隊、家族連れ、若者達。

 皆が目を輝かせて中央の訓練場を見つめていた。

 そんな様子を本部の窓から眺める。


「今年もすげー集まってるな」


 ショウは住民の集まりにわかりやすくテンションを上げていた。

 口元が自然と緩む。

 こういう熱気が、彼は好きなのだ。

 それを横目にアヤメも窓から眺めていた。


「すごい、こんなにも人が集まってる」


 アヤメは初めての規模の催しに驚いている。

 昨日の宴会も驚きだったが、これはまた別の圧力だ。

 数百人規模の視線。

 期待と歓声の塊。


「ショウ、アヤメ、もうすぐ始まるわよ。

 いきましょ」


 白く美しい髪を靡かせ、エルサが後ろから声をかける。

 その姿は朝日に照らされ、凛としている。


「エリー、あぁ、いこう」


 三人はそのまま会場へ向かう。

 階段を下りるごとに、歓声が大きくなる。

 熱気が肌に触れる。

 空気が震えている。


 ◆


 会場では壇上にゴリアスが上がっていた。

 その巨体が立った瞬間、観客のざわめきが波のように広がる。

 だが――

 自然とざわつきが静かになっていく。

 威圧ではない。

 信頼だ。

 彼が立つだけで、場が締まる。

 ゴリアスはマイクを手に取る。


「あー、テステス。

 マイク通ってるな。

 お集まりのみなさん、今日は楽しんでいってくれ。

 第七支部の中でも手練達の戦いだ。

 みんなの記憶に残る戦いをしてくれることだろう。

 彼らはワシの誇りだ!

 それでは、エキシビジョンの開催をここに宣言する!」


 言葉は飾らない。

 だが、その一言一言に重みがある。

 歓声が爆発した。

 地鳴りのような拍手。

 笛の音。

 子ども達の歓声。

 ゴリアスはマイクを置くと、席についた。


 ◆


 サクヤがマイクを取り話始める。


「それではここからは私が進行していく。

 このエキシビジョンはトーナメントだ。

 今年の参加者は、

 受験者枠から

 シロエ・セラフ

 アモン・レイジ

 副官枠から

 リヴィア・クロート

 ミヤビ・オオイノミカド

 防衛軍枠から

 ルシウス・ガレフ

 中隊長枠から

 ショウ・フォレス

 そして、今年のシード枠は…まだ秘密にしておこう。

 以上の者達でトーナメントを行なっていく。

 各自準備室へ移動しておくように。

 開始はこのあと9時半からだ。

 第一試合はアモン・レイジvsリヴィア・クロート。

 準備してくれ。

 以上だ」


 名前が読み上げられるたびに、観客席が揺れる。

 シロエの名で歓声。

 アモンの名で爆発。

 ショウの名でどよめき。

 シード枠――

 その言葉が、観客の想像を掻き立てた。


 ◆


 開始時刻ーー

 鐘が鳴る。

 中央に姿を現す一人の青年。

 アモン・レイジ

 今期の次席であり、その突破力は非常に高い。

 炎の気配が揺らぐ。

 歩くだけで空気が熱を帯びる。

 対して

 リヴィア・クロート

 殲滅部隊第一部隊の副官で副官の中では頭一つ飛び抜けて強いとされている。

 静かに歩く。

 足音がほとんどしない。

 視線はまっすぐ。

 感情は読み取れない。

 二人は早くも殺気に近い圧を纏わせながら訓練場の中央で睨み合う。

 熱と静。

 若さと完成度。

 衝突は必然だった。

 会場のボルテージも熱を帯びていた。


「いよいよ始まるぜ!」


「お前は誰が勝つと思う?」


「絶対フォレス中隊長だろ」


「いやいや、今年は首席がかなり強いらしいからわかんねーぞ」


「それにシード枠が誰かも気になるわよね」


「ガレフ副隊長!頑張ってくださーい!!」


「荒れそうだな、今年も!」


 観客達も思い思いに勝ち上がりを予測している。

 歓声は止まらない。

 鼓動が高鳴る。

 アモンは拳を握る。

 リヴィアは目を細める。

 審判が中央へと歩み出る。

 静寂が落ちた。

 空気が張り詰める。

 そして、今開始の火蓋が切って落とされようとしていた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ハイファンタジー/女主人公/異能/第六感/チート/異能バトル
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ